
投稿日:2024/1/15
更新日:2024/1/11
2023年11月7日、HERPユーザーコミュニティーで3回目となる勉強会を開催。「人材マネジメント」をテーマに、株式会社壺中天の坪谷邦生さんが登壇しました。
当日は人材マネジメントの全体像や考え方を、坪谷さん著書の「人材マネジメント入門」に習って分かりやすく解説していただきました。この記事では当日の内容を抜粋してご紹介します。
株式会社壺中天 坪谷 邦生
1999年、立命館大学理工学部を卒業後、エンジニアとしてIT企業(SIer)に就職。2001年、疲弊した現場をどうにかするため人事部門へ異動、人事担当者、人事マネジャーを経験する。2008年、リクルートマネジメントソリューションズ社で人事コンサルタントとなり50社以上の人事制度を構築、組織開発を支援する。2016年、人材マネジメントの領域に「夜明け」をもたらすために、アカツキ社の「成長とつながり」を担う人事企画室を立ち上げる。2020年、「人事の意志をカタチにする」ことを目的として壺中天を設立し現在に至る
モデレーター:toBeマーケティング株式会社 木村麻衣
プロのミュージカル俳優として活動後、旅行系Webサービス企業の採用担当として入社。その後、人事コンサルティング企業にて採用・研修・選考設計などを支援。2019年6月にtoBeマーケティング株式会社に1人目リクルーターとして入社し、採用だけでなく研修・エンゲージメント企画・人事制度設計・健康経営・コロナ禍のオフィス移転プロジェクトなどを担当。2022年10月よりマネージャー
私は10年ほど企業の人事担当者を経験した後、人事コンサルタントとして50社以上の人事制度を構築したり組織開発を支援したりしてきました。本日は私の著書「図解人材マネジメント入門」の内容を基に、人材マネジメントの概要についてお話していきます。
具体的には、以下の5つについて順に整理できればと思います。ぜひご自身のお考えも頭に浮かべながら聞いていただきたいです。
・人事とは何か?
・マネジメントとは何か?
・人材マネジメントとは何か?
・効果的な人材マネジメントを行なう上で重要なことは?
・これから人材マネジメントはどうなる?
では一つ目、「人事とは何か」という問いについて考えてみましょう。みなさんのお考えをぜひ教えてください。
<参加者から集まった回答一覧>
・人と組織で経営課題を解決する仕事。「人をして事を成す」
・人にまつわるテーマを仕事として扱い、お金をもらっているプロフェッショナル(になりたいw)
・「人」を軸に事業を成長させるサポートができる人(願望)
・ヒトという経営資本を最適化する
・組織の経営目標に対して必要なメンバーを集める
・会社の潤滑油
・人的資源を用いた経営課題解決を推進する
・組織づくりで事業貢献する職種
・事業戦略に人を組み込むための役割
・会社と社員の間をバランスをとりながらいろいろやる
・ヒトとヒト、ヒトとコトの間に発生するコミュニケーションエラーを取り除く仕事
・人と組織の観点で経営(戦略)と現場(戦術)をつなぐ人
・個人と事業を成長させるためのサポートができる仕事
みなさんからの回答では、“人”系のことと“事”系のことのどちらも担うといったニュアンスを含む内容や、「潤滑油」などのように何かと何かをつなぐといった意見が多いようですね。
では、ここからは私の考えを紹介させていただきますね。私は「人事」とは、「人を生かして事をなす」ことだと捉えています。
「人を犠牲にして事をなす」のは、人事ではなく搾取です。ノルマ管理主義に陥った会社でよくありがちな光景ですよね。
一方で、「人は社員は元気に働いているものの、事がなされていない」状態は、ただのぬるま湯です。心理的安全性が謳われるようになり始めてから誤解されることもありますが、人が生き生きと働いている状態をつくることが結局何につながっているのかという視点が抜けてしまっては、人事とは言えないでしょう。
まとめると、人事とは「一人ひとりの力が万全に発揮され、組織の目的が成し遂げられる状態」。つまり、「人」と「事」を同時に実現することだと私は考えています。
次は「マネジメント」について考えていきましょう。みなさんは「マネジメント」をどう捉えていますか?
<参加者から集まった回答一覧>
・課題をなんとか解決すること
・チームで成果を上げること
・自分の担当範囲をなんとかすること
・組織のパフォーマンスを最大化して成果を創出すること
・目的に向けて導くこと
・なんとかする、成立させる
・対象を意図した方向にコントロールすること
・ゴールに向かって導く
・会社の目的に沿って物事を進める
・組織力を上げる事
・アセットを活用して成果・効果を最大化させていくこと
・1+1=2というところを1+1=10にすること
・目的を共有し、目標に落とし込み、それを達成させる一連のプロセス
・経営戦略を実行すること(仏に魂を入れること)
みなさんからは、目的や戦略といった何かしらのゴールへ向けて導くといった内容と、「なんとかする」といった内容の2つの意見が多く挙がりましたね。
では、私の考えをお話しできればと思います。私はマネジメントを「組織が成果を出すためになんとかすること」だと捉えています。
「組織が成果を出すために」とは、つまり“組織を使って”成果を出すためになんとかすること。自分1人でなんとかすることではないのがマネジメントの特徴です。
それから、マネジメントは「管理」とは異なります。管理とは「ある基準から外れないように全体を統制すること」を意味します。例えば労務管理でいうと、労働法や就業規則から外れないようにすること。管理の中には組織の成果につながるものもあれば、組織の成果とは関係なく、あくまでルールを守っていればOKというものもあります。
一方でマネジメントは「組織が成果を出すためになんとかすること」なので、「成果が出ているかどうか」が論点となります。そのために、時には基準すら変える必要がある。綺麗事ではなく、とにかくなんとかするのがマネジメントなわけです。

日本ではマネージャーのことを「管理職」と言ったりもすることから、マネジメントと管理を混同する人も少なくありません。しかし、マネジメントの父と言われるドラッカーの書籍の翻訳を日本で最も担当した上田敦夫さんは「ドラッカーの本でマネジメントを“管理”と翻訳したことは人生で一度もない」と仰っていて、マネジメントと管理は全く別物だと主張されているんですよ。
また、マネジメントの語源は「馬を操ること」を意味する「maneggiare」ですので「マネジメントとは手綱をうまく操って、なんとか暴れ馬に乗りこなすことだ」と言えるのかもしません。
マネジメントは「組織で成果を出すためになんとかすること」だとお伝えしました。では「人材マネジメント」は何を意味するのでしょうか?ぜひ考えてみてください。
<参加者から集まった回答一覧>
・人という経営資源を、なんとかして最大化させること?
・対象メンバーの能力を最大化させること
・人を最も有効的に活躍させるための仕組み
・人と組織を活用し、経営課題をなんとか解決すること
・人的資源を最大限活用するための仕組み
・人が成果を出すためになんとかする事?
・従業員の能力・ポテンシャルを発揮させるための仕組み(人事配置・制度)を構築すること
・組織が成果を出すために、個人の強みを発揮させること
・社員のポテンシャルを引き出し、事業の成功へ結びつける
マネジメントが「成果を出すためになんとかすること」であるという内容を踏まえて、人材マネジメントは「人材を使ってなんとか成果を出すこと」と考えた人が多いようですね。それから「仕組み」と考えている方も多いように思います。
それでは今回も私から「人材マネジメント」について解説できればと思います。
人材マネジメントとは、アメリカで発祥した「人に投資する」マネジメント手法を指します。英語で表すとヒューマンリソースマネジメント(Human resource management)という考え方ですね。
アメリカではもともと労務管理(personnel management)と呼ばれる手法で人を管理するのが主流でした。しかし戦後日本が急成長したことで、「このままでは日本に負けてしまう」と危機感を持って開発されたのが人材マネジメントだと言われています。
労務管理と人材マネジメントは何が異なるかというと、まず、当時のアメリカの労務管理の評価基準は「コストの最小化」でした。人を“モノ”として考えて、「どうしたら人件費を下げることができるのか」という管理をしていた。それが人材マネジメントになることで、「人材の最大限の活用」を考えるようになっていったんです。
人材マネジメントとは、人間を“資源”とみなし、投資してポテンシャル引き出すことにより最大限活用することを意味します。
さらに言うと、この投資とはいわゆる「えこひいき」なんですよ。「誰しも平等に」というスタンスでは勝てないので、特定の人たちに投資し、戦略的に勝っていく。それが人材マネジメントなんです。「この人たちにはお金を使うし雇用も守るけれど、イケていない人たちには投資しないよ」という、ある種ドライな戦略なんですよね。
それから労務管理の実行責任者は人事部門でしたが、人材マネジメントではラインマネジャー、現場のマネジメントが主役になります。

まとめると、人材マネジメントはもともとアメリカで発祥した「人に投資するマネジメントの手法」であるということ。それから、公平公正を考えるのは労務です。労務でしっかりとベースを担保した上で、人材マネジメントによって特定の人に投資をするのが、正しい人事だと思います。
ここまでを踏まえて、人材マネジメントを行なう上で重要なこととは一体なんでしょう。どうすれば効果的に進めることができるのでしょうか?
<参加者から集まった回答一覧>
・伸ばしたい人材の選定
・とにかく仕組みを浸透させる
・誰を高く評価するかを決める(誰を一番エコ贔屓するか決める)
・1人1人の特性を理解する
・得たい効果の定義を明確にして、施策の選択と集中
・誰に投資をするか決めること
・人事制度を設定し、評価をすること
・企業が求める人材に合っている人に合わせたマネジメントづくり
・課題発見のために、経営と現場の情報を定量定性で把握すること
・現状を正しく把握して、理想・目標とのギャップを可視化していく
・成果が上がる投資をするために課題を見つけること
・経営環境に応じた経営戦略に伴って改善し続けること
みなさんから集まった意見を見てみると、課題発見や課題解決のニュアンスが含まれた内容が多そうですね。それから「人材の選定」や「エコ贔屓」、「誰に投資するか決める」といった内容も目立ちます。たしかに最近は、求める人材を定義して、その人たちの採用や育成に注力していくといった企業が多いように思いますね。
それでは私の意見をお伝えしていきます。私は、「環境への適応性と施策の一貫性」が重要だと考えています。

「環境への適応性」とは、例えばコロナ禍の時のように、これまでは必ず9時にオフィスに出勤しなければいけなかったところからリモートワークに変え、出退勤のやり方も変えていった、というようなことです。世の中や社内の環境の変化に応じてやり方を変えていく。これが適応性です。
適応性が低い人材マネジメントだと、「いまだにそんなことやっているの?」「世の中、もう大分変わっているよ」となってしまう。当然効果は低いですね。ですから人材マネジメントに適応性があるかどうかはとても重要です。
それから、もう一つ大切なのが「一貫性」です。
例えば社長が「うちは頑張っている人が評価される会社なんだ」と言ったとしますよね。でも会社で出世している人の顔ぶれを見てみると、昔から会社にいる、社長と仲のいい縁故入社のおじさんばかり。何をやっているかよく分からない人たちばかりが出世していく一方で、現場で頑張っていることが明らかに分かるような社員が「全然給料が上がらない」とぶつくさ言っている。これが、一貫性がない状態です。「言っていることとやっていることが違う」これではやる気がなくなりますよね。
一貫性があるというのは、例えば「うちはこれから専門性を高めていくんだ。AI領域のエンジニアを高く遇して、ここを今後のコアコンピテンスにしていくよ」と言って、実際にそういった方達を採用しようと取り組み、そういう人たちが高く評価され、待遇も良くなっていく仕組みを作り、実際にその通りに運用する。すると「そういう会社なんだね」とみんなが分かりますよね。
こういう風に一貫性があると、人材マネジメントの効果はどんどんと上がっていきます。一貫性を実現するには、有言実行あるのみです。言ったことはやる。これは、経営層の信頼にも関わってきます。
まとめると、時代や世の中、社内の環境に合わせていく適応性。それから、有言実行をする一貫性。この2つが効果的な人材マネジメントを行なう上で重要なことだと考えています。
最後の問いは、「これから人材マネジメントはどうなっていくか」です。みなさんは人材マネジメントの未来をどう考えていますか?
<参加者から集まった回答一覧>
・一貫性、坪谷さんの本でもたくさん出てきて重要性を感じました
・変化が激しい時代なので、適応していく会社が勝つ!
・企業がより「何に投資するのか」をはっきりさせないと生き残れないようになる
・民主化する。人事が考えること→各組織のリーダーが考えること(それを人事が支援する)へ
・人材や事業も多様化して人材マネジメントの難易度が上がり、が上手く出来る組織と出来ない組織との差が大きくなりそうですね
・一貫性があり、その企業らしさが現れる人材マネジメントが求められる
・変化加速し続ける中、中長期と短期、事業と人への投資を両方ともにし続けていく企業とプロジェクト型の企業によって、複数の人材マネジメントの引き出しが必要がありそう
・一貫性は会社によって異なる=個性が際立たせる人材マネジメントになっていく
「一貫性」や「個性を際立たせる」など、さまざまな意見が出てきましたね。ここでいう“個性”には、会社の個性を指すケースもあれば、働いている人たち一人ひとりの個性を指すケースもあるかもしれません。
少し話が逸れますが、「個性」や「多様化」について私の意見をお伝えすると、中小企業やべンチャーは力を集約させないと勝てないので、もしかすると「一様性」の方が大事かもしれないと感じています。
実際問題、社員数が50人程度の中小企業で本当に多様性を踏まえたマネジメントを実現しようと思ったら、マネージャーも経営者も崩壊してしまうと思うんですよ。だから本当の意味で多様な社員を抱えるのは、パワーのある大企業に任せた方がいいのでは、と。
中小企業やベンチャー企業においての多様性は会社ごとに担保するものであって、会社の色自体が様々で「うちの会社だとこういう人が勝つ」という風に、会社の内側は一様性の方が機能するのではないか、というのが私の持論です。
それでは話を戻して、私が考える人材マネジメントの未来について紹介したいと思います。私は「不易流行」だと考えています。不易流行とは、松尾芭蕉が俳句の極意として残した言葉です。「物事には変えてはならないこと(不易)と、時代やその時に合わせて変えていくべきこと(流行)があり、そのどちらも持っているものが素晴らしい」という意味です。
人材マネジメントには流行りがすごくありますよね。今だと識学さんの「仮面のリーダーシップ」がそうかもしれませんし、少し前にはOKRやティール組織など、その時その時の流行が常に起こっていました。しかし、全ての流行りはずっと言われてきた不易、原理原則だとも思うんです。
例えばOKR。Googleやメルカリをきっかけに流行したようにも見えますが、OKRはもともとインテルの社長のアンディ・グローヴがドラッガーから習ったMBOが基になっています。MBOをインテルで工夫したものがOKRになり、それをGoogleやメルカリが参考にして行なった、というわけです。要はOKRを用いる上ではMBOという原理原則(不易)をしっかりと押さえる必要があるのですね。
以下の図は古野庸一さんという方が書かれた「『いい会社』とは何か」という本の抜粋で、日本の長寿企業かつ好業績を続けている企業の特徴を洗い出したものです。

これを見ていただくと、「時代の変化に適応し自らを変革」や「社会の中での存在意義を大事にする」、「長期的な視点での経営」、「人を尊重し、人の能力を十分に生かす経営」というように、当たり前と思うような内容が書いてあるわけです。
つまり、原理原則はずっと変わらないんだということが、この本からも分かります。しかし日々流行は起こり続けるので、それをどううまく取り入れていくかも大切。これが不易流行です。
本日は人材マネジメントについて語りました。改めて、人事とは「人を生かして事をなす」ことだと私は考えています。まずはご自身を生かすところから始まります。今日の内容その一助となれば幸いです。私のお伝えしたいことは以上です。

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