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イベントレポート


「事業に貢献する人事とは?」WHOM代表 早瀬恭と学ぶ【HR勉強会#2 イベントレポート】

投稿日:2023/8/24

更新日:2023/8/23

「事業に貢献する人事とは?」WHOM代表 早瀬恭と学ぶ【HR勉強会#2 イベントレポート】

2023年7月19日(水)に、HERPのユーザーコミュニティで勉強会を開催しました。

株式会社WHOM代表取締役CEOの早瀬恭さんが講師を、HERPユーザーコミュニティ・コミュニティマネージャーの西和田亜由美さんがモデレーターを務め、「事業に貢献する人事とは?」をテーマに語りました。

本記事では当日の内容の一部をご紹介します。

登壇者

株式会社WHOM 代表取締役CEO 早瀬 恭さん

JAC Recruitmentにおいて大阪・京都・東京勤務を経て、インド法人の立上げ、シンガポール法人の代表取締役社長、兼アジア域におけるリージョナルダイレクターとして勤務。その後リンクトインジャパンの事業部長として就任し、企業向けの採用ブランディング支援、人材開発支援、エンゲージメント支援に従事。2020年10月に株式会社WHOMを創業し、人事代行・採用支援・人事フリーランス支援を展開

HERPユーザーコミュニティ コミュニティマネージャー 西和田 亜由美さん

大学卒業後、新卒で航空会社に客室乗務員として入社。その後ITベンチャー企業2社を経て、2022年4月に株式会社ユーザベースに入社。現在は、NewsPicksを含めたユーザベースグループのDevRel・社内エンジニアのスキルを向上させる「Play Engineeringプロジェクト」のプロジェクトマネージャーを担当

目次

  1. 事業に貢献する人事とは?

  2. 市場で貢献度を高めるには

  3. 社内で貢献度を高めるには

    ‐生産力の確保

    ‐生産性の向上

  4. (おまけ)エクサウィーズ半田さん、令和トラベル田村さんの考え

事業に貢献する人事とは?

早瀬:今回は「事業に貢献する人事とは」という、やや壮大なテーマでお話をさせていただきます。はじめに私が考える「事業に貢献する人事になるために必要なこと」から説明できればと思いますが、ここで大切なのは「経験」だと考えています。

例えば同じバックオフィス系の職種でも、経理や法務、総務などの仕事には基本的に理論が存在します。しかし、人事という仕事にはあまり理論がなく、比較的経験則によって語られがちな世界です。「こうすればこうなる」「この場合はこれが正しい」といった方程式がない世界で、皆さんはご自身の経験をもとに日々奮闘されているわけですね。

こうした背景から、「事業に貢献する人事」になるためには、経験値を高めていくのが最も簡単な道しるべだと言えるのではないでしょうか。

しかし先ほどもお伝えした通り、人事というのは個別最適な仕事が求められる職種で、経営陣の方針やサービス内容、従業員数、市況などの周辺環境によってやり方が変わるため、どういう経験をどのように積んでいけばいいのかが分かりづらい世界でもあると思っています。

そこで人事の経験を、私なりに大きく「フェーズ」「施策」「リソース」という3つに分けて整理してみました。

フェーズというのは、主に会社がどの位置にいるかを意味していて、スタートアップなどで資金が潤沢にあって一気に拡大すべき時期なのか、ある程度大きな会社になってきてこれから盤石にしていくタイミングなのか、それとも上場に備える段階なのか。大体この3パターンのうち、ご自身がどういったフェーズの会社で活躍しているかを意味しています。それから手段は、主に「採用」「組織開発」「制度」「配置」といった4つの施策のうちどれを行なったか。リソースは「人」「時間」「お金」のどれを使ったかということです。

つまり「『会社がどんな状況のときに』『どんな施策で』『どんなリソースを使って』課題を解決したのか」という経験はおおよそ36通りに分類でき、この36通りのうちのどの経験を積むかを考えることが、「事業に貢献する人事」になるための近道だと考えています。

一度皆さんの人事経験がどこに該当しているか考えてみると、より分かりやすくなると思います。

西和田:一言で人事と言っても大企業の人事とベンチャーのひとりめ人事で異なりますし、会社のフェーズやソリューションの種類といった変数がさまざま存在する中で、自分がどの環境で活躍できるかということはポイントになりそうですね。

早瀬:あくまで「経験値」という観点ではそう思いますね。

さて、「事業に貢献する人事」の像がある程度分かった上で、次に「貢献度を高めるためには何が必要か」について、「市場の中での貢献度を高める」観点と、「社内で貢献度を高める」観点でそれぞれ説明していければと思います。

市場で貢献度を高めるには

早瀬:「市場の中で貢献度を高める」とは、数年後に転職して違う会社にいった時にも「この人貢献度高いよね」と思われるためにはどうすればいいかということですね。

ここでは私が敬愛しているCast a spell合同会社代表の青田努さんが書かれた「私たちの能力には『発動条件』がある。」というnoteを紹介できればと思います。

内容を簡潔にまとめると「万能な優秀さは存在せず、環境依存によってその人の持ち味や強みは変わってくる」ということを仰っていて、私はこれが人事という仕事に非常に当てはまることだと感じています。

例えどれだけ優秀な人事であっても、全く違うフェーズや分野の企業に行ったとしたら、きっと活躍するのに少し手間取ってしまうはずです。なので、皆さん一人一人が「ご自身の発動条件がどこなのかを知ること」こそが大切なのではないかと思っています。

また、事業に貢献する上では「再現性」も重要な要素です。

例として、以下の図では市場で評価されている著名な人事の方々の名前を挙げさせていただいているのですが、基本的には、会社の「フェーズ」は上から下に降りた方が、発動条件が整えやすくなると考えています。

次のステップを考える際は、「現在所属している会社のような状態を目指しているフェーズの会社」に降りていくというのが、再現性を高めるための一つの方法だと言えるでしょう。

社内で貢献度を高めるには

早瀬:次に、皆さんが現在働かれている会社の中で貢献度を高めていくにはどうしたらいいかをお話できればと思います。

会社で働く人事として貢献していく上では、いかに「生産力を確保」し、確保した生産力の「生産性向上」ができるか。それをどう支えていくのかが重要です。

具体的に言うと、どれだけ再現性の高い採用ができているか。「ラッキーパンチでいい人が採用できました」ではなく、そういった類の人をコンスタントに採用できる体制作りができているのか。そして、彼らの生産意欲を上げるための組織開発ができているかどうか。これらが循環する仕組みをつくることこそが、人事の至上命題になっているのです。

生産力の確保

まずは「再現性の高い採用をどうやっていくのか」という話から解説したいと思います。

これだけで2時間は欲しいテーマになってしまうため、ややポジショントークにもなってしまうのですが、1つ海外と比較をした事例をお伝えすると、組織内におけるフリーランスの割合はアメリカは既に36%で、3から5年以内には50%を超えると言われてます。対して日本は5%で、少しずつ伸びてきてはいるものの、まだまだアメリカを追い掛けるような数字感です。

この背景には日本の終身雇用制度や、労働法が雇用者に有利になっていることもあるのですが、今後は日本の状況も徐々にアメリカのようになっていくと思っています。

実際に、フリーランスの組織内立ち位置を「汎用的⇔自社独自」「実行遂行⇔戦略企画」の指標で表すと、もともとは「汎用的×実行遂行」の領域を任せやすいケースが多かった。けれども最近は副業の解禁やフリーランスの増加によって、「自社独自×戦略企画」の領域に副業社員や契約社員、外部委託社員が増えてきています。

出典:Korn Ferry ”Future of Work”

日本の正社員採用は本当に難しいんです。だからこそ、今後はより「選択肢を広げていく提案」ができるといいと思っています。

副業社員や契約社員のみならず、外国籍の方を採用するとか、女性活躍を推進するなど、いろんなことを含めた組織作りができるというのが、再現性のある採用を実現するために今後重要な要素になってくるのかなと。

西和田:今のお話でいうと、人事の役割という観点では、例えば経営陣や現場から「正社員でこういう人を採用して」とオーダーがきた際に、社内育成で解決できないのか、業務委託という方法もあれば、グローバル採用という選択肢もあるといった「ソリューションの提案ができること」は人事のスキルとしてポイントになりそうですね。そして、選択肢を提案するための普段から情報収集にアンテナをはることも大事になりそうですよね。

早瀬:ええ。人事という仕事は何もしなければ閉じられた世界になってしまいがちですから、ぜひSNSやコミュニティを通じた情報収集は意識していただきたいですね。

次に、こうした「組織を作る」といった話で避けて通れないのが「ジョブ型雇用」の話です。

以下はパーソル総合研究所のデータで、ジョブ型を導入検討、または導入している企業が全体の57.6%を占めているというものです。つまりジョブ型雇用は今後スタートアップにも必ず進出してくる話ですし、知見として備えておく必要があると言えます。

ジョブ型が進んでいくとどうなるかというと、基本的にはそのジョブの領域の中で人材配置を行い、人材開発をして、その中で評価制度や等級階級、コンピテンシーマップを作っていくような流れになっていく。そして、それを支えるHRBP、CHROという構造になるわけです。

それを踏まえると、今後人事というのは多機能化していくと思うんですよね。

例えばキャリアの中でCHRO(最高人事責任者)を最終ゴールとしたときに、必ずHRBP(部門人事、ビジネスパートナー)を経験しないといけないというわけではなく、CoE(各人事機能)からCHROになる方も出てくる。

いろいろなキャリアの可能性が広がるため、これからはある程度、自身が取得したい機能を明確にした上で経験を得ていくことが重要になると思っています。

西和田:ここまでのお話で伺いたいのですが、本日のテーマである「事業に貢献する人事」ということを考えたときに、何か1つの領域に特化した専門性も大事だけれども人事機能全体を理解するようなジェネラルな経験も必要大事なのかと感じました。

例えば、「採用」などの1つの領域に特化して業務をする時期もあれば、労務や組織開発等人事業務に関することを満遍なくやる時期もあるなど、「深さ」と「広さ」両方の経験が必要といった話も聞くのですが、この辺り早瀬さんはどうお考えですか。

早瀬:追って話す内容にもなりますが、人事として事業貢献する上では企業の中に時折現れる「歪」を解決することが一番のポイントだと思っています。できることや役割が制限されていると、権限がない故に「歪」を解決できないケースが出てきます。

そう考えると、事業に最大貢献するためには「広さ」が一定必要なのかなと。ただ、狭いのがだめかというとそういうわけではなく、その分「深さ」が問われる。そういう話なのかなと思いますね。

組織の生産性の向上

早瀬:次に「生産性の向上」についてお話していきます。せっかく入社していただいた方々に生産意欲を上げていただけるよう、皆さんが一生懸命楽しく働けるような環境をいかに整えるかというお話ですね。

最近の組織開発においては、「3つのE」が重要なポイントだと言われています。

1つ目の「Engage(エンゲージ)」はMVVやカルチャーといった内容で、2つ目の「Enable(イネーブル)」はできるを支える仕組みを整えるということ。3つ目の「Energize(エナジャイズ)」は1人1人の幸せ、ウィルビーイングを押し上げるといったものです。

この3つのEを支えるとなったときに、人事の機能としては事業部をサポートする「HRBP」、コンテンツ提供やリソース提供を行う「L&D」、メンバーをサポートする「イネーブルメント」といった3つの役割が出てきます。

それぞれの部門には適切なコミュニケーションスタイルがあり、まずHRBPは基本的に事業部のリーダーとしか会話をしません。

たまにメンバーのいざこざや現場のトラブルを解決すべく、メンバークラスにまで話を聞きにいくケースもあると思うのですが、それはHRBPではなく事業部のリーダーの仕事。HRBPの仕事はあくまでそのリーダーを通して部門を支えることにあるので、リーダーシップメンバーと定期的なコミュニケーションをとり、解決案を出していく。それでもどうにもならない場合はHRBPのトップと事業部のトップなどが話をして解決策を出す、というような流れが適切だと考えています。

一方、イネーブルメントチームは社員の生産性向上のための部門になるので、イネーブルメントの対象者となる社員とは誰とでもコミュニケーションを行います。

それからL&Dは教育マニュアルを作成したり、教育コンテンツを提供する部門なので、基本的には1対Nのコミュニケーションを行っていきます。

こういった人事機能を用いて生産性を向上させていくことが、人事全体のミッションとなります。

ここまでを総括すると、「社内貢献度の高い人事」になるためには、生産力の確保を行い、生産性を最大化して、彼らの生産を長期化していく。このサイクルをぐるぐるまわしていくことが重要になります。

それから先ほども少し触れましたが、会社は生き物なので、必ず定期的に「歪」が生まれてきます。その「歪」を見つけ、いち早く解決策を講じることができる人事こそが、社内貢献度の高い人事だと言えるのではと思っています。

(おまけ)エクサウィーズ半田さん、令和トラベル田村さんの考え

早瀬:最後に、参考として「事業貢献している」と早瀬が強く思う2名の人事にもお話を伺ってきました。まずはエクサウィザーズの執行役員、人事責任者の半田さんです。

半田さんは自社の事業領域を絡めながら攻めた施策を実行力高く回していて、業界でのプレゼンスも非常に高い方ですが、「事業に貢献する人事ってどういうことだと思いますか」と聞いたところ、こんな回答が得られました。

「貢献度を高めるには『心・技・体』のどれかで補うしかない。心として『基本的に人事は報われないので、自分よりも会社のことを考えられる心』、技術として『他の人事と差別化して特出した成果を出すためのスキル』、体『スキルで負けていたら死ぬほど働くしかない』。」

西和田:半田さんにはHERP主催の勉強会にも何度か登壇いただいて、noteなどもたびたび読ませていただいているのですが、とても半田さんらしい回答ですね。

早瀬:「基本人事は報われない」というところで、承認欲求が高い方よりも、プロデューサー気質が高く、黒子っぽく仲間の活躍を舞台裏から笑って見てるくらいの方の方が人事には向いているということをお話されていて印象深かったです。

もう一人、令和トラベル取締役CHROの田村さんは元リクルートの人事責任者で、遮二無二な施策実行ではなく、田村さん独自の理論に基づいて今後起きうる課題に大して先手先手で施策を打っている印象がある方です。田村さんのnoteは人事の皆さん必見です。

田村さんが考える「事業に貢献する人事」は「『今の課題の応急処置だけではなく、先回りして考えられる』『専門的知見を元に課題解決を提案実行できる』『事業側の視野・論点を広げられる』」というイメージだそうです。

早瀬:お二人の回答からも分かる通り、「事業に貢献する人事」にはさまざまな形があるものだと思っています。ですから今回の私のお話もあくまで参考程度にしていただきながら、今後もこうした勉強会などを通じて解決策を見出していきたいですね。

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