
投稿日:2022/3/22
更新日:2023/7/4
採用市場における競争が激化し、採用チャネルが多様化。候補者が企業に関する多くの情報を求める中で、限られたリソースで施策を推進するためには「現場社員の巻き込み」が欠かせなくなってきています。
そこで今回は、Mobility Technologiesの人事を務める若色拓磨さんをお招きし、ウェビナー「Mobility Technologiesが語る。わずか3名の人事で400名超の組織の採用を成功させる舞台裏」を開催。
従業員数が400人を超える中、人事担当はたったの3名という同社。現場社員との協力体制があるからこそ、テックブログやオンラインイベントの開催といったさまざまな採用・広報施策を実現できているといいます。
では、どのようにして現場との協力体制を築いていったのか? 若色さんに詳しく伺いました。
ゲスト
株式会社Mobility Technologies
人事担当 若色 拓磨さん
大学卒業後、新卒で会計システム開発会社でシステムコンサルティングを経験。その後サーキュレーションに転職し、toB向け新規開拓/コンサルティングを行う。2019年11月に株式会社divに転職し、人事領域全般を担当。2021年7月にMobility Technologiesに転職しエンジニア領域の採用を担う
モデレーター
Qiita株式会社 アシスタントマネージャー 渡邊 暖(以下:渡邊)
株式会社HERP マネージャー 冨田 真吾(以下:冨田)
冨田:今回はMobility Technologies(以下:MoT)の人事担当、若色さんにお越しいただいています。MoTは現在従業員数が400人を越えているそうなのですが、人事はたった3名とのこと。そこにはさまざまなノウハウが隠されているのではということで、詳しくお話を伺っていければと思っています。まずは若色さん、前提情報として、MoTの事業内容を伺えますか?
若色さん(以下:若色):われわれは「移動で人を幸せに。」というミッションのもと、タクシーアプリ『GO』など配車関連事業をはじめ、広告決済事業、乗務員向けソリューション事業、スマートドライビング事業、次世代向けR&D向け事業と大きく5つの事業を展開しています。

若色:先ほど冨田さんからもご紹介があった通り、現在の従業員数は400名ほど。組織構成は、ビジネス系、開発系、コーポレート、ヒューマンリソースという4つの部門に分かれています。中でも「開発系」が全体の人数の半数ほどを占めていて、次に大きいのがビジネス系の「GO事業本部」です。

若色:私を含む3名の人事が所属するのは「ヒューマンリソース」の中の「人事部」で、ここでは労務、採用、組織開発などの業務を手掛けています。その中で私は開発系、エンジニアやプロダクトマネージャーの採用を担当しています。
他の2人のうち1人はビジネス系とコーポレート、ヒューマンリソースの採用を担当していて、もう1人は人事部長という立ち位置で、主に労務、採用、組織開発のマネジメントをしています。
また正社員とは別になりますが、面談や面接の日程調整を担うコーディネーターが、開発系、ビジネス系、コーポレートでそれぞれ1名ずついる状況です。
冨田:年間の採用規模などについても伺えますか?
若色:具体的な数字は控えますが、開発系に関してはこの1年で10~20名ほどの幅で増えているイメージでしょうか。現在公開している求人数が全職種で69ポジション、開発系で30ポジションなので、非常に高い採用目標にはなっている、という状況です。

冨田:若色さんも入社されてまだ7カ月程度と伺っていますが、そうした中でこの規模の採用を3名で行うのは大変ですよね。どういった工夫をされているのでしょうか。
若色:工夫というよりも、大前提「一人で全部をやろうとしない」というスタンスを大事にしていますね。現場を巻き込んだ採用、HERPさんで提唱されている“スクラム採用”みたいなところを意識しています。特に当社では、お互いがそれぞれの得意分野を活かしつつ、フォローし合いながら進めていくスタイルを重視しています。
例えば先ほどお伝えしたように、日程調整の部分はコーディネーターに担ってもらっていますし、開発本部に採用広報チームを設けていて、エンジニア関連の広報活動は基本的に現場のエンジニアにお任せしているんです。スカウトにおける人材要件の設定や文面作成、送信なども現場の方に担っていただいています。
僕はそれ以外の業務、例えば採用ホームページの公開やジョブディスクリプションの作成、媒体選定、エージェントのオリエンテーションなどを担当してます。
冨田:なるほど。コーディネーターや現場のメンバーとかなり役割分担をされているんですね。その分連携やコミュニケーションも必要だと思いますが、そのあたりはどう進めているのでしょう?
若色:コーディネーターとは毎日ミーティングを行って、進捗漏れがないかどうかを確かめるようにしています。
事業部との連携については、エンジニアの部署ではエンジニアリングマネージャー2名と、人事部長と週1回1時間の定例ミーティングを行い、候補者の進捗確認や歩留まり、タスクの進捗共有などをしています。プロダクトマネージャー部は採用が少し落ち着いてきたため隔週定例にしていますが、同じように進めていますね。
冨田:つまり3人でこの規模の採用を担えるのは「現場の協力」があってこそ、ということだと思いますが、そもそも協力体制をつくること自体なかなか難しいですよね。若色さんはどのように現場を巻き込んでいかれたのでしょうか?
若色:仰る通り、「お願いします」とだけ言って協力体制ができるかというとそんなことはなく、お膳立て的なことは一定必要になると思います。
そこで、例えば現場の方にスカウトをお願いしたいとなったとき、大前提立ち上がるまでの期間はしっかりとフォローしないとうまく事が進みませんよね。大事なのは、ここを1人でやろうとしないこと。
例えば、スカウトって求人媒体を通じて行っているじゃないですか。求人媒体にはそれぞれ担当者さんがいると思うので、その方に「現場のエンジニア向けにスカウトのレクチャーをお願いします」と依頼するんです。
第三者を交えながら進めていくというのはすごくおすすめですよ。人事と現場で信頼関係がまだ形成しきれていない場合でも進めやすくなりますし、社内のメンバーだけで行うよりも意見が飛び交いやすくなる。1歩目からスカウト送信までいけなくとも、リストアップまではしてくれるようになるなど、変化が起きやすくなると思います。
冨田:なるほど。社員だけではなく、媒体のカスタマーサクセス担当者なども含めて巻き込むということですね。
若色:ええ。他にも、現場が考える人材要件の理想が高過ぎる場合などにも有効です。例えば、当社の場合はサーバーサイド開発でGoを採用しているので、「Go言語の経験が〇年以上」という要件が現場から上がってきたとしますよね。
そんな時は、「Go言語の経験がある人はどれぐらいいますか」と媒体の担当者に尋ねてみる。エージェントの方には「サーバーサイドをGoで書ける人をどれぐらい推薦できそうか」と聞いてみる。
すると、定量で答えが返ってくるので、それをそのまま現場に伝えてあげるわけです。その数が少ないのであれば、「じゃあGoに関連するJavaやCの経験者まで視野を広げてみようか」という話がしやすくなりますよね。
冨田:たしかにファクトベースで会話をすることは大切ですし、そのために媒体やエージェントを巻き込むというのは素晴らしいスタンスですね。媒体側としても、最終的に企業さまの採用が上手くいってナンボだと思っているので、頼っていただけるのは嬉しいです。
若色:それから基本的なことではありますが、現場の人との協力関係を築く上では、レスポンスの速さとか、分からないことは正直に聞くという姿勢も非常に大切です。
冨田:協力してもらうには、まずは信頼関係が欠かせないということですね。
若色:あとは、はじめの頃にランチや1on1などの、コミュニケーションの機会をつくりにいくというのもおすすめです。長い目で見たときに、最初の段階で現場と密にコミュニケーションを取ることによって、その後がかなり楽になる。
関係性が築けていないと、Slackなどでも「こんなこと聞いていいんだっけ」と遠慮してしまうことがあるじゃないですか。でも、話したことがある方であればそういうシーンで心理的なハードルが下がるので、やりやすくなるんですよね。
冨田:ありがとうございます。最後に、これから若色さんのように「周囲を巻き込んだ」採用活動を進められたい方にアドバイスをお聞かせください。
若色:方法はいろいろとあるとは思いますが、大切なのは「自分を変える」スタンスだと思います。人を変えるのにはかなり労力を使いますし、下手をすると余計にタスクが増えてしまいますからね。
変えるべきはまず自分で、「自分がどんなふうに変われば相手が変わってくれるのか」という考え方をするんです。例えば依頼をしてもなかなかうまく事が進まないとなった時に、これまではSlackで依頼していたものを、顔を合わせてミーティングをしてみたり、ランチで雑談を交えながらお願いしてみたりと、コミュニケーションの取り方を変えてみるとか。まずは自分に焦点を当てて考えることが大事なのかなと思いますね。
冨田:「巻き込む」というとついオペレーション整備をしたくなるけれど、そもそも「気持ちがどこまで揃っているか」の確認が必要ですよね。まず「事業部のミッション達成をする上で採用が重要だ」と認識しているのかとか。それが足りていないのであれば、そこの働き掛けからしなければなりません。
若色:会社全体で「全員で採用をやっていくんだぞ」という雰囲気ができればかなりやりやすくなりますよね。まだそこまで至っていない場合でも、自社のことが好きなメンバーって少なからず会社に所属していると思うので、まずはそういう人たちを探しに行って、気持ちが揃っている人たちと小さく始めてみる、というのも一つの方法だと思います。

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