
投稿日:2022/4/19
更新日:2023/7/4
エンジニア採用は年々売り手市場化が加速し、採用難易度が上がってきていることは紛れもない事実でしょう。
今回は、「エンジニア採用ブートキャンプ」と題し、NewsPicks・技術フェローの赤澤さん(以下、赤澤)、フリーランスで様々なエンジニア採用支援をされ、『採用・人事担当者のためのITエンジニアリングの基本がわかる本』の著書でもある中島さん(以下、中島)をお招きし、スカウトに関しての細かいレビューを行って頂きました。
レビュー頂いたのは「HERP User Community」内で募った、実際に企業が候補者に送った生のスカウト文面。エンジニア目線での感情を考慮したスカウトテクニックや、よくある失敗ポイントを鋭くついたレビューはスカウト文面を書き慣れている方でも必見の内容です。
ゲスト
中島 佑悟
元LAPRAS株式会社のマーケティング・セールスマネージャー。現在はフリーランスとしてベンチャーキャピタルをはじめとした複数の企業で事業支援を行う。著書に「データ分析営業 仮説×データで売上を効率的に上げよ」「作るもの・作る人・作り方から学ぶ 採用・人事担当者のためのITエンジニアリングの基本がわかる本」
赤澤 剛
ワークスアプリケーションズでのERPソフトウェア開発、LINEでの金融事業(新銀行立ち上げ)を経て、2020年5月よりユーザベースグループにジョイン。アルファドライブでは執行役員CTOとして、ニューズピックスでは技術フェローとして主に法人向けプロダクト開発と技術基盤開発に従事。
また、当日のモデレーターはコミュニティ運営メンバーでもある、READYFOR西和田さん(以下、西和田)にご担当頂き、人事目線での感想など交えて進行して頂きました。
モデレーター
西和田 亜由美
大学卒業後、新卒で航空会社でのキャビンアテンダント・CtoC系ベンチャー企業を経て、2019年10月にREADYFOR株式会社に入社。
現在は、READYFOR株式会社のエンジニアリング本部組織企画室でDevHRマネージャー。組織の要となるプロダクトチームのエンジニア採用・人事業務を主に、組織開発、技術広報(TechBranding)も担当。
※所属・部署名は当時
■中島さんパート 西和田:
今日は勉強会なので、皆さんも自分だったらどう送るかな?ということを一緒に考えながら進めていきましょう。最初のスカウトレビューは、ポジションはエンジニアリングマネージャー(Unityエンジニア)、想定媒体はLAPRASです。

西和田:では早速レビューしていきましょう!最初は中島さんからのレビューになります。
中島:これだけ見ると結構色々書いてるんですけど、大前提としてちゃんと良い文章を書けているスカウトであることはお伝えしておきたいです(笑)100点満点中、70〜80点は既にできている、素晴らしいスカウトである前提で聞いてもらえればと思います。

中島:まずタイトルですが、自分の中のルールとしてタイトルには「相手の固有名詞」を必ず入れているようにしています。求職者のお名前や、記事の名前を入れるのが良いと思います。
理由としては、スカウトって色々な媒体、色んな企業からもらうことになります。それが大量に並んでいることになると会社名だけが並んでいることになるので、その場合にそもそも開封されないことが多いです。特にLAPRASの場合、Gmailなど他のメールと並んで個人のメールボックスに入ってくることになるので、それを踏まえてタイトルを工夫することが重要です。
西和田:まずは開封されないとスタートラインに立てないですもんね。エンジニア採用って激戦なので、その状況を踏まえてスカウトを打つことがまず必要だと。開いてもらうポイントを押さえるという意味でエンジニア目線の赤澤さんとしてどう思われますか?
赤澤:僕はタイトルだけで興味ないな!と思ってしまうことが多いので(笑)それで一次スクリーニングにするのもありかなと思うんですが、素直に自分の思いを短く伝えるという意味で、「聞きたい」とか「聞いて欲しい」とかを入れることが多いですね。タイトルは工夫すべきだということは中島さんと同じ感覚があります。
中島:Tips的な話としては、LAPRAS、ビズリーチ、LinkedInなど様々な媒体側からサービス導入時に「こういうタイトルをつけて送ったりすると良いですよ」というアドバイスを頂けると思います。それをそのまま実践される人が多いと思うのですが、蓋を開けてみると結果同じようなタイトルが並ぶことになるのかなと。そういったことも踏まえて、タイトルには気をつけた方が良いのかなと思いますね。

西和田:次に行ってみましょうか。紫のポイントはどうですか?
中島:3つ改善した方が良いのかなと思っています。1つめは日本語が少し変になっているところですね。コピペを基に編集したのかなと思われてしまうと勿体無いので、日本語には気をつけましょう。
2つめは、記事を読んで声かけしたと理由を書いているのですが、そこが論理的に矛盾していないかは意識してもらいたいです。この文章だけ見ると受け手から「本当に文章を読んだのか?」と思われてしまう可能性があります。「課題」や「当事者意識」など抽象度の高い単語を使わないようにしましょう。
3つめは、スカウトした理由と、採用背景についてが対応している必要がある点です。ここは組み合わせとして見て欲しい文章ですが、関連性が薄い文章になってしまっています。僕もよくやってしまうんですが、気をつけたいところです。
西和田:文章を別の人に見てもらって流れとして整合性が取れているかを見てもらうのは良さそうですね。
中島:それもいいと思います。文章を書くときに今は何のパートを書いているのか、パーソナライズ部分、声がけした理由、というそれぞれのパートを見た時に論理的におかしくないかを意識すると改善しやすいと思いますね。

西和田:では3つめということで、グッドポイントの紹介ですね。
中島:これはすごいいいなと思った点です。日程調整URLを使うのは僕は本当に好きです。候補日が埋まってしまうことなくスマートに調整が済むので、ぜひ使ってもらいたいです。

西和田:次のパートにいきましょうか。
中島:緑の内容は、パーソナライズ部分、採用背景について触れた上で、さらに具体性を持たせたいパートとなります。ここがまだ内容が薄いなという感想を持ちました。なぜあなたが欲しいのかという内容にはなっていないと思います。
まず、①採用によって解決したい課題 は何か、②上記の課題を解決するために必要な業務 はこれで、③上記の業務の遂行に必要なスキル はこれなので、あなたが合っているという文章構成にすると良いかと思います。
西和田:なるほど。このスカウトの場合①で足踏みしてしまっている文章になっているということですね。採用背景の整理が重要なのがとても良くわかります。
中島:採用要件がそもそもアバウトになっていると、スカウトの段階で具体化するのは難しいです。この文章だとJD(Job Description)から見直すべきかなと思います。
西和田:赤澤さんこの文章はいかがですか。
赤澤:こういう風にロジカルに送るのも大切ですが、僕はどちらかというと思いや熱さを素直に表現して、「話を聞いてほしいです!!」というパッション系の文章も嫌いじゃないです(笑)送る人のタイプによって、変えていくと良いのかなと思います。送った人の文章とお人柄の期待値で、実際にお会いした時の候補者体験が良くなるので、送る人のタイプを感じ取れる文章にしていくのが大事かなと。

西和田:最後の水色の部分にいきましょうか。
中島:スカウトとは相手に何をして欲しいのかアクションを依頼するものだと思っています。カジュアル面談をしてもらいたいのか、選考に進んでもらいたいのか、イベントに参加して欲しいのか、何のアクションをしてもらいたいのかを明確にすべきです。
この文章を見た時に勿体無いなと思ったのは、最初に何をしてほしいかがなくて「ぜひ話してみたい」「体験会もできます」「オフィス遊びに来るでも」となると、結局何をしてもらいたいのかがぼやけてしまっているなと。
西和田:理想は次のアクションを明確にすることもそうですが、誰が出てくるかなどの具体的な情報があると良いということですね。
中島:カジュアル面談で一番心理的障壁になりやすいのって、その面談に誰が出てきて、何の内容について話すのかがわからないってことだと思うので、それを明確に書くのが大事です。
赤澤:逆に僕だったら、スーツ来ていかないといけないのかなと身構えちゃうかもしれません(笑)「オフィスでアイス食べ放題だからおいでよ!」ぐらいのお誘いの方がありがたいかなーと思ったりするタイプです。

西和田:続いて同じスカウトの赤澤さんのレビューにいってみましょう!同じくタイトルのところですね。
赤澤:そうですね。先ほどもお伝えしましたが興味あるか、という表現は悪いわけではないのです。ただ、極端にいうとあるかないか、で聞かれた時に「ない」となってしまう可能性もあるので、開封してもらいやすくするのであれば、中島さんが仰ったように相手の固有情報を入れたり、想いを伝えて魅力づけするのが良いかと思います。
西和田:まさにここでフィルターをかけたい意図があればいいですが、ここで離脱する可能性を踏まえてタイトルを設定しないとですね。

西和田:2つめのところにいきましょうか。
赤澤:ここも中島さんと似ています。私は候補者の名前を伏せてスカウト文を並べた時に、自分宛に送られたスカウトを「これは私に対しての文章だな」と感じられるようにしないといけないなと思っています。私自身も本当にいいと思ったら記事の中身を引用したりとか、大事にしている感覚やワードを必ず入れるようにしています。
例えば、「厳密すぎないAtomicDesignをフロントに適用した」という表現が入っていたとすると、「厳密すぎない」というところに色んな苦労が詰まっていると思うんです。AtomicDesignってデザインの手法としてフロントのコンポーネントを厳密にしすぎてしまうと歪んじゃうこともあったりして。その苦労がわかる人であれば、そこに共感して触れるようにしています。
記事を読んだ上でより具体的に、自分が大事にしている感覚を共有できている、こだわりをわかってくれている、というところまで持っていけるかどうかが重要だと思います。
西和田:パーソナライズが弱いということですね。うまくパーソナライズできているかを確認する目安として、名前を隠しても誰のことなのかがわかるかどうか、というのを参考にすると良さそうですね。

西和田:次にいきましょうか。緑のパートですね。
赤澤:前提としてこの文章もとても良いと思いました。その上で、「面白い局面にあります」と言い切るよりも、主観の話ではなくその人にとって「こう思ってもらえるんじゃないかと思っている」というニュアンスで伝えると良いかなと思いました。
私は、いつも会社と個人でGive&Takeが成立するかどうかを意識して、面接面談や文章、組織作りをしています。それを意識すると、一方的な押し付けではなく、これまでの経験がすごく活きる部分とチャレンジする部分両方ありますよという伝え方や、候補者を中心にした上で自社の立ち位置はこうですという伝え方に出来ると思います。
西和田:中島さんも色んな会社のスカウトを見られていると思いますが、いかがですか?
中島:ほぼ8割の企業さんが、自社の立場のみで伝えてしまっていると思いますね。その視点を変えられるだけで、突き抜けたスカウトに変わっていくと思います。

西和田:次いきましょう。
赤澤:ここは敢えて細かく突っ込んでしまうのですが、「OKです」と言われると、来てもいいよという許可の感覚を僅かに感じ取ってしまうんですよ。候補者体験を損ねないために、ちょっとしたニュアンスも大事にしたいところです。

赤澤:次のパートも同じような小ネタなんですが、日程の中から選んでください、で締め括るよりかはもう少し候補者に寄り添った表現にしたいなという感覚がありますね。。「もし合わない場合いつでも言ってください!」とかの気遣いワードがあるだけで少しずつ印象は変わるかと思います。本当に細かいですけど、積み重ねが大事だと思います。
西和田:こういった細かい部分の違和感を失くし、気遣いを入れていくことで、印象がガラッと変わるんですね。

西和田:中島さん、赤澤さんありがとうございました。改めて最後に、スカウトの極意のまとめをお二人からお願いいたします!
中島:繰り返しになりますが、スカウトでは、背景とパーソナライズ部分が重要です。そこが矛盾しないようにしましょう。そのためには、そもそもの採用要件が具体的になっていることが必要です。スカウト段階でいきなり具体化していくのは難しいので、採用要件を先にブラッシュアップした上でスカウト文に落とすようにしてください。
赤澤:僕のまとめとしては3点あります。1つめは自分が普段使う言葉で送って欲しいということ。私自身の言葉でいうと(笑)とか草とか入っていてもいいのかなと思っています。2つめは。候補者の大事にしている価値観を読み取って、そこについて共感したポイントを反映させるということ。3つめは、極力ですがスカウト送付者と面談担当者が一致するようにしましょうというところです。ここも違和感を与えないようにという配慮ですね。
西和田:やってしまっているなと反省も多かったですが、本当に学びのある会でした、ありがとうございました!!
今後もさまざまなテーマで、イベントや勉強会を開催してまいります。自社で感じている採用・人事課題をコミュニティで解決したいという方はぜひ次回以降のご参加をお待ちしております!(こんなのやってほしいというアイデアも随時募集中です。)

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