
投稿日:2024/7/16
更新日:2024/7/12
2024年6月6日(木)、HERPユーザーコミュニティで勉強会を開催。今回はゲストの方が執筆したnoteをもとに、執筆に至った背景や裏話を伺い、採用に関する知見を学ぶ「あのnoteを深掘りしたい!」シリーズの第1弾として、株式会社Gaudiyの山本さんをお迎えしました。
今回深掘りしたnoteは、山本さんが今年1月に執筆した「出会いを資産にする『ファンベース採用』という概念」。本記事ではイベント中に語られたnoteの解説や具体的な取り組み内容はもちろん、noteには載っていない最新チャレンジなどについてもご紹介します。
新卒で住友商事に入社し、国際貿易業務に従事した後、ベンチャー企業へ転職。2019年よりWebメディア『SELECK』の編集長を務める。2021年にGaudiy入社。人事・広報領域の立ち上げ、組織拡大をリード。現在はHR/PR責任者としてコーポレートコミュニケーション領域を管掌
大学卒業後、新卒で航空会社に客室乗務員として入社。その後IT系企業2社を経て、2022年4月に株式会社ユーザベースに入社。人事企画・技術広報・組織開発等を担当。現在HERPユーザーコミュニティでは、コミュニティマネージャーを担当
西和田:本日は山本さんが1月に執筆されたnote、「出会いを資産にする『ファンベース採用』という概念」の内容を深掘りしていきたいと思います。本題に入る前に、昨今の採用市場については、どのようにお考えでしょうか?
山本:皆さんすでに同じ感覚をお持ちかと思いますが、昨今の採用市場は売り手市場が続いていて、特にエンジニアやデザイナーなどのプロダクト人材が奪い合いになっています。

山本:さらに、優秀な人ほどX(旧Twitter)の「〇〇に入社しました!」というポストで転職を知るようなことも多いと思っていて、水面下で次の職場が決まっているケースがどんどん増えている感覚があります。
そうした状況下で、転職を考え始める前にいかに接点を持てるかが、採用の成否を分けるのではないかと考えています。
西和田:企業側が、採用媒体などで「転職活動中」等のステータスになっていることに気付いても、その時点ではもう遅い、ということですね。売り手市場という点では社会背景として少子高齢化で労働人口が減っていたり、働き方の多様化が進んでいたりといったさまざまな要因があると思いますが、スタートアップならではの特徴などはありますか?
山本:スタートアップの採用では「スキルマッチ」や「カルチャーマッチ」が重要視されますが、スタートアップの特徴として事業と組織のフェーズが目まぐるしく変わっていく点から、「タイミングマッチ」も非常に重要だと感じています。
お互いにマッチするタイミングで結ばれるためにも、やはりあらかじめ自社の存在に気付いておいてもらい、転職の第一想起群に入ることが大切だと思っています。
西和田:その上ではやはり、noteやXなどでの発信が重要になるのでしょうか?
山本:そう思います。ただ、ウェブ上に良質なコンテンツが溢れ、皆さん普段の業務が忙しい中で、自社の記事に気付いて読んでもらうことの難度が高まっています。
自分自身が普段どういう記事に目を留めるかを考えてみても、直接の知人や、自身がフォローしている界隈のリーダーなど、信頼をしている人がお勧めしているコンテンツを見ることが多いです。だからこそ、ただ発信を増やせば良いのではなく、人からお勧めされるようなコンテンツを作ることがポイントになると考えています。
西和田:たしかにX一つとっても情報量が多いので、知人が引用リポストしている記事は目に入りやすいと感じます。つまり、そういう方々に“推される”会社が採用に強いということですね。
山本:そうですね。ここから本題のファンベースの解説に少しずつ移っていければと思います。まず「ファンとは誰か」について。
正解はないのであくまで例として捉えていただければと思いますが、Gaudiyではファンを、「企業のことを推してくれる人」と定義しています。「推してくれる」とは、Gaudiyのことをよく知っていて、その人の言葉でGaudiyを語れる状態だと考えています。
次に、どんな人が推奨者になり得るか。私は「直接接点を持ったことがある人」というのが大きい要素だと思っています。
具体的にはGaudiyの卒業生や、一度選考プロセスに乗ったものの辞退やお見送りになった方、サービスの顧客やユーザー、株主、ミートアップやカジュアル面談でお話したことがある方……。そういう方々が推奨者になり得ると、Gaudiyでは考えています。

西和田:「ファン」というと顧客やカジュアル面談でお会いした方などは想起しやすいと思いますが、卒業生や辞退者、お見送りの方もファンの定義に入るのですね。
山本:はい。最もコアなファンは社員だという前提で、「その外側の層」と考えたときに、選考プロセスを一度通った人や卒業生は自社のことをよく知った上で離れているため、彼らにもファンになってもらいたいという思いがあります。
西和田:なるほど。次に、noteのタイトルにもあった「ファンベース採用」の“ファンベース”とはそもそも何かを伺えますか?
山本:この言葉は佐藤尚之さんの書籍『ファンベース』からきています。これはマーケティングの本ですが、簡単に紹介すると「単発のプロモーション施策で終わらせず、消費者との継続的な接点をつくり、ファンになってもらうことが長く売れ続けるために大事」といった内容が書かれています。

私は採用の文脈でも同じように、長く選ばれ続ける会社になるためには、やはり候補者さんとの継続的な接点をつくってファンを増やしていくことが重要だと考えています。この本を初めて読んだとき、自身の採用活動を振り返って「自分がやっているのはこの思想だったんだ」と言語化できた感覚がありました。それから「ファンベース採用」と名付けて取り組んでいます。
西和田:今回の「ファンベース採用」は、マーケティングの概念からきていたのですね。
山本:次に、「企業を取り巻くファンベース」について、以下のような図に表しました。
Aの最もコアなファンにあたる部分は先ほど申し上げた通り「社員」となり、その外側のBが推奨者(ファン)。そこから関心層、認知層、認識なし…というふうに、グラデーションになっています。

山本:ここで冒頭の記事のシェアの話につながりますが、社員や推奨者の熱量が高ければ高いほど、その数が増えれば増えるほど、A・Bが熱源となってだんだんとファンベースが広がっていきます。つまり、関心層よりも一歩踏み込んだ推奨者をいかに増やせるかが鍵となるわけです。

西和田:エネルギーが内から外にかけてどんどん広がるイメージですね。
山本:採用活動では「まず知ってもらわなければ」と、つい外側の認知獲得から攻めたくなると思いますが、個人的には内側になればなるほど注力すべきだと考えています。採用の前にまず社員。候補者の母集団を新たにつくるよりも、今選考プロセスに乗ってる人たちに尽力する。その方が結果的に採用がうまくいく実感がありますね。
西和田:次に、実際にファンベース採用を進めていくにあたってのポイントを伺えますか?
山本:実践ポイントとして以下の3つをお話できればと思います。
1.採用活動を「線」ではなく「円」にする
2.「認知の壁」を越え、「関心の入り口(Category Entry Point)」を多数つくる
3.ファンがファンを連れてくる状態をつくる
山本:まず1つ目について。多くの企業では、選考プロセスが一方向に進んでいき、一度辞退やお見送りになった場合、候補者の方との関係性が途絶えてしまうことが多いと思います。しかし、それを途切れさせずにしっかりとファンベースの円上に乗せていくのが、非常に大事なポイントです。

山本:それから、たとえ辞退やお見送りになったとしても、ファンベースでいう「無認知層」に戻るわけではありません。理想としては関心層や認知層まで熱量を下げることなく、推奨者の層に留まっていただき、タイミングが合うときに再び「コアなファンの円弧上」に乗っていただくことです。

山本:特にスタートアップにおいては、どんなに優秀な方であっても「今のフェーズにはマッチしない」ということがよくある中で、そういった方との関係性を途切れさせずにキープインタッチできる状態をつくることがとても重要です。
西和田:ポイントの2つ目は「『認知の壁』を越え、『関心の入り口』を多数つくる」ですが、今度は外側からの観点で、これまで自社を知らず認知していなかった人が認知する入口ということでしょうか。
山本:はい。より内側を重視する考えは変わりませんが、とはいえ熱源の伝播にも限界があり、全く認知のない人に自社の情報を届けるのは、特にスタートアップにおいては難しい課題です。この「認知の壁」をいかに越えるかが、ファンベースの裾野を広げる上で重要なポイントだと思っています。

西和田:ここは採用広報の領域に入ると思いますが、Gaudiyさんではどのように取り組まれているのでしょう?
山本:1つ意識しているのは、「自社を主語にしない」ということです。
例えば、社員インタビューなどのコンテンツは選考に乗ってくれた人に対しては有効なコンテンツですが、そもそも自社を知らない人には届きづらいですよね。そうした人たちに届けるためには、自社よりももっと外側の、何かしら接点になるようなテーマで発信することが大切です。
実際にGaudiyでは、代表のnoteでWeb3やAIなどのナレッジをテーマに発信したり、YOASOBIのプロデューサーを招いて「日本発エンタメが世界で勝つための条件」といったテーマでイベントを開催したりしています。

山本:自社を表に出し過ぎずさまざまなテーマで発信することで、各テーマに関心のある人たちが集まり、Gaudiyという会社の存在を認知してもらう導線にもなると考えています。
西和田:認知獲得を考えとき、自社のことを知ってもらいたいが故についポジショントークをオウンドメディアで発信してしまいたくなると思いますが、そうではなく、もっと多くの方に楽しんでもらえるようなテーマのコンテンツを重視した方がいいのですね。
山本:ええ。むしろ採用のことはあまり考えず、世の中やそのテーマに関心がありそうな人にとって価値があるコンテンツを生み出すイメージで取り組んでいます。
これに加えて、人によって興味関心のポイントは異なるので、自社に繋がる入り口を複数用意しておくことも大事だと思っています。エンジニアなら言語や開発環境、デザイナーならUXリサーチやデザインシステム…というふうに、関心の入り口(Category Entry Point)を複数持っておき、どこかしらに刺さるよう、導線の強化を意識しています。

西和田:最後のポイント「ファンがファンを連れてくる状態をつくる」は、今までの話にも通じてきそうですね。
山本:やはり最もコアなファンは社員ですから、彼らに布教してもらうことが重要です。ここの熱量を高めなければファンベース採用は成り立ちません。
その上で、佐藤さんの『ファンベース』で「ファンはファンであることに自信がない」と書かれているように、マーケティングの世界でも「自分が良いと思ってるものが他者にとって良いかどうかは自信が持てない」ということが言われています。

山本:スタートアップにはビジョン共感で入社している人も多いと思いますが、とはいえ労働環境がハードだったりするため、自身が「いいな」と思っていても他の人には勧めづらいという人もいます。この「ファンの自信のなさ」を解消するために、書籍では「第三者の口コミ」が大事だと書かれています。
それを参考にして、Xで見つけた良いコメントを、社内のSlackで共有するようにしています。例えば最近だと、創業6周年の時に開催したワークショップの内容をnoteに書いてくれたメンバーがいたのですが、それを見た他社の方が「自社でもやってみました」と投稿してくれていたので、それをピックアップして「真似してくれたらしいですよ!」といった形でシェアしたり。
HRやPRは社外との接点を持つ職種なので、意識的に社外のポジティブな声を共有すると、社員が自社に少しずつ自信を持てるようになりますし、社内の雰囲気も良くなっていくのでは、と感じています。
西和田:ポジティブなリアクションを社内で一緒に共有できるのは素敵ですね。
「ファンがファンを連れてくる状態」という点で、リファラル採用などはすごく想像しやすいと思うのですが、辞退者やお見送りの方に対してはどうアプローチされているのでしょうか?
山本:私の場合は候補者の方に確認を取った上で、SNSでつながっています。私自身が自社の情報コンテンツを発信することで、風化せずに常に情報に触れてもらうといった意識で運用しています。
それをベースにしつつ、大きな事業の動きがあったタイミングなどで「お久しぶりです。最近どうですか?ちなみにGaudiyではこういう動きがあって、もしよければ…」といった形で連絡してみたり、「今度イベントやるのでいかがですか?」とお声がけしたり。かなり地道なことをやっていますね。
西和田:つながりをつくっておいて、タイムリーに事業の動きや最新のプレスリリースを認識してもらいつつ、別途1to1のやり取りもつくっていくイメージですね。
山本:そうですね。自社コミュニティで囲うよりも、その人が普段活動している場で情報の接点を薄く持っておいて、ここぞというタイミングで連絡を取るといった動き方です。
XでつながるとYOUTRUSTのつながり候補にも出てくるので、YOUTRUSTでもつながっておき、転職意欲のステータスの変化などがあればXからご連絡する…というアプローチも多いですね。
西和田:最後に「ファンベース採用の仕組み化」の話に移りたいと思います。
山本:社員をコアなファンとして「ファンがファンを連れてくる状態」をいかにつくるかというところで、最近の事例を紹介できればと思います。
Gaudiyでは社員が参加したくなるような「エンタメ感」を意識しています。例えばリファラルの声がけ対象リストアップでは、ただスプレッドシートに記入してもらう「もくもく会」のような形式ではなく、交流会をセットにした「リストアップするまで帰れまテン」というイベントにして開催しました。
Gaudiyには「シャッフルGathering」という懇親会補助制度があるので、それを利用してオフィスで食べたり飲んだり喋ったりしながら2時間ぐらいかけて実施したところ、9人で120人ものリストアップができたんです。

西和田:素晴らしいですね。タスク化してしまうと、依頼した側にも関わらず「まだ書いてないんですか?」「期日いつまでです!」といったコミュニケーションになりがちなので、エンタメ感はやはり大事だと感じました。
山本:ほかには「お誘いごはん制度」というものもあります。リストアップした後に、口実があった方が声がけしやすいと思い、「Fandom Dinner Ticket」というリファラル用の食事券を3枚綴りで作りました。
使うたびに6000円、7000円、8000円と上限金額が上がっていく仕組みで、これを使ってご飯にいった人にはSlackに投稿してもらうという運用にしたんです。

すると、その投稿をみた他の社員から「めっちゃいいね」「自分も美味しいもの食べにいきたい」といった反応があり、他の人の利用につながる循環が生まれています。また、「ごはんチケットを全社員に配りました」とツイートしたことで、社外の知り合いの方から「チケット配られたんでしょ?」といった連絡が来て、ご飯につながった人もいたようでした。
西和田:リファラルのご飯制度を用意している企業は多いと思いますが、「ご飯に行ったら申請してね」という運用になりがちですよね。写真をSlackに上げるのは皆さんもすぐ使えるTipsですし、かなり促進されそうです。
山本:もう一つ、現在トライアル中ではあるのですが、Gaudiyでは現在、タレントデータベースと選考データベースをリンクさせる形でNotionのデータベースを組んでいます。
ファン度合いや自社とのマッチ度、ネクストアクション候補、ネクストアクション実施日といったプロパティを入力し、キープインタッチするオーナーを設定。誰がいつ何をやるかを決めて、追いかけ続けるという仕組みで運用し始めています。

西和田:いつ誰がどういうトリガーで連絡を取るか、というところまでしっかりと決め切るのは良いですね。
山本:なかなか徹底するのが難しいところなので、これを採用定例のフォーマットに組み込んでアクションしたかを確認しています。とはいえ課題も多く、まだまだ試行錯誤しているところです。
西和田:ファンベース採用の考え方は、採用にももちろん役立つと思いますが、採用広報や組織開発などのいろんな分野で大事なヒントがたくさん詰まっていました。本日はありがとうございました。

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