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イベントレポート


採用担当が知っておきたい、エンジニア転職動向の変化~エンジニア288人の転職活動の“本音”から見えた採用の秘訣~ 【イベントレポート】

投稿日:2023/12/15

更新日:2023/12/14

採用担当が知っておきたい、エンジニア転職動向の変化~エンジニア288人の転職活動の“本音”から見えた採用の秘訣~ 【イベントレポート】

2023年10月26日(木)にHERPとForkwellの共催イベント「採用担当が知っておきたい、エンジニア転職動向の変化~エンジニア288人の転職活動の“本音”から見えた採用の秘訣~」を開催しました。

イベント前半ではHERPの冨田から、エンジニア288人への転職活動にまつわるアンケート結果を踏まえた採用活動のポイントについて紹介。後半ではITエンジニアのキャリアに本気で向き合う転職サイト『Forkwell』の赤川さんから、エンジニアの転職動向について解説がありました。本記事ではイベントの内容をご紹介します。

登壇者紹介

株式会社HERP  冨田 真吾

新卒で株式会社ビービットに入社。デジタルサービスのUXコンサルティングに従事したのち、SaaS型の分析クラウドのインサイドセールスチームの立ち上げ、プライシング戦略の立案などに従事。2019年7月HERPに参画後はレベニューマネージャーとして数百社の採用管理システム導入・定着を推進。2021年以降は、自社の採用や組織開発も担当

株式会社grooves ドメインエキスパート 赤川 朗

Forkwellを運営するGroovesが社員数10名のときに新卒入社。Forkwellのプロダクトマネージャー兼エンジニアチームのマネージャーを経て、2017年よりForkwellの事業責任者に就任。2021年9月より事業責任者を離れ、現在は新規事業の立上げに携わる

目次

・エンジニアが転職活動時に重要視する項目Top3

・エンジニアが最も「重視しない」項目、去年で大きく変化した項

・採用担当が知っておきたいエンジニアの転職動向変化

エンジニアが転職活動時に重要視する項目Top3

冨田:イベント前半では、HERPとgroovesが9月に共同で実施した「エンジニアの転職先決定要因に関する調査」の結果と、それを踏まえた採用のポイントをお伝えしていきたいと思います。

(参考)【HERP×grooves】エンジニアの転職先決定要因に関する2023年版調査レポートを公開

アンケートの内容は、Forkwellに登録するエンジニア288名に、以下12項目の中から「転職時に重要視する観点のトップ3」を選択してもらうというものでした。回答数の多かった項目を、3位から順に解説していきます。

<回答項目(以下の中から3つまで選択可)>

・企業理念や文化、ミッション・ビジョン
・企業ブランド・知名度
・企業の規模・安定性・成長性
・プロダクトの魅力
・開発技術・開発環境
・その企業や人材が持つ技術力・ノウハウ
・従業員の人柄・雰囲気
・収入・待遇
・自身の成長可能性
・勤務地や勤務時間
・リモートワークの可否
・ワークスタイルの魅力

第3位は「自身の成長可能性」

冨田:第3位は「自身の成長可能性」で、全体の33.3%の得票率でした。

冨田:この項目が上位になった背景には、エンジニアの職業特性が関係していると考えています。言語や技術に流行り廃りがある中で、絶えずスキルを磨き成長していかなければ、数年で市場価値が下がってしまう。そうした意識がビジネス職よりも根強い傾向があるからこそ、成長できる環境であるかどうかという点が重視されるのではないでしょうか。

赤川:たしかに、エンジニアが使っている技術はどんどんコモディティ化しています。例えば3年ほど前まではフロントエンドエンジニアという職種が注目されていて、新しいフロントエンド技術が次々と登場し、専業特化の動きも盛んでした。しかしだんだんと技術が汎用化されていくにしたがって、フロントエンドエンジニア自身がバリューを出しにくくなっていった。こういうことは定期的に起きています。

技術の発展によりエンジニアとしてのスキルの伸びしろが狭まっていく中で、「自身の成長」といっても単なるスキルアップだけではなく、「事業に貢献していく」「エンジニアリングマネージャーとしてチームに貢献していく」といった成長の方向性を考えるエンジニアも、最近は増えてきているように感じますね。

冨田:ではこの「成長可能性」があることを採用活動の場でどう伝えていくべきか。一つはロールモデルとなる人とコミュニケーションを取る場を設定する、という方法が考えられます。赤川さんが仰った通り、成長の軸は人によって異なります。自身と同じ軸を持つ人がここで成長したという実例を見ることにより、「同じような経験が得られそうだ」という認知につながるはずです。

それからもう一つ、「オファーレター」という手法もおすすめです。特に、内定の条件だけを書いて済ませるのではなく、入社後の期待を2、3年以上のスパンでお伝えしていくことが大切です。それから良い部分はもちろんですが、候補者の課題点や伸びしろを伝え、成長の必要性や可能性があることを実感してもらうことも重要なポイントですね。

第2位は「開発技術・開発環境」

冨田:第2位は「開発技術・開発環境」で36.1%の得票率となりました。

冨田:こちらについても職業特性が影響していそうで、エンジニアは自身の経験やスキルと開発技術・開発環境がマッチしない状況では、どうしても実力を発揮することが難しくなります。そうした点で不自由を感じたくない、という背景が考えられそうですね。

赤川:ミスマッチの他にも、開発環境が劣悪な企業に入ってしまうと、やりたいことがほぼ実現できなくなってしまうため、そういう会社は避けたいという意見もありそうですね。エンジニアの言葉でよく「地雷を避ける」なんて言い方をしますが。

「超魅力的な開発環境じゃないとダメ」ということではなく、仮に道半ばだとしても、これから自分の力で変えていく余地があるかといった点を重視している人が多いように感じます。

冨田:採用活動に活かすポイントとしては、技術スタックにまつわる情報をしっかりとWeb上に用意しておくことでしょうか。そうした情報がまとまって公開されているだけで、最低限の技術投資をしているという表明にもなり得ます。

赤川:ドキュメントは内容をただ列挙するだけではなく、どんな技術を求めているかが分かるよう、できるだけ整理して書くのがおすすめです。メガベンチャーなどの求人票はどれも分かりやすくまとまっていますから、参考にしてみると良いかもしれません。

第1位は「収入・待遇」

冨田:第1位は「収入・待遇」で、54.9%という圧倒的な得票率でした。

冨田:エンジニアのオファー年収は右肩上がりの傾向がまだ強く、根本的に売り手市場が続いています。マクロのトレンドでいくと開発の内製化の動きがあり、SESや受託開発企業に務めていたエンジニアが収入や待遇の改善を見込んで転職している流れもあるように感じますね。

赤川:私が経験したエンジニアの転職相談では、「年収を気にしない」という人は年収800万円以下の人では出会ったことがないですね。現年収が900万円を超えてくると気にしない人もわずかに出てくる印象ですが、基本的にはみんなが重要視している項目だという前提で捉えておくのがいいと思います。

冨田:企業によっては「そんなにオファー金額が出せないよ」というところもある中で、採用活動では「本音の部分でコミュニケーションを取れる状況をつくること」が大切です。

候補者が何を大事にされている方で、なぜその金額が必要だと思っているのかを理解できると、アプローチの仕方も変わってくるはずです。こういった部分を橋渡しするのが採用担当の腕の見せ所ですから、本音を引き出す方法をたくさん用意しておけるといいですね。

エンジニアが最も「重視しない」項目、去年で大きく変化した項目

冨田:次にワースト1位の項目と、2021年の調査から得票率が最も大きく変化した項目についても紹介していきます。

ワースト1位は「企業ブランド・知名度」

冨田:最も得票率が少なかったのは、4.2%で「企業ブランド・知名度」でした。

冨田:ビジネス職の場合は企業ブランドや知名度がバリューを出すための大きなアドバンテージになりやすくなることもありますが、開発職の場合そこまで影響しないため、重要視していない人が多いのかもしれません。

よく採用担当者の方から「私の会社はブランド力や知名度がないからスカウトの返信率も低くて…」というようなお悩みを伺うことがあります。しかしこの結果を見る限り、企業の知名度やブランド力を嘆く必要がないことが分かりますよね。

当たり前のことを分かりやすく細部まで伝え、求職者さんのことを理解し、マッチングを見出していけば、いつか良い人に出会えるという証拠にもなるアンケート結果だと思います。

赤川:もちろん、企業ブランドを引き上げた方がより有利になるという事実もありますから、悲観的になり過ぎずに実態の部分から勝負をしつつ、余力の範囲で自社の広報リソースを少しずつ強めていけるといいですよね。

2021年比で最も変化が大きかったのは「リモートワークの可否」

冨田:次に、2021年のアンケート調査から最も変化の大きかった項目について紹介します。2023年調査では8位となっている「リモートワークの可否」ですが、前回調査で17.3%だったところから7.7%アップし、25%に上っていました。

冨田:これに関連して、リモートワークの縮小や廃止をする企業が増える、いわゆる「出社回帰」現象についてどう考えているか調査したところ、賛成派・反対派が真っ二つに割れる結果になりました。

冨田:例として組織を横断的に見る必要があるマネジメント層や、周囲にアドバイスをもらいたいジュニア層は「オフィスの方がやりやすい」という意見を持っているケースが多いようです。一方で子育てや介護をしている世代や、仕事のスタイルとして一人で黙々と進めたい方の場合はリモートワークを望む声が多いようですね。

赤川:ひとくくりでエンジニアといっても、当然年代や経験値によって重視する環境や項目が異なります。リモートワークに関しても、どういうペルソナを採用したいかによって、打ち出しを変えていくのが大切なのかもしれませんね。

採用担当が知っておきたいエンジニアの転職動向変化

赤川:続いてForkwellの目線から、この10年程のエンジニア転職のトレンドについて解説したいと思います。

さまざまな視点で見るエンジニアの転職・採用動向

赤川:以下はForkwellに掲載される求人票の下限年収と上限年収をグラフ化したものです。10年前は下限年収平均が400万円を切る数字だったのが、現在は570万円まで上昇。上限年収も770万円から950万円程度まで上がっており、1年計算で17万円程度ずつ上昇していることが分かります。

赤川:とはいえ下限年収で募集する際のエンジニアのレベル感は10年間でそこまで変化はなく、エンジニアの需要が伸びた結果だと捉えています。各社の給料テーブルが市場動向と合っているかどうか、ぜひ見てみていただきたいですね。

次に、Rubyエンジニア100人に対し、本業・副業・転職それぞれで直近1年間にどれだけ昇給したかを聞いた結果が以下です。

赤川:中央値で見たときに、本業の査定で大体20万円程度、副業で75万円程度、転職で100万円程度上がっていることが分かりました。

次に、リモートワークのトレンドについて。2016年から2023年にForkwellに掲載された求人のリモートワーク実施割合を調べてみました。

赤川:やはり2020年のコロナ禍を経てフルリモートの割合が急激に増加しており、現在では50%の企業がフルリモートを、95%の企業が何かしらのリモートワークを許可している状況でした。

カジュアル面談の重要性と対策

赤川:次に、カジュアル面談についても解説していきたいと思います。2021のアンケートで「転職時に最も有効だった情報収集手段」について調査したところ、「現場の従業員との会話(面接含む)」が21.9%、「経営者・役員との会話(面接含む)」が10.8%となり、合計で32.7%のエンジニアが「会話で得た情報」を重視していることが分かりました。

赤川:この結果から、エンジニアは会話によって一次情報を収集しているという傾向が見て取れるかと思います。そして、これに紐づくのがカジュアル面談です。

カジュアル面談とは言わずもがな、「選考前に候補者と企業がカジュアルに話をして、相互理解する機会のこと」を指します。重要なのはアトラクトの流れで、カジュアル面談の最初のステップは、「企業側が自分たちの魅力をアピールする」ところから始まります。

エンジニアが自身の魅力をアピールし始めるのはあくまで「この会社で働くのもありかも」と思ってからです。つまり、カジュアル面談だけでその候補者の良し悪しを見極めるのは、実はかなり難易度が高いと思っておいた方がいいでしょう。

赤川:それから、Forkwellを活用しているエンジニアの転職リードタイムを見てみると、全体の3分の1は3カ月以内に転職しているのに対し、3分の1は1年以上かけて転職されていました。

赤川:この1年間で何をしているかというと、おそらくゆるゆるとスカウトを見たり、企業訪問して自分に合った会社を探すなどして、一次情報を収集しているのだと思われます。そしてその後、いざ本気になった時に「応募したいです」と帰ってきてくれることがあるんです。つまり、1回のカジュアル面談の接点は非常に重要だということです。

そこで、Forkwell経由でカジュアル面談を行ったエンジニア3700名に「カジュアル面談の満足度に影響を与える要因」について伺った調査結果も紹介します。アンケートでは「面接官の魅力」が1位になっていました。

赤川:事業内容や開発環境、収入などの項目はなかなか変えることはできませんが、「面接官の魅力」は採用担当の努力次第で上げることができる項目です。ここを上げることができれば、超困難なエンジニア採用の中でも差別化が狙えるはず。ということで、「面接官の魅力」に関連するコメントをいくつかピックアップしてご紹介します。

<満足度が高いカジュアル面談の感想(面接官の魅力に関連するコメントを抜粋)>

・入社されたばかりの面接官なのに、プロダクトの意義について深く理解されており、凄く熱量のある方だと感じた
・事業で実現したいことやターゲットとする業界のおもしろさ、開発しているサービスの特徴、会社の文化などを話す姿に情熱が溢れていた。サービスを利用する企業に元気になってもらいたいとの思いが満ちあふれていた
・わかりやすく事業内容、歴史、プロダクトチームについて教えていただけた
・私が今後向かっていきたい方向性にたいして、組織で実現できそうな(できなさそうな)範囲などを回答いただけた
・AIについても知見がありエンジニアとしても経験が豊富な方だと思いました
・対話ベースで、こちらが話しやすい雰囲気を作って進行してくれた
・カジュアルな雰囲気のある方で、実際に業務になった場合でも働きやすい雰囲気を作っていそうだと感じたので魅力的だと感じました
・ミスマッチを防ぐため、自社の良いところや悪いところも含め全て話してくれたため
・自身の将来なりたい姿を明確に持っていて、その目標に向かいつつも会社に貢献していこうという姿勢が魅力的に感じた

<満足度が低いカジュアル面談の感想(面接官の魅力に関連するコメントを抜粋)>

・少し暗い印象を受けた。エンジニアの方は頑張ってお話してくださったので好感をもったが、カジュアル面談に慣れていない様子だった。
・ていねいに説明していただいたが、やや表情が堅い印象を受けた。また、いただいた質問に対する回答が的を得ていないぞ、と思っているのが、面接官の顔に出ていると感じた。
・回答、話す事がテンプレ化しているような感じで、自社のサービスについてつっこんだ質問には知識がなく答えられない部分が気になった。全体的にありきたりな初歩的な質問には回答出来ているが、少しつっこんだ質問には知識がないのか答えられておらず、全体評価は微妙だった。
・あまりこちらの情報を見ていなかった、業務的な印象だった。

赤川:上記の「魅力のある面接官の特徴」と、「魅力のない面接の特徴」を比較すると、以下のようにまとめられます。

<魅力がある>          <魅力がない>

・エンジニアの理解度が高い    ・エンジニアの理解度が低い

・事業の理解度が高い       ・事業の理解度が低い

・ファシリテーション能力が高い  ・ファシリテーション能力が低い

・人当たりが良い         ・人当たりが悪い

赤川:とはいえ、魅力がある面接官の特徴を全て満たせる人はなかなかいないですよね。そこでおすすめなのが、「採用担当とエンジニアでタッグを組む」という方法です。

大切なのは、苦手なことや専門外なことをお互いにカバーし合うこと。同席するだけではなく、お互いの役割を意識して補い合うことが重要です。当然コストは掛かりますが、面談の魅力を上げることができれば、しっかり他社との差別化ができるはずです。

<採用担当の役割>     <エンジニアの役割>

・採用知識         ・エンジニア知識

・俯瞰した視点       ・没入した視点

・ファシリテーション    ・サポート役

冨田:赤川さん、ありがとうございました。タッグを組んでカジュアル面談に臨むという話は、エンジニア採用ではもちろん、ビジネス職でも同じようなことが言えそうですよね。今回はさまざまな観点からエンジニアの転職トレンドや採用のポイントをお伝えしていきました。ぜひ自社の採用活動に活かしていただければ幸いです。

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