
投稿日:2022/4/11
更新日:2023/7/14
※本記事は株式会社YOUTRUSTにて作成されたイベントレポートについて許可をいただき転載させていただいたものとなります。元記事はこちらとなります。
突撃!となりの採用定例 ~ 10Xに経営視点で採用をドライブさせる秘訣を聞いてみよう ~(イベントレポート) | YOUTRUST JOURNAL
社内コミュニケーションに頭を悩ませる人事・採用担当者のため、「採用定例」という会議体を切り口にして解決のヒントを得るウェビナー企画「突撃!となりの採用定例」。株式会社YOUTRUSTと株式会社HERPが共同開催し、今回はその第2弾となります。
今回のテーマは「経営視点」。そんな経営視点で採用をドライブさせる方法を知るべく、株式会社10XでEmployee Success Managerを務める松尾さんをゲストにお迎えしました。
採用人事としてトライアル(体験入社)を必須とする選考のガバナンス・マネジメントに責任を持ちつつ、給与制度や人事制度のアップデートにも深く携わってきた松尾さん。このような組織風土や役割の中で、どのように社内コミュニケーションを行い、どのように採用や組織の課題解決と向き合っているのか。
また「10X Benefits」や「10X Workstyle」など、さまざまな制度を取り入れている10X。そんな10Xでは採用定例をはじめ、どのような社内コミュニケーションが行われているのかも気になるところです。経営陣を巻き込んで採用活動を進めていくために、どのような視点・振る舞い方を重要視しているのか。10Xのコミュニケーションの裏側に迫ります。
ゲスト
株式会社10X Employee Success Manager※
松尾 彰大氏
エン・ジャパンにてCAREER HACKの立ち上げ・編集長を経験した後、メルカリに入社。HR Mgr・インハウスエディターとして、メルカリJP・メルペイの組織・事業拡大を経験heyのPeople Experience Mgrを経て、10Xに入社。
モデレーター
株式会社HERP マネージャー 冨田 真吾(以下:冨田)
株式会社YOUTRUST COO 佐藤 亮太(以下:佐藤)
イベント開催日時:2022年3月8日(火) オンラインにて実施
冨田 真吾(以下:冨田):まず10Xさんでは採用定例の目的やアジェンダをどのように設定し、頻度や参加メンバーはどうしているかなど会議の基本的なところを教えてください。
松尾 彰大氏(以下:松尾):弊社ではウィークリーのチェックという意味合いが強い採用定例を行っています。固定アジェンダというものはあまりなく、参加者がディスカッションしたいことや決めたいことを持ち寄ってコミュニケーションしている場という位置付けです。
具体的には、中長期の事業計画を元に組織図を考えたり、どういうポジションが必要なのかを話し合ったりしてきましたね。
冨田:抽象度の高いことを採用定例で話されているのですね。
松尾:そうですね。抽象度は高いですが、「それは具体的なアクションに落とすんだっけ」、「これは今はアクションしなくていいよね」みたいなところまで考えるようにしてます。
部門単位で行っており、プロダクト・BizDevから我々Employee Successまでそれぞれ毎週30分で実施しています。
佐藤 亮太(以下:佐藤):直近で話し合ったテーマを伺ってもよろしいでしょうか。
松尾:10Xは選考フローの中で、実際に入社したときのように働くトライアルを全ポジションでマストで行っています。そのトライアルについてゼロから立ち戻り、「トライアルで我々が本来成し遂げたいことはなにか」「候補者体験として提供したいことはどうすれば実現できるのか」ということを話し合いました。組織が拡大する前の20人規模でのトライアルと、今100人に向かっていこうとしている中で取り組むトライアルは、位置付けが全く違うからです。
候補者から頂くフィードバックをもとに、「その背景にあるボトルネック」を考え、候補者体験の質を上げていく。それがEmployee Successとしての我々のミッションでもあります。
冨田:議論が深まり会議の時間が足りなくなった時はどうされていますか。
松尾:今日でなくてはいけないこと以外は当然スキップしますし、テキストで共有すれば良いことは「後で見ておいてね」としています。私たちは「無理やり30分で決めない」ということを重視しているので、必要であれば来週に持ち越して決めていますね。
あとは個別のテーマをプロジェクト化し、後日、改めて必要メンバーを設定した上で分科会を開き話し合うということもしています。
冨田:採用活動において「何をKPIに置いているのか」、そしてそのKPIを「どのように追っているのか」を教えていただけないでしょうか。
松尾:追うべき指標はATSとダッシュボードで管理してトラックしています。ただ採用定例の場ではほとんど話していません。「今週、何件の応募があったか」「スカウトは何件送信して、 何件の返信があったか」「カジュアル面談は何件セットできたか」というのは、よくあるアジェンダかと思いますが、そういった話はしていないんです。
冨田:定例会議のために「前日の何時までにアジェンダを書く」と決めても、最初の3週間程度で途中から書かれなくなることがあります。ディビジョンによっては業務が大変なので、採用の優先度を下げざるを得ない状況も起きうるからです。
そんな中でも背中を押し続けるのが必要な場合もあれば、あえて一定期間は止めるという判断もあるかと思います。こういった場合のファシリテートの工夫、継続的に活発な定例会議ができるための工夫などあればぜひお聞かせください。
松尾:おっしゃる通りですね。我々も多くの会社同様、メインの役割となる業務や、プロジェクト推進の方が当然最優先になり、採用や組織的なイシューが後回しになることはあります。実際にこの1年で何度もありました。
採用は回り回ってもっとも優先度の高いものになる。10Xでは採用を全社でフォーカスするポイントとして定めながら、全社員のアテンションをとり続けるということを経営も交えて取り組んでいます。
そうした中で、活発になるために工夫していることは「固定アジェンダを少なくして余白を持つ」ことです。時にはアジェンダがなくても松尾と雑談する時間という温度感でもいいんです。
採用以外の事業的、組織な話などから、「このプロジェクトが立ち上がりそうですが、進めていく上で変更点などありますか?」といった問いを我々から役員やマネージャーに投げかけることもあります。そういった問いから、考えをめぐらせて議論に入っていくこともしていますね。
冨田:続いて採用定例というテーマから少し視野を広げてして、経営陣も含めた社内メンバーの巻き込み方について伺えたらと思います。
例えば人事側から見て、オファーする際の給与も含めた待遇の話など、いわゆる上流工程に至るところまで目線を上げた観点をお聞かせいただきたく。人事として課題を感じている時にどう振る舞うといいでしょうか。
松尾:私は採用に直結する給与制度や、そもそも経営陣がどういった組織を作っていきたいのかは、10Xに入社して一番に経営陣に直接聞きました。経営している人たちが、どんな意図で組織を作っていこうとしているのか、どんな人材を雇用したいと思っているのかを知るためです。
極端に言えば、「できる限り安い給料で、できる限り高い売上を作っていきたい」というのも一つの正解だと思います。反対に「ある程度の成功の果実を分け合いながら経営していく」ことや、「長期的なインセンティブを渡す」など、何が正解なのかは会社それぞれです。
どのような考えの中で経営をしているのか確認した上で、「今の評価制度や給与形態にギャップがありませんか」といった問いかけを継続的にしました。入社して半年ぐらいで、評価制度などを大きく変えていきましたね。
私は正解や自分自身が導入したい制度の提案を持っていくよりも、こうした「問い」をどこに持っていくのかが大事だと考えています。それが経営なのか、マネージャーなのか、メンバーなのか。問いかける先にあわせて、振る舞いを変えながら「問い」を投げることで皆を巻き込んでいますね。
佐藤:経営や採用チーム以外のメンバーが採用に関わるなかで、具体的に「これは経営の仕事だよね」「これは現場の仕事だよね」と分けている領域はありますか。
松尾:私たちEmployee Successは採用における位置付けを2つ決めています。1つは候補者体験の担保、そしてそれを最大化させるというミッションです。もう1つは組織や採用に対し、ガバナンスを効かせる存在であることです。
取締役などは意思決定をする立場と責任を持っているので、時には私が「あなたが決めなくて誰が決めるのですか」「あなたが決めないとメンバーは動けないですよ」 のようにある種のプレッシャーをかけることもあります。
佐藤:役員に対して問いを投げかけるのが大事な場面は確かにあると思うのですが、その時のコツなどありますか。 割とやりたくてもできない人が多いかと思うので。
松尾:期待値をきちんと握ることでしょうか。あとはそれが自分の仕事だと心に決めてやるしかないですね。その人個人に対して批判するという姿勢ではなく、会社としてフィードバックを回すことが大事なので。
10Xではもともと、フィードバックを大事にしているカルチャーがあります。なので個人に対してではなく、「役割やミッション、プロセスに対してのフィードバックをしている」という考え方が定着しているのは大きいのかもしれません。
会社組織としてこういったカルチャーを作っておくと、振る舞いやすく役員に対して言いやすくもなります。反対に「自分が間違ってたらフィードバックをください」とも言えるので。
佐藤:「役割へのフィードバック」という考え方はいいですね。そういった文化は創業時からあったのでしょうか。それとも段階を経て徐々に変わってきたのかどちらでしょう。
松尾:「最初の10人が作った習慣がそのまま文化になった」という形かなと思っています。とはいえ最初から言語化されていたわけではなく、行動指針となるバリューのアップデート・フィードバックを重ねていく内に文化として定着したのだと思います。
冨田:10Xさんのトライアル制度についてもお伺いさせてください。トライアルのアウトプットを確認した結果、「この人にオファーを出したい」となってからどのような情報を押さえ、どのようなコミュニケーションをされているのかお聞かせください。
松尾:まず10Xではトライアルの評価を人事はしません。評価者が決めた評価に基づいて、私が採用レコメンドを経営陣に出します。レコメンドの内容は、トライアル結果のサマリや、メンバーが入れてくれたフィードバック、期待する業務・ミッション、そしてなぜそのグレードで採用したいか、などを網羅し、そこに加えて私から経営に抑えてもらいたいことも書きます。
そして取締役が4人いるのですが、4人全員が承諾しないとオファーは出せないようになっています。どれだけ1人がオファーを出したいと言っても、全員が承認しない限りは私はオファーレターを作れない。全候補者、どれだけ有力な方であっても全員同じなんです。
4人の承諾を得た後は、候補者にはトライアルのフィードバックとあわせてオファー面談を実施しています。
冨田:それだけこだわった工数をかけていると、リードタイムが長くなるという懸念があるように思うのですが、この辺りはどう考えておられるのでしょうか。
松尾:おっしゃる通りですね。採用レコメンドの取り組みを始める際、一番の懸念がまさにリードタイムでした。なので評価者には早く評価を入れてもらうように徹底していますし、どれくらいで結論を出すのか、候補者にもお伝えするコミュニケーションフローも入れてます。
同期的なトライアルをして情報収集しているので、判断するのに情報を寝かせることは基本的には不要です。なので「通常1営業日以内、遅くとも2営業日以内に結論を出しましょう」という中で取り組み、評価が入ったら私も速攻でレコメンドを仕上げていきます。
冨田:最後に給与や人事評価の制度について、10Xさんのこだわりポイントや実際に松尾さんが取り組んだことを聞かせていただけないでしょうか。
松尾:評価制度の細分化と給与の幅を上だけでなく下にも広げたことでしょうか。元々は5段階評価で全て月給10万ずつしか変わらない評価制度でした。
メンバーが活躍する土台は、会社の器が広がることによって大きくなると考えています。レベルが高い人たちの採用だけでなく、既存の年収レンジから1,2段階低いところにも注力しグレードのグラデーションを作るようにしました。
当時は30人ぐらいの規模で、会社としても「採用にアクセル踏むぞ」となった時です。新しい制度にしたことで、実際にオファーを出せる幅が大きく広がりました。期待値をより詳細にお伝えできるようになったのが大きいですね。
10Xでは採用のフローとして、現職の年収や希望年収は原則聞かないようにしています。「弊社として提示できるのはこの内容です。なぜならこういった理由だから」というコミュニケーションがよりできるようになったので、そこも良かったですね。
他にもリモートとオフィス勤務のハイブリッドである10X WorkStyleなどの導入も、組織としてイシューの探索期間を設け、実績がでたタイミングでパッケージ化して括り出せたのも10Xらしいなと思います。
事業成長に向けて必要な人材を採用することはもちろん、パフォーマンスが出せる環境を整えることは人事や採用担当者の大事な仕事です。だからこそ、経営陣に人事制度の提案ができるくらいの視点を持って取り組んでいけると、さらに人事としての幅が広がるのかもしれません。
YOUTRUSTとHERPでは今後も「突撃!となりの採用定例」というテーマで採用に成功しているスタートアップの取り組みを伺っていきますので、次回の開催をお楽しみにしていてください。
※所属部署・役職は2022年3月当時のものです

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書類選考・面接・評価など、一連の採用プロセスをAIが支援。
候補者との対話や意思決定により時間をかけられるようにします。