
投稿日:2026/1/23
更新日:2026/1/22
アルムナイ(alumni)は、もともと「卒業生」「同窓生」を意味する言葉です。人事領域では、自社を退職した元社員を指します。アルムナイ採用とは、この退職者を再び雇用する採用手法のことです。
従来の「カムバック採用」が、育児・介護・配偶者の転勤といったやむを得ない事情での退職者を対象にしていたのに対し、アルムナイ採用は転職や独立で辞めた人も含めて再雇用の対象とします。「一度辞めたら終わり」ではなく、「辞めた後も関係は続く」という前提に立った考え方です。
背景には、採用市場の構造的な変化があります。
まず第一に、労働人口が減少していることが挙げられます。2020年に6,404万人だった労働人口は、2065年には4,000万人を切ると推計されています(総務省「労働力調査年報」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」)。採用難易度が年々上昇する中で、過去に自社のカルチャーを理解していた人材への期待が高まっています。
加えて、人材の流動化も進んでいます。終身雇用が前提だった時代は過去のものになり、「転職=ネガティブ」という価値観も薄れました。外で経験を積んで戻ってくる人材は、即戦力として期待できる面もあります。
矢野経済研究所の調査によると、リファラル・アルムナイ採用支援サービス市場は2024年度に前年度比169%増の約50.7億円に拡大すると予測されています。三菱電機、味の素、MIXI、マクロミル、マツダなど、大手企業が次々とアルムナイネットワークの構築に動いているのも、こうした背景があります。
ただ、私たちHERPは「アルムナイ採用」を「出戻り採用」と呼ぶことには違和感を持っています。
「出戻り」という言葉には、どこか「一度離れたけど、やっぱり戻ってきた」という後ろ向きなニュアンスがあります。制度としても「例外的に戻ることを認める」という位置づけになりがちです。
しかし、アルムナイ採用の本質は「復職」そのものにあるのではありません。実際にアルムナイ採用がうまくいっている企業を見ると、「戻ってきてもらう」ことをゴールにしていません。退職後も関係性を維持し、その結果として「また一緒に働きたい」という選択肢が自然に生まれているのです。
つまり、アルムナイ採用は「点」の施策ではなく「線」の施策だといえます。
私たちは、アルムナイ採用を「出戻り施策」として単体で捉えるのではなく、リファラル採用やタレントプールと連動した「関係性採用」の一部として位置づけるべきだと考えています。
リファラル採用は、社員が知人・友人を紹介する採用手法です。タレントプールは、過去に接点を持った候補者との関係を維持し、将来の採用につなげる考え方です。そしてアルムナイ採用は、退職者との関係を維持し、再雇用につなげる手法です。
これらは別々のものではなく、すべて「企業と人との関係性」という同じ土台の上にあります。
社員の知人として出会った人が、数年後に転職して入社するかもしれないですし、その人がいずれ退職し、また戻ってくるかもしれません。逆に、退職者が外で出会った優秀な人材を紹介してくれることもあります。
こう考えると、アルムナイは単なる「採用チャネルの一つ」ではなく、企業が持つ関係性の総量を増やすための重要な接点だといえます。

では、「また一緒に働きたい」という気持ちは、どうすれば生まれるのでしょうか。
条件は3つあると考えています。
1. 在籍中の体験が良いこと 大前提として、働いている間の印象が悪ければ、また戻りたいとは思わないでしょう。
仕事を通じて成長を実感できたか、公平に評価されていたか、一緒に働く人たちとの関係は良かったか。アルムナイ採用がうまくいくかどうかは、実は「今働いている社員が、会社にどんな印象を持っているか」に大きく影響されるのです。
2. 退職の仕方が良かったこと 退職時の体験も重要です。円満に送り出してもらえたか、「いつでも戻っておいで」と言ってもらえたか、退職理由を責められなかったか。ここで嫌な思いをすると、その記憶は長く残ります。
3. 退職後も関係が続いていること そして、退職した後も緩やかなつながりが続いていることも欠かせません。 会社の近況が届いたり、たまに顔を合わせる機会があったりして、「自分はまだこの会社とつながっている」と感じられる状態を維持できているかが、重要なポイントになります。
これら3つの条件が揃ってはじめて、「また一緒に働きたい」という気持ちが生まれてくるのです。
HERPは「スクラム採用」という概念を提唱しています。採用活動を人事部門だけで完結させるのではなく、現場のメンバーを巻き込んで全社で取り組む採用手法です。 アルムナイ採用においても、この考え方は重要です。
退職した方との関係を本当に維持できるのは、やはり実際に現場で一緒に働いていたメンバーではないでしょうか。 人事が管理する「アルムナイネットワーク」といった仕組みよりも、元同僚同士のSlackやLINEでのやり取りのほうが、ずっと自然で親しい関係が続くものです。
そのため、アルムナイ採用をうまく機能させるには、現場の社員が退職者と無理なくつながり続けられるような環境をつくることが大切になります。制度やルールはあくまでサポート役にすぎません。結局のところ、人と人とのつながりこそが一番のポイントになるはずです。

アルムナイ採用の成否は、退職時点でほぼ決まります。 そのため、以下のようなことを退職プロセスに組み込むと効果的です。
退職面談で「また一緒に働きたい」という意思を伝える
退職者コミュニティへの登録を案内する(押し付けではなく、選択肢として)
退職後も連絡を取って良いことを明示する
送別の場で、ポジティブな形で送り出す
こうしたことに、特別な予算はほとんどかかりません。それでも、実際にできている企業は意外と少ないようです。「これから辞めていく人に時間を割くのはもったいない」という意識が、どこかにあるからかもしれません。
ただ、少し視点を変えてみてはいかがでしょうか。退職するその人は、会社の文化や業務を深く理解し、社内にも多くのつながりを持っています。 将来また一緒に働ける可能性があるのなら、退職のタイミングで丁寧に対応する価値は、十分にあるはずです。
退職者との関係を維持するには、仕組みが必要です。 最近では、アルムナイ専用のプラットフォームを提供するサービスも増えています。MIXIやマクロミル、マツダなどがアルムナイ専用サイトを立ち上げているのは、こうした仕組み化の一例です。 ただ、専用ツールが必ず必要というわけではありません。
退職者向けのSlackチャンネルやFacebookグループを作る
四半期に一度、会社の近況をまとめたメールを送る
年に一度、退職者も参加できるイベントを開催する
このようなちょっとした施策でも、十分に効果はあります。大事なのは、「誰が」「どのくらいの頻度で」「何を」やるのかを決めて、続けることです。仕組みがなければ、属人的になり、いつの間にか止まってしまいます。
いくらアルムナイ採用の制度を整えても、社内に「辞めた人が戻ってくるなんて……」といった空気があれば、うまくいかないでしょう。戻ってきた本人が気まずい思いをするようでは、誰も「また働きたい」とは思わないはずです。そのため、「この会社は、一度辞めた人が戻ってくることを歓迎している」というメッセージを、はっきりと伝えることが大切になります。
採用サイトに「アルムナイ歓迎」と書く、実際に戻ってきた人のインタビューを公開する、あるいは経営者が「再入社は大歓迎」と公言する。こうした一つひとつの積み重ねが、誰もが納得するカルチャーを作っていくのではないでしょうか。
アルムナイ採用を始める前に、まずは「うちは、辞めた人がまた戻りたいと思える会社になっているだろうか」と、振り返ってみてはいかがでしょうか。
ネットワークを作るよりも先に、見ておくべきポイントがあります。今働いている社員が満足しているか、退職者を気持ちよく送り出せているか、そして外に出た人が「あの会社は良かった」と言ってくれているかどうかをチェックしてみてください。
もしこれらに自信が持てないようであれば、いくら制度を整えても成果を出すのは難しいかもしれません。アルムナイ採用とは、組織としての魅力がそのまま結果として表れてしまう取り組みだからです。
もう一つ、発想の転換が必要なことがあります。
アルムナイ採用を「採用チャネルの一つ」として捉えると、どうしても「何人採用できたか」という指標で評価したくなります。しかし、それでは本質を見失いがちです。 アルムナイとのつながりは、再雇用だけがゴールではありません。
退職者が、自社のことを外で良く言ってくれる(採用ブランディング)
退職者が、優秀な知人を紹介してくれる(リファラル採用)
退職者と、ビジネスパートナーとして協業する
退職者が持つ情報や知見を、自社に還元してもらう
こうした多様な価値を含めて、「関係性の総量を増やす」という発想に立つことが、アルムナイ採用を「線」の施策として機能させる鍵になります。
アルムナイ採用は、単なる「出戻り施策」ではありません。 企業と人との関係性をどう捉えるか、という問いに対する一つの答えです。在籍中も、退職後も、その先も関係性は続いていきます。その前提に立ったとき、採用活動のあり方は変わります。
私たちHERPは、「採用を変え、日本を強く。」というミッションを掲げています。アルムナイ採用を「関係性採用」の一部として捉え直すことは、このミッションを実現するための一歩だと考えています。

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