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採用ノウハウ


現場面接官の見極め力を本当に高めるために必要なこと

投稿日:2025/12/26

更新日:2025/12/26

現場面接官の見極め力を本当に高めるために必要なこと

採用活動のオーナーシップが、人事から現場へと移り変わりつつあります。これは現在、多くの企業で見られる変化です。私たちHERPは2017年の創業以来、「採用を変え、日本を強く。」というコンセプトを掲げ、スクラム採用という手法を提唱してきました。

エンジニアやデザイナーといった専門職のスキルを、人事担当者だけで正確に評価するのは容易ではありません。そのため、現場メンバーが採用活動に主体的に関わることが重要になります。こうした考え方が浸透してきたこともあり、現在では多くの企業でスクラム採用の導入が進んでいます。

しかし、現場主導の採用をご支援する中で、「面接官による評価のばらつき」という課題によく直面します。同じ候補者でも面接官によって評価が分かれたり、「なんとなく良さそう」といった曖昧なコメントが並んでしまったりする。こうした状況を解決しようと、まず人事側で評価シートや質問集を整備する企業は多いですが、実はそれだけでは状況が改善されないケースも少なくありません。

この記事では、なぜ単に評価シートを用意するだけのアプローチでは不十分なのか、そして現場面接官の「見極める力」を高めるためには何が必要なのかについて、私たちの知見をもとに解説します。


定性評価の本質的な難しさ

面接官による評価のばらつきを解消するために、多くの企業がプロセスの「標準化」に取り組んでいます。具体的には、評価シートの作成や質問集の共有、あるいは面接官トレーニングの実施といった施策です。

これらが重要であることは言うまでもありません。しかし、私たちが数多くの採用支援に携わる中で、「標準化」のアプローチだけではどうしても解決しきれない課題があることも分かってきました。

評価から「主観」を排除するのは難しい

例えば、「コミュニケーション能力が高い」という要件について考えてみます。

仮にこれを「論理的に話せること」と定義したとしても、何をもって「論理的」とするか、その解釈は人によって異なります。ある人は「説明が整理されている」と感じても、別の人は「理屈っぽくて回りくどい」と感じるかもしれません。同じ回答を聞いても、受け手によって評価が分かれてしまうことは珍しくありません。

これは必ずしも、面接官のスキル不足だけが原因ではありません。人が人を評価する以上、どうしても主観が入ってしまうという、構造的な課題と言えます。

多くの企業がこの課題を「仕組み」で解決しようと試みていますが、難しさを感じているのが実情ではないでしょうか。評価項目を細分化し、基準を詳細に決めたとしても、最終的な「判断」を下すのは人間です。その判断から主観を完全に取り除くことは、非常に困難だからです。

主観を「排除」するのではなく「共有」する

私たちは、主観を無理に排除するのではなく、それをチーム内で共有し、認識をすり合わせるプロセスこそが重要であると考えています。

面接官同士で評価が割れた際、どちらが正しいかを決めること自体には、それほど大きな意味はありません。重要なのは、それぞれがなぜそう評価したのかを言語化し、根拠となるファクト部分をテーブルに乗せて、互いの着眼点の違いをすり合わせていく作業です。

こうした対話を重ねることで、組織としての「独自の評価基準」が徐々に形成されていきます。

評価シートについても、議論を省略するための「正解」として扱うのではなく、むしろメンバー間での認識のすり合わせを促進するためのツールとして活用していくのが望ましいでしょう。


現場面接官の見極め力が上がらない4つの構造的な問題

では、なぜ多くの企業で現場面接官の見極め力が上がらないのでしょうか。私たちが採用支援を通じて見てきた「つまずきポイント」を整理します。

① 採用活動を「人事への協力(サブ業務)」と捉えてしまっている

現場のメンバーにとって、面接は本来の業務の合間を縫って行う「ボランティア的」な活動になりがちです。 「自社にとっていい採用をしたい」という総論には賛成していても、個人としては「人事に借り出されている」という感覚が強く、選考の質を自ら高めていくインセンティブが湧きにくいという構造があります。 「採用は、自分たちの事業成果を最大化するための重要な手段である」という動機付けが欠けたままでは、どれだけ手法を学んでも「作業」としての面接から抜け出すことはできません。

② 自分たちのチームで活躍している人の共通点を言語化できていない

前述の「当事者意識」の欠如は、評価基準の作り方にも表れます。 「求める人物像」や「評価項目」を人事部門だけで作成し、現場へ一方的に共有しているケースは少なくありません。 しかし、作成プロセスに関与していない評価基準は、現場にとって「他人事」になりがちです。「人事が決めたことだから」と形式的に評価項目を埋めるだけになり、シート上では基準を満たしていても、面接官の本音としては判断に迷っている、といった状況が生まれてしまいます。

③「質問」は渡しているが「対話の型」を渡していない

「面接で使える質問集」を現場に配布している企業は一般的です。しかし、質問を渡すだけでは、面接は上手くいきません。

なぜなら、面接は「質問→回答」で終わるものではなく、「質問→回答→深掘り→さらに深掘り」という対話だからです。

用意した質問をそのまま聞くだけでは、候補者の表面的な回答しか得られません。「それで、具体的にはどう動いたんですか?」「そのとき、周囲の反応はどうでしたか?」と深掘りすることで、初めて候補者の行動特性が見えてきます。

私たちが採用支援の中でよく見かける課題は、面接官が「深掘りの仕方がわからない」と困っている状態です。質問集を渡すなら、「この質問の後、どう深掘りするか」までセットで伝える必要があります。

④「振り返り」の機会がなく、学習サイクルが回らない

面接を行い、評価を入力して業務終了とするだけでは、面接官のスキル向上は難しいでしょう。

自分が「採用」と判断した人材が、入社後に実際にどう活躍しているかフィードバックがなければ、自分の見極めが適切だったのかを検証することができないからです。

どのようなスキルであれ、上達には結果に対する振り返りが欠かせません。しかし、多くの企業ではこうした「自分の評価を検証する仕組み」が十分に整っていないのが実情ではないでしょうか。


見極め力を高める3つの打ち手

ここからは、現場面接官の見極め力を高めるための具体的な打ち手を紹介します。大切なのは、「仕組みを作る」ことと「対話を促す」ことの両輪で取り組むことです。

①「自社で活躍する人」を現場と一緒に言語化する

見極め項目を設計するとき、人事だけで作らないようにしましょう。

現場のマネージャーやハイパフォーマーを巻き込み、「うちのチームで成果を出している人は、どんな行動をしているか」を具体的に言語化するワークショップを行います。

進め方の例:

  1. 過去1〜2年で「採用して良かった」と思う人を3名挙げてもらう

  2. その人たちに共通する「行動」を洗い出す(性格や印象ではなく、具体的な行動)

  3. 逆に「採用したが期待と違った」人の行動パターンも洗い出す

  4. 共通項を抽出し、「○○の場面で、△△の行動ができるか」という形で言語化する

このプロセスを経ることで、現場メンバーは「自分たちが策定した基準である」という納得感を持ち、選考に対してもより強い当事者意識を持って臨めるようになります。

ポイント: 「課題解決力がある」という抽象的な表現ではなく、「曖昧な課題を自ら定義し、周囲を巻き込みながら解決まで導いた経験があるか」のように、具体的な行動レベルまで落とし込むこと。

②「質問→深掘り→評価」の型を面接ガイドとして渡す

質問だけでなく、「この質問で何を見るか」「どう深掘りするか」「どんな回答なら評価できるか」をセットにした面接ガイドを用意します。

面接ガイドの構成例(課題解決力を見る場合):


質問: これまでの仕事で、最初は何をすべきかわからなかった状況をどう乗り越えましたか?

この質問で見ていること:

  • 曖昧な状況を自分なりに整理・構造化できるか

  • 課題の定義を他者任せにせず、自ら行っているか

  • 一人で抱え込まず、周囲を巻き込めているか

深掘りの例:

  • 「最初に何から手をつけましたか?」(思考プロセスを確認)

  • 「周りの人にはどう協力を求めましたか?」(巻き込み方を確認)

  • 「振り返って、もっとこうすれば良かったと思うことはありますか?」(内省力を確認)

評価の目安:

  • ◎ 課題を構造化し、関係者を巻き込みながら、優先順位をつけて取り組んでいる

  • ○ 試行錯誤しながらも、自分なりの仮説を持って動いている

  • △ 上司や周囲の指示を待って動いている、または場当たり的に対応している

注意点: 「○○という言葉を使ったら○」のような表面的な基準にしないこと。あくまで、回答の背景にある「行動パターン」を見ましょう。


このレベルまで落とし込むことで、面接経験が浅い人でも「何を聞いて、何を見れば良いか」が明確になります。

③「評価のすり合わせ会」を定期的に開催する

面接官同士が集まり、「自分はこの候補者をこう評価した。なぜなら〜」を共有する場を定期的に設けます。評価が分かれた候補者がいれば、「なぜ評価が分かれたのか」を議論します。

すり合わせ会の進め方:

  1. 直近の面接で評価が分かれた候補者を1〜2名ピックアップ

  2. 各面接官が「私はこのように評価した。理由は〜〜」を説明

  3. 「何を見ていたか」「何を重視していたか」の違いを言語化

  4. 「次からはこういう点も見よう」「この観点は重視しすぎていたかも」と気づきを共有

頻度の目安: 月1回、30分〜1時間程度

こうした振り返りの場を重ねることで、面接官同士の評価基準が徐々にすりあっていきます。他者がどのような観点で候補者を見ているのかを知ることは、自分の評価の偏りに気づく良い機会にもなるはずです。

さらに、採用した人材の「入社後の状況」を共有することも有効でしょう。

「3ヶ月前に採用したAさんが、具体的にどのような場面で活躍しているか」、あるいは「Bさんがどの点で苦戦しているか」。こうしたフィードバックを得ることで、当時の自分の見極めが適切だったのかを検証でき、次の面接へ活かせるようになります。


明日から使える質問例

最後に、すぐに使える質問例を「深掘りの仕方」とセットで紹介します。

課題解決力を見る質問

質問: 過去の仕事で「何から手をつけていいかわからない」状況に直面したとき、どのように対処しましたか?

深掘り:

  • 「まず何をしましたか?」

  • 「情報収集はどうやって行いましたか?」

  • 「途中で方針を変えたことはありますか?そのきっかけは?」

見るポイント: 曖昧な状況でも思考停止せず、自ら動けるか。情報の集め方、仮説の立て方。


質問: 取り組んでいた施策がうまくいかなかったとき、どのように軌道修正しましたか?

深掘り:

  • 「うまくいっていないと気づいたきっかけは何でしたか?」

  • 「原因をどう分析しましたか?」

  • 「周囲にはどう説明しましたか?」

見るポイント: 失敗を正直に認められるか。原因分析の深さ、次のアクションへのつなげ方。


実行力・推進力を見る質問

質問: 周囲の協力がなかなか得られない中で、プロジェクトを前に進めた経験はありますか?

深掘り:

  • 「なぜ協力が得られなかったのだと思いますか?」

  • 「どうやって状況を打開しましたか?」

  • 「最終的に周囲の反応はどう変わりましたか?」

見るポイント: 障害があっても諦めず動けるか。人を動かすための工夫ができるか。


協働性・チームワークを見る質問

質問: チームで意見が対立したとき、どのように解決しましたか?

深掘り:

  • 「あなた自身はどういう意見でしたか?」

  • 「相手の意見のどこに納得できなかったですか?」

  • 「最終的にどうやって結論を出しましたか?」

見るポイント: 自分の意見に固執せず、チームとしての最適解を探れるか。対立を避けるのではなく、建設的に議論できるか。


質問: 自分の専門外の領域で、他のメンバーと協力して成果を出した経験を教えてください。

深掘り:

  • 「その領域について、どうやってキャッチアップしましたか?」

  • 「自分の役割はどう定義しましたか?」

  • 「専門のメンバーとはどうコミュニケーションを取りましたか?」

見るポイント: 自分の役割に固執せず、チームの成果のために動けるか。他者へのリスペクトがあるか。


おわりに

現場面接官の「見極める力」を高めるには、組織全体で評価基準をすり合わせる文化を作れるかどうかが重要になります。

単に評価シートや質問集を配布するだけでは、根本的な解決には至りません。

重要なのは、「自社のチームで活躍できるのはどのような人物か」を現場と共に言語化することです。その上で、面接官同士が評価理由を共有して認識をすり合わせたり、採用後の活躍状況をフィードバックして評価の妥当性を検証したりするプロセスが欠かせません。

採用活動の本来の目的は、企業と候補者の適切なマッチングにあります。 見極めの精度を高めることは、結果として双方にとってより納得感のある採用につながるはずです。

そのために必要なのは、一度きりの「正しい評価基準」を作ること以上に、評価について継続的に対話できる組織体制を作ることではないでしょうか。

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