
投稿日:2026/1/21
更新日:2026/1/21
採用領域におけるAI活用への期待は、ここ数年で一気に高まりました。「5年で採用業務の8割が自動化される」といった予測もあるほどです。
ただ、実際の現場を見ると、そこまで進んでいる実感はありません。むしろ「興味はあるけど、うちではまだ……」という声のほうが多いのではないでしょうか。
この記事では、採用領域でAI活用が進みにくい構造的な理由を整理しながら、それぞれの課題をどう乗り越えればよいのか、そしてAIを活用すべき具体的な場面についてお伝えします。
生成AIの登場以降、「採用業務もAIで大きく変わる」という期待は確実に高まっています。
しかし、LinkedInが発表したレポート(Future of Recruiting 2025)によると、採用領域でAIを「活用できている」と言える企業は全体の約1割にとどまります。3割はAIを利用しておらず、6割は「可能性を探索中」または「実験中」のフェーズにいるという結果でした。
私たちHERPが実施したアンケート調査でも、似た傾向が出ています。AI活用が進んでいる業務として挙がったのは、求人票作成やスカウト文面作成など、それ自体で完結する「点」での利用が中心でした。
期待値は高いものの、採用の現場では思ったほど進んでいないのが現状です。
では、なぜ他の業務領域と比べて、採用ではAI活用が進みにくいのでしょうか。私たちは大きく3つの理由があると考えています。

採用業務で扱う情報は、ほぼすべてが個人情報です。履歴書、職務経歴書、面接での発言内容。これらを生成AIに入力することに対して、「本当に大丈夫なのか」という懸念を持つのは当然のことです。
実際、個人情報保護法の観点では、利用目的の範囲、第三者提供への該当性、越境移転規制など、検討すべき論点が複数あります。しかも、これらの論点には現時点で明確な答えが示されていないものも少なくありません。
「法的にグレーな部分がある以上、手を出しにくい」というのは、リスク管理として正しい判断です。ただ、だからといって何もしないままでは、AI活用の恩恵を受けられないまま時間だけが過ぎていきます。
AIから納得のいく回答を得るためには、前提となる背景情報を詳しく伝えることが欠かせません。 しかし実際の採用現場では、必要なデータがあちこちに散らばってしまいがちです。
例えば、応募者のプロフィールはATS(採用管理システム)に登録されており、面接での気づきは共有シートに、最終的な評価はまた別の入力フォームに保存されている、といった状況をよく目にします。 このように情報がバラバラになっていると、AIに「この候補者についてまとめて」とお願いしても、手元の情報が足りないために、実態とは違う答えが返ってきてしまいます。
まずは情報を一箇所に集める仕組みを整えないと、AIを効果的に使い始めるのは難しいかもしれません。このようにデータの管理ができていないことが、導入を阻む大きな原因の一つになっているようです。
現状では、採用の現場でAIを使う場面は、特定の作業だけにとどまっていることが多いようです。 具体的には、求人票を書いたり、スカウトメールの下書きを作ったり、面接の質問案を考えてもらったりといった、その場限りの使い方が中心になっています。
もちろんこうした活用も便利ですが、AIの持つ力を最大限に引き出すには、さらに一歩進んだ使い方が必要です。 採用の仕事は、書類選考から面接、合否の判断、担当者間の引き継ぎ、そして内定の連絡まで、一つの大きな流れでつながっています。
この一連の流れ全体でAIを役立てるためには、人間がその都度バラバラに指示を出すのではなく、選考のステップに合わせてAIが自然にサポートしてくれるような、ツールの仕組みそのものを整えることが大切です。
ここまで「進みにくい理由」を整理してきましたが、だからといってAI活用を諦める必要はありません。それぞれの課題には、乗り越えるための方法があります。
個人情報保護の問題については、「条件を満たせば活用できる」というのが結論です。
詳しくはこちらの記事で解説していますが、ポイントは以下の3点です。
利用目的の範囲内であることを明確にする
入力情報・出力情報が機械学習に使われないサービスを選ぶ
生成AIサービスのプロバイダに対して、個人データの取り扱いの実態を確認する
これらの条件を満たしたツールやサービスを選べば、採用業務でも安心してAIを活用できます。
データが散らばっている問題については、まず「情報を一箇所に集約する」ことから始めましょう。
ATS(採用管理システム)を中心に、応募情報、面接記録、評価をすべて一元管理する運用に切り替えることで、AIに渡せる情報の質が大きく向上します。別々のツールに情報が分散している状態では、どれだけ優れたAIを使っても、十分な成果は得られません。
「点」での利用から脱却するには、採用プロセスの各ステップでAIを活用する場面を意識的に設計することが重要です。
次の章では、私たちが実際に自社の採用活動でAIを使ってみて、特に「助かった」と手応えを感じた3つの場面をご紹介します。これらは、特別なツールがなくても、条件を満たしたAIサービスと一元管理されたデータがあれば実践できる活用法です。
日々の忙しさの中で「本当はもっと丁寧にやりたいけれど、どうしても後回しになってしまっている」という業務にこそ、AIを取り入れるメリットがあります。

面接の最中にメモを取ることは、想像以上に神経を使う作業です。相手の話を聞きながら要点をまとめようとすると、どうしても意識が分散してしまい、目の前の候補者の方との対話に専念しづらくなります。
しかし、自動で文字に起こしてくれる機能があれば、こうした悩みは少なくなります。面接が終わった後でも、当日のやり取りを細かい部分まで詳しく振り返ることができるようになるからです。
例えば、面接官が評価シートに「課題解決力が少し足りないように感じた」と書いたとします。これまでは、なぜそう判断したのかを後から面接官に詳しく聞き直さなければ、具体的な理由はわかりませんでした。 今は、一連の選考ログから実際の発言をそのまま抜き出して、チーム内で共有できます。面接官による解釈のバイアスを排除し、候補者が話した言葉そのものに基づいて相談できるようになったのは、とても大きな違いだと感じています。
さらに、面接の記録が残ることは、面接官のトレーニングにも役立ちます。記録を読み返すことで、質問の投げかけ方、深掘りの仕方、話の引き出し方、候補者の緊張をほぐすアイスブレイクの工夫など、さまざまなコツを学ぶことができます。こうして良い事例をチーム全体で共有することで、組織全体の面接の質を無理なく高めていけるようになります。
面接が終わった後の評価シートの記入や、次の面接官、あるいは紹介会社への引き継ぎといった業務は、採用において非常に大切です。これらを早く丁寧に行うことは、候補者の方への誠実な対応にもつながります。 ただ、正直なところ、日々の忙しさの中でこうした事務作業はどうしても後回しになってしまいがちです。
そこでAIを活用して、面接の内容をもとに下書きを自動で作ってもらえれば、担当者は内容の確認や修正だけに集中できるようになります。 何もない状態から一から文章を考えるのと、あらかじめ用意された案を直すのとでは、かかる時間や心理的な負担が大きく変わってくるはずです。
そうして事務作業がスムーズに進めば、結果として候補者の方へ合否などの連絡を早く返せるようになります。返信を待つ不安な時間を短縮できることは、自社に対して良い印象を持ってもらうことに直結します。
内定をお伝えする場面は、採用活動の中でも特に大切な局面です。ここでのやり取りが、候補者の方が「この会社に入りたい」と決める際の大きな鍵になります。
しかし、相手に合わせたオファーレターをじっくり書いたり、その方の心に響くポイントを整理したりする時間は、忙しい中ではなかなか確保しにくいものです。期限に間に合わせることや、書類の準備に追われてしまい、気づけばオファーレターの作成に長々と時間をかけてしまったという経験がある方も多いのではないでしょうか。
そんなときも、AIの力が役立ちます。 例えば、面接での実際の発言を盛り込んだオファーレターの下書きを作ったり、他社と迷っている場合に自社の魅力をどう伝えるべきか、アイデアを出してもらったりすることが可能です。
一人ひとりに寄り添った言葉を考えるための、いわば「下準備」をAIが担ってくれます。その土台があることで、担当者はより深く、候補者の方の気持ちに寄り添ったコミュニケーションに専念できるようになるはずです。
採用活動にAIを取り入れるうえで、私たちが特に大切にしている考え方があります。 それは、「AIは結果に対して責任を持つことができない」という点を忘れないことです。
AIは、与えられた情報をもとに「もっともらしい判断」を導き出すことは得意です。しかし、その判断によって誰かの人生が変わる際、その結果にまで責任を持つことはできません。候補者の方の将来を左右する採用の場では、最終的な決断とそれに対する責任は、必ず人間が担うべきだと考えています。
また、AIは相手の話した言葉を文字通りに処理しますが、人間であれば「言葉ではこう言っているけれど、本当の望みは別のところにあるのではないか」といった、行間にある本音を察することができます。こうした相手の深い思いを汲み取ることは、やはり人間にしかできない仕事です。
「ぜひあなたと一緒に働きたい」という熱意を伝えることも、AIには代わることができません。心が動くようなアトラクトは、やはり血の通った人間が伝えるからこそ意味があるはずです。
実際にAIを導入してみたことで、私たちはむしろ「人間がやるべきこと」がよりはっきりしたと感じています。 AIは判断そのものを任せる相手ではなく、人間がより良い判断をするための準備を手伝ってくれる存在です。こうした役割分担をきちんと意識することが、AI活用を成功させる秘訣です。
ここまで紹介してきた課題の解決と活用シーンを、一つのプロダクトとして実現しようとしているのが『HERP AI Recruiter』(ハープAIリクルーター)です。
『HERP AI Recruiter』は、ATS(採用管理システム)『HERP Hire』と連携し、採用プロセス全体をAIが支援するサービスです。
ATS(採用管理システム)を提供しているHERPだからこそ、応募情報や面接ログ、評価、求人票といった「採用にまつわる情報」が一箇所に集約されています。この情報をAIが深く理解することで、単発の作業支援(点)ではなく、選考プロセス全体(線)を通じた高度なサポートが可能になります。
また、入力情報・出力情報が機械学習に使われない設計になっており、サプライチェーンに含まれる生成AIサービスのプロバイダに対しても、利用規約や契約内容、個人データの取り扱いの実態を確認しています。個人情報保護の観点でも、安心してご利用いただけます。
面接の自動書き起こし・サマリ作成
オンライン面接にbotが自動参加し、約1分で精度の高い書き起こしと議事録を生成します。 単に文字にするだけでなく、その候補者が話した具体的なエピソードを「資産」として蓄積できるのが強みです。面接官による解釈のバイアスを排除し、本人の言葉そのものに基づいて評価や相談ができるようになります。
ステータス変更をトリガーにしたタスク自動化
「書類選考へのステップ変更」「選考予定作成」などステータス変更をトリガーにして、自社の評価軸に合わせた書類レビューや、次の面接官への申し送り下書きを自動で実行します。24時間、人間が介在せずに「下準備」が完了している状態を作れるため、面接担当者は内容の最終確認と「意思決定」に専念できます。
チャット形式での壁打ち
面接設計の相談、オファーレターの骨子作成、候補者ごとの訴求方針の検討など、AIに質問・相談しながら進めることができます。
「この候補者の強みから、自社で推すべきポイントを提案して」 といった訴求方針の検討や、「面接で盛り上がったプロジェクトの話を引用して、日程調整を急ぎたいとエージェントに連絡する文面を作って」といった文面作成など、候補者一人ひとりの文脈に沿った実務的な壁打ちが可能です。
AIが候補者の応募情報や面接ログを把握した上で提案してくれるので、的外れな回答になりにくいのが特徴です。

私たちが提供する『HERP AI Recruiter』では、採用担当の方が目の前の候補者の方との対話に、より多くの時間を使えるような環境を作りたいと考えています。
ただAIを使って業務の負担を減らすことだけが、私たちの目指す最終的なゴールではありません。「自社に合う方と出会いたい」「入社後に活躍してくれる方を見つけたい」という思いは、採用に関わるすべての方に共通する願いではないでしょうか。
その思いを形にするために、AIを「良い出会いを手助けするための道具」として役立てていただけるよう、開発を進めています。私たち自身も日々このツールを使いながら、現場での使い心地を確かめ、より良いものへと改善を続けていく考えです。
現在はまだ、スカウト文面の作成といった一部の限られた作業にしか使われていないのが実情かもしれません。こうした背景をふまえた上で、自社の採用スタイルに無理なく馴染む活用方法をじっくりと考えていきましょう。
AIを活用する際、単に「作業を速くする」ことだけを目的にしてしまうと、そのメリットを十分に活かせないかもしれません。 本当に大切なのは、効率化によって空いた時間を、候補者体験の向上のために充てることです。
AIが事務的な業務をサポートして担当者の負担が軽くなれば、その分、一人ひとりの希望や悩みにじっくりと耳を傾ける余裕が生まれます。 このように、人が本来集中すべき「対面での対話」に専念できる環境を整えることこそが、AIを導入する大きな意義だと言えます。
AIを「採用チームに新しく加わったリクルーター」として育てていく姿勢で向き合っていただければと思います。
サービスの詳細・資料ダウンロードはこちらから: HERP AI Recruiter サービスサイト

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一連の採用プロセスをAIが支援し、候補者一人ひとりと向き合う採用へ

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候補者との対話や意思決定により時間をかけられるようにします。
デジタル人材採用を加速するタレントプールシステム HERP Nurture
複数の求人媒体からの応募情報の自動取り込み、SlackやChatworkとの連携による現場メンバーへのスピーディな情報共有。