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採用ノウハウ


コンピテンシー面接とは?質問例と導入ステップを解説

投稿日:2025/12/12

更新日:2025/12/11

コンピテンシー面接とは?質問例と導入ステップを解説

「面接の精度を上げたい」——採用に関わる方なら、一度は感じたことがある課題ではないでしょうか。

私たちHERPは、2,000社以上のスタートアップ・成長企業の採用を支援する中で、ある共通の悩みに出会ってきました。それは、採用スピードを上げるために現場を巻き込みたいが、面接官による『見極めのバラつき』が解消できないという問題です。

採用競争が激化する中、多くの企業が現場社員を巻き込んだスクラム採用に取り組み始めています。しかし、現場メンバーが面接に入ることで、新たな課題も生まれています。

  • エンジニア出身の面接官は技術の話ばかりして、人柄を見ていない

  • 営業出身の面接官は「一緒に働きたいか」という感覚で判断してしまう

  • 面接後のフィードバックが「良い人だった」「なんか違った」で終わる

この記事では、こうした課題を解決する手法として「コンピテンシー面接」を紹介します。現場メンバーを巻き込みながら、組織として面接の精度を上げていくための実践的なアプローチをお伝えします。

コンピテンシー面接とは

「コンピテンシー面接」の本当の意味

コンピテンシー面接とは、「高い成果を出す人に共通して見られる行動特性を見る面接」のことです。

ポイントは、「スキル」や「知識」ではなく「行動」に注目していることです。同じ「営業経験5年」でも、「言われた通りにやってきた人」と「自分で課題を見つけて工夫してきた人」では、自社で成果を出せるかは大きく変わります。

スキルは教えられますが、行動特性はそう簡単には変わりません。だからこそ、採用で見極めるべきは「何ができるか」よりも「どう動く人か」なのです。

「考える」質問ではなく「思い出す」質問をする

コンピテンシー面接の核心は、候補者の「過去の行動事実」を深掘りすることです。

通常の面接では「あなたの強みは何ですか?」「困難な状況にどう対処しますか?」と聞きます。しかし、これらは「考える」質問です。候補者は、面接官が聞きたいであろう答えを「作る」ことができます。

コンピテンシー面接では、「思い出す」質問をします。

  • 「〜したいです」ではなく「〜しました」を聞く

  • 「〜と思います」ではなく「〜という経験がありました」を聞く

例えば、「主体性」を評価したい場合:

直球的な質問:「あなたは主体的に動けるタイプですか?」

コンピテンシー面接の質問:「これまでの仕事で、誰かに指示されたわけではないのに、自分から動いて取り組んだ経験を教えてください」

後者の質問には、実際に経験したことしか答えられません。「はい、主体的です」とは言えても、具体的なエピソードがなければ話は続きません。

過去の行動は、将来の行動を予測する最も信頼性の高い指標です。「〜したいです」という意欲よりも、「〜しました」という行動事実のほうが、入社後のパフォーマンスを正確に予測できます。

STARフレームワーク

コンピテンシー面接では、候補者の回答を深掘りする際に「STAR」というフレームワークを使います。

要素

聞くこと

なぜ重要か

Situation(状況)

どんな状況だったか

行動の背景を理解する

Task(課題)

どんな課題・役割があったか

本人の責任範囲を明確にする

Action(行動)

具体的に何をしたか、なぜそうしたか

ここが本丸。判断と行動を見る

Result(結果)

どうなったか、何を学んだか

行動の効果と内省力を見る

「新規事業の立ち上げに関わりました」という回答だけでは、その人が何をしたかは分かりません。チームの一員として手を動かしただけかもしれないし、実質的なリーダーだったかもしれない。

STARに沿って深掘りすることで、表面的な実績の裏にあるその人ならではの行動が見えてきます。


コンピテンシー面接で「評価のブレ」を解決できる

面接の属人化は「スキル」ではなく「仕組み」の問題

「面接官のスキルを上げたい」という相談をよくいただきます。しかし、面接の精度が低い本当の原因は「面接官のスキル不足」ではなく、「そもそも何を評価すべきか」が組織として決まっていないことが原因の場合があります。

「主体性を見てください」と言われても、何をもって「主体性がある」と判断するかは人によって違います。ある人は「自分から発言する姿勢」を見るかもしれないし、別の人は「困難な状況でも諦めない粘り強さ」を見るかもしれない。

基準が曖昧なまま面接をすれば、評価がズレるのは当然です。これは面接官個人の問題ではなく、仕組みの問題なのです。

現場巻き込み型採用で起きやすい4つの失敗パターン

特に、現場メンバーが面接に関わる「スクラム採用」では、以下のような失敗パターンが起きやすくなります。

パターン1:「一緒に働きたいか」で判断してしまう

「うちのチームに合いそう」「話していて楽しい」という印象だけで評価が決まっている。何をもって「合う」と判断するかが言語化されていないと、面接官ごとに見ているものが違い、評価は当然ズレます。

これは悪意があるわけではありません。むしろ、現場メンバーは「一緒に働くイメージ」を持てるからこそ価値があります。問題は、その判断軸が共有されていないことです。

パターン2:専門領域の質問に偏る

エンジニアの面接官は技術的な質問に終始し、人柄やコミュニケーション力を見ない。営業の面接官は「数字へのコミット」ばかり聞いて、チームワークを見ない。

専門性は強みですが、同時に「見落とし」も生みやすいです。複数の視点で見るための設計が必要です。

パターン3:「良い人だった」で終わり、根拠が残らない

面接後のフィードバックが「コミュニケーション力が高い」「論理的」といった抽象的なコメントだけ。これでは、他の面接官との評価のすり合わせも、採用の振り返りもできません。

パターン4:過去の「実績」だけで判断してしまう

「前職で売上150%達成」という実績は魅力的ですが、それが「自社でも再現できるか」は別の話です。たまたま環境が良かった、優秀なチームに恵まれていた、という可能性もあります。

コンピテンシー面接なら解決できる

コンピテンシー面接なら、面接官によって基準が曖昧になることなく、過去の「行動」に着目した面接ができるため、「評価のブレ」を解決することができます。


【実践編】現場メンバーが使える「コンピテンシー面接」の質問設計

ここからは、実際に使える質問例を評価軸ごとに紹介します。質問はそのまま使ったり、自社に合わせてアレンジしてご活用ください。

質問設計の3原則

原則1:抽象的な評価軸を「行動」に翻訳する

「主体性がある人」を採用したいなら、「主体性とは具体的にどんな行動として現れるか」を言語化する必要があります。

例:

  • 自分から課題を発見して動く

  • 依頼された仕事の範囲を超えて提案する

  • 反対意見があっても自分の考えを主張する

この「行動の定義」があって初めて、面接官は同じものを見ることができます。

原則2:「良い回答」のイメージを事前に共有する

「この質問に対して、どんな回答が来たら高評価か」を面接官同士で擦り合わせておく。これがないと、同じ回答を聞いても評価がバラつきます。

原則3:深掘りの「型」を持つ

質問の後、どう深掘りするかも決めておく。「なぜそうしたのか」「他の選択肢はなかったか」「結果はどうなったか」——この型があれば、経験の浅い面接官でも一定の質で面接ができます。


5つの評価軸別:質問例と評価のポイント

1主体性・当事者意識

2課題解決力

3チームワーク・協働性

4成長意欲・学習姿勢

5ストレス耐性・レジリエンス

があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

①主体性・当事者意識

見たいこと:指示を待たずに自分から動けるか。課題を「自分ごと」として捉えられるか。

質問例

  • これまでの仕事で、誰かに指示されたわけではないのに、自分から提案・実行したことはありますか?

  • 「自分の担当範囲ではないけど、やったほうがいい」と思って動いた経験はありますか?

  • チームや組織の課題に気づいて、自分から改善に取り組んだ経験はありますか?

深掘りの型

  • なぜそれをやろうと思ったんですか?(動機を見る)

  • 周囲の反応はどうでしたか?反対意見はありましたか?(巻き込み力を見る)

  • 結果として、どうなりましたか?(成果と内省を見る)

評価のポイント

高評価

低評価

自分で課題を発見し、周囲を巻き込みながら行動している

「上司に言われたから」「チームで決まったから」という受動的な文脈

反対意見があっても粘り強く推進した経験がある

提案はしたが、反対されて諦めた

結果を振り返り、次に活かしている

結果への言及がない、または他責的


②課題解決力

見たいこと:問題に直面したとき、原因を分析し、解決策を考え、実行できるか。

質問例

  • これまでの仕事で、特に難しかった課題は何ですか?どうアプローチしましたか?

  • 予想外の問題が発生したとき、どう対応しましたか?

  • 一度やってみてうまくいかなかったとき、どう軌道修正しましたか?

深掘りの型

  • その課題の原因は何だと考えましたか?(分析力を見る)

  • 解決策は複数考えましたか?なぜその方法を選びましたか?(判断力を見る)

  • 今振り返ると、別のアプローチもあり得たと思いますか?(内省力を見る)

評価のポイント

結果の大きさよりも、思考と行動のプロセスを見てください。課題の原因を構造的に捉え、根拠を持って判断しているかが重要です。

「たまたまうまくいった」のか「再現性のある思考で解決した」のかを見極めます。


③チームワーク・協働性

見たいこと:チームで成果を出すために、どう振る舞えるか。意見の対立を建設的に解決できるか。

質問例

  • チームで何かを成し遂げた経験を教えてください。その中で、あなたはどんな役割でしたか?

  • チームメンバーと意見が対立したことはありますか?どう対応しましたか?

  • チームの成果のために、自分の意見を譲った経験はありますか?

深掘りの型

  • あなた個人の役割・責任範囲は何でしたか?(貢献の切り分けを見る)

  • あなたがいなかったら、結果は変わっていたと思いますか?(自己認識を見る)

  • チームで一番大変だったことは何ですか?(困難への向き合い方を見る)

評価のポイント

「チーム全体の成果」と「個人の貢献」を分けて説明できるかを見てください。「みんなで頑張った」だけでは、その人の貢献は分かりません。

また、「意見の対立」への対応は、その人の協働スタイルがよく現れます。


④成長意欲・学習姿勢

見たいこと:自分の成長に意識的に取り組んでいるか。フィードバックを受け入れて改善できるか。

質問例

  • 直近1〜2年で、新しく学んだスキルや知識はありますか?どうやって習得しましたか?

  • 上司や同僚からフィードバックを受けて、行動を変えた経験はありますか?

  • 未経験の領域に取り組んだとき、どう対応しましたか?

深掘りの型

  • なぜそれを学ぼうと思ったんですか?(動機を見る)

  • 学んだことを、実際の仕事でどう活かしましたか?(実践への転換を見る)

  • 学ぶ過程で、つまずいたことはありましたか?(困難への向き合い方を見る)

評価のポイント

学んだことを実践に移しているかが重要です。本を読んだだけ、セミナーに参加しただけで終わっていないか。また、フィードバックを「受け入れる」だけでなく、具体的に行動を変えた経験があるかを確認します。


⑤ストレス耐性・レジリエンス

見たいこと:プレッシャーや困難な状況でもパフォーマンスを維持できるか。失敗から立ち直れるか。

質問例

  • これまでの仕事で、特にプレッシャーを感じた経験はありますか?どう対処しましたか?

  • 仕事で失敗した経験を教えてください。どう向き合いましたか?

  • 厳しいフィードバックを受けたとき、どう受け止めましたか?

深掘りの型

  • 何が一番つらかった・大変でしたか?(ストレス要因の認識を見る)

  • どうやって乗り越えましたか?誰かに相談しましたか?(対処行動を見る)

  • その経験から、何を学びましたか?(内省と成長を見る)

評価のポイント

「ストレスを感じない人」ではなく、「ストレスを感じたときに建設的に対処できる人」を評価してください。

「特にストレスはありません」という回答は、自己認識が低い可能性があります。誰でもストレスは感じるもの。それをどう認識し、どう対処するかが重要です。


コンピテンシー面接を組織に定着させる3ステップ

Step1:自社の「見るべきコンピテンシー」を定義する

最初にやるべきことは、「自社ではどんな行動特性を持った人が成果を出しているか」を明らかにすることです。

アプローチ1:ハイパフォーマー分析

成果を出している社員5〜10名にインタビューし、共通する行動特性を抽出します。

質問例:

  • 入社後、最初に成果を出せたのはなぜだと思いますか?

  • 困難な状況をどう乗り越えてきましたか?

  • 他のメンバーと比べて、自分が意識的にやっていることはありますか?

アプローチ2:失敗からの学び

過去の「採用ミス」を振り返ることも有効です。

  • 期待通りに活躍しなかった人は、何が足りなかったか?

  • 面接では見抜けなかったのはなぜか?

注意点:職種特有のスキルと、全社共通のスタンスを分ける

募集職種と同職種のハイパフォーマーが社内に少ない場合は、他職種の社員を参考にします。その際は、職種特有のスキルではなく、全社共通で求められる「スタンス」や「価値観」を抽出するようにしましょう。

最初から完璧なコンピテンシーを定義する必要はありません。仮説として定義し、運用しながら精度を上げていく姿勢が大切です。


Step2:質問と評価基準を「セット」で設計する

コンピテンシーを定義したら、「どう質問するか」と「どう評価するか」をセットで設計します。

よくある失敗は、「質問だけ決めて、評価基準を決めない」というパターン。これでは、結局面接官の主観で評価することになります。

評価基準の設計例

スコア

定義

判断の目安

5

期待を大きく上回る

複数の具体的エピソードがあり、高いレベルの行動が見られる。周囲への影響力も確認できる

4

期待を満たす

具体的エピソードがあり、期待するレベルの行動が見られる

3

やや物足りない

エピソードはあるが、行動レベルが標準的。深掘りすると曖昧になる部分がある

2

懸念がある

該当エピソードが出てこない、または行動が受動的

1

不採用相当

該当エピソードがなく、マイナス評価につながる傾向が見られる

「良い回答」と「懸念のある回答」の具体例も用意する

抽象的な基準だけでなく、具体的な回答例があると、面接官の判断が揃いやすくなります。

例(主体性の評価):

  • 良い回答の例:「誰も手をつけていなかった業務改善に自分から取り組み、チームの工数を20%削減した。最初は反対もあったが、小さく試して成果を見せることで理解を得た」

  • 懸念のある回答の例:「上司から改善を指示されて取り組んだ。自分から提案したことは特にない」


Step3:現場メンバー・面接官への共有とトレーニング

最後のステップは、面接官への共有とトレーニングです。

共有すべきこと

  1. コンピテンシー面接の目的と考え方(「なぜこのやり方にするのか」)

  2. 自社で定義したコンピテンシーと評価基準

  3. 質問例と評価シートの使い方

  4. 現場メンバーが面接に参加するメリット(「採用のミスマッチが減れば現場の負担も減る」)

トレーニング方法

方法

内容

効果

ロールプレイ

模擬面接で質問・深掘り・評価を実践

「型」を体で覚える

面接同席

経験豊富な面接官の面接に同席

実際のやり取りを学ぶ

評価すり合わせ

同じ面接を複数人で評価し、認識のズレを確認

評価基準の理解を深める

現場メンバーを巻き込むコツ

現場メンバーに面接を依頼する場合、「やらされ感」が出ないようにすることが重要です。

  • 目的を伝える:「あなたの専門性で、人事だけでは見抜けない部分を見てほしい」

  • 負担を最小化する:質問と評価基準を用意し、「これを聞いて、この基準で評価してください」と明確にする

  • フィードバックを返す:採用した人がどう活躍しているかを共有し、面接の意味を実感してもらう


【補足】定性評価だから、人によって評価点の基準が変わる「難しさ」にどう向き合うか

「完璧な評価」ではなく「再現性のある評価」を目指す

コンピテンシー面接の目的は、面接官の主観を完全に排除することではありません。評価の「ブレ幅」を小さくすることです。

複数の面接官が同じ候補者を評価したとき、全員が同じスコアになる必要はありません。しかし、「5点」と「2点」のような大きなズレは避けたい。そのために評価基準と質問を標準化しましょう。

「答え合わせ」の仕組みを作る

採用の精度を上げる最も確実な方法は、採用後の振り返りです。

  • 面接で高評価だった人は、入社後も活躍しているか?

  • 面接で懸念があった人は、実際にどうなったか?

  • 「見抜けなかった」ケースがあれば、何が足りなかったか?

この振り返りを定期的に行うことで、コンピテンシーの定義や評価基準を磨いていくことができます。


まとめ

コンピテンシー面接は、単なる面接手法ではありません。「何を見るか」を組織として言語化し、共有するプロセスです。

  • 面接の評価がブレるのは、「何を見るか」が曖昧だから

  • コンピテンシー面接は「過去の行動事実」を深掘りし、将来の行動を予測する

  • 導入は3ステップ:①コンピテンシーを定義 → ②質問と評価基準を設計 → ③面接官に共有・トレーニング

「良い人を採用できない」「面接官によって評価がバラバラ」という課題は、個人の努力だけでは解決しにくいものです。

しかし、仕組みを整えれば、現場メンバーを巻き込みながら、組織として採用の精度を高めていくことができます

採用は「人事だけの仕事」ではなく、組織全体で取り組むべきテーマです。コンピテンシー面接という「共通言語」を持つことで、全員が同じ方向を向いて採用に臨めるようになります。

この記事が、皆さんの採用活動の改善に少しでも役立てば幸いです。

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