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採用ノウハウ


「作って終わり」にしない採用ペルソナ設計-実務で使えるテンプレートと活用の型-

投稿日:2025/12/9

更新日:2026/4/30

「作って終わり」にしない採用ペルソナ設計-実務で使えるテンプレートと活用の型-

「採用ペルソナを作成したが、実際の採用活動では使われていない」

こうした課題を抱える企業は少なくありません。

ペルソナが機能しない主な原因は、「作ること」自体がゴールになってしまい、面接、スカウト、求人票といった実務に落とし込める粒度で設計されていない点にあります。

本記事では、HERPが実践する「成果に向かう」ペルソナ設計の考え方と、すぐに使えるテンプレートをご紹介します。


多くの企業が「ペルソナを作ったのに使えていない」理由

採用ペルソナの作成に取り組む企業は多いものの、作成後に「結局使われない」「形骸化している」という声が後を絶ちません。なぜ、このような事態が起きるのでしょうか。

原因1:抽象的すぎて、採用施策に落とし込めない

「コミュニケーション能力が高い人」「主体的に動ける人」──こうした抽象的な表現だけでペルソナを記述しても、実際の採用活動ではほとんど機能しません。

その背景として、このような抽象的なペルソナでは、スカウト担当者が「どのようなメッセージを送ればよいか」、面接官が「どのような質問をすればその資質を見極められるか」の判断が難しいからです。表現が抽象的であればあるほど、誰にでも当てはまる解釈が可能となり、結果として「なんとなく良さそうな人」を探すことになってしまいます。これではペルソナを策定しても採用施策に落とし込むことができません。

原因2:現場だけで作成し、人事の納得感がない

現場だけでペルソナを作成すると、採用市場の相場観と乖離してしまい、「そのような要件に当てはまる人材はほとんどいない」という実現不可能なペルソナになってしまう恐れがあります。

採用マーケットのリアルが反映されていないペルソナの場合、そのペルソナを「使う必然性」を感じません。その結果、面接の場でも「ペルソナにはこう書いてあるが、実際は…」と軽視され、参照されなくなってしまいます。

原因3:作成後の「使い方」が定義されていない

ペルソナ作成時に、「このペルソナをどの採用施策の、どの場面で参照するのか」が明確になっていないケースもあります。

ペルソナを使うのは、スカウト送付時なのか、面接質問の検討時なのか、あるいは求人票の作成時なのか。使い方が曖昧なままでは、形骸化してしまいます。


「使えるペルソナ」に必要な3つの要素

では、実際の採用活動で活用できるペルソナとは、どのようなものでしょうか。HERPでは、以下の3つの要素が不可欠であると考えています。

要素1:採用施策に紐づく「具体的な粒度」

使えるペルソナとは、求人票の訴求ポイントを設計できるレベルの具体性を持っており、スカウト担当がメッセージを執筆でき、面接官が質問を作成できるものです。

例えば単に「コミュニケーション能力が高い」とするのではなく、「リモート環境下でも、Slack等のテキストコミュニケーションを通じて他部署と円滑に協働できる」といった粒度まで落とし込みます。このように具体性があって初めて、面接で「リモートワークにおけるコミュニケーションの工夫」について質問することができるようになります。

要素2:現場との合意の取れた「リアル」な人材イメージ

ペルソナは、実在する社員や、過去に活躍した人をモデルとし、現場のメンバーが「たしかにこういう人が必要だ」と納得できることが必要です。

現場のメンバーとの対話を通じ、「理想の協働者像」を引き出す過程で得られるリアルなエピソードや具体的な期待こそが、ペルソナに説得力を与えます。

要素3:更新と検証の仕組み

ペルソナを決めて満足するのではなく、採用活動を進める中で、「現在のペルソナが適切か」を検証し、必要に応じて更新するサイクルもとても重要です。

実際に選考に進んだ候補者がペルソナとどの程度一致していたか、入社後の活躍度合いは想定通りか、といった検証を繰り返すことで、ペルソナは進化し続けます。


HERPが実践する「実際に使えるペルソナ」の設計フロー

ここからは、HERPが実際に採用ペルソナを設計する際のフローをご紹介します。

ステップ1:採用目的と事業課題を明確にする

まず、「なぜこのポジションを採用するのか」を事業成果をもとに言語化します。

  • 事業のどの部分がボトルネックになっているのか

  • この採用によって、どのような成果を実現したいのか

  • 半年後、1年後に、その人材がいることでどのような状態を目指すのか

これらの問いに答えることで、事業成果に直結する戦略的な採用に繋がるペルソナを設計できます。

ステップ2:現場の「理想の協働者像」をヒアリングする

次に、現場のマネージャーやメンバーと対話し、「一緒に働きたい人」の具体像を引き出します。

ヒアリングで重視すべきは、抽象的なスキルリストではなく、具体的なエピソードです。

  • 「過去に一緒に働いた中で、最も仕事がしやすかったのはどのような人でしたか?」

  • 「現在のチームに不足していると感じるのは、どのようなタイプの人材ですか?」

  • 「この人が加わることで、仕事の進め方はどう変わりそうですか?」

こうした問いを通じて、現場のリアルな期待値を言語化していきます。

ステップ3:候補者の「転職動機」と「選考軸」を想定する

ペルソナ設計において見落とされがちなのが、候補者視点です。ペルソナは「採用要件」じゃなくて「候補者インサイト」でなければいけません。

「現職でどんなペインがあるのか?」「なぜ転職するのか?」「次に叶えたいことはなにか?」から求人票やスカウト・コンテンツで自社が選ばれる理由に直結させるロジックを作る必要があります。

一方的に「欲しい要件」を定義するだけでなく、その人がなぜ転職を考えるのか、どのような基準で企業を選ぶのかといった動機や選考軸を想定することで、「選ばれる理由」を設計に組み込むことができます。

例えばSaaS企業のエンジニア採用であれば、「大企業での開発経験はあるが、意思決定に関わる機会が少なく、より裁量を持って開発したい」といった転職動機を仮定します。ペルソナに沿って、スカウト文や面談で「意思決定への関与度」を強力な訴求ポイントとして提示することができます。

ステップ4:採用施策ごとの「使い方」を定義する

最後に、作成したペルソナを「どの場面で、どのように使うか」を明確にします。

  • スカウト文:ペルソナの転職動機や懸念事項をもとに、刺さるメッセージを設計する

  • 求人票:ペルソナが重視する働き方や成長機会を訴求ポイントにする

  • 面接質問:ペルソナの価値観やスキルを見極めるための具体的な質問を用意する

  • カジュアル面談:ペルソナが抱きそうな疑問を先回りして解消する

こうした「使い方の定義」があって初めて、ペルソナを実際の採用活動で活用することができるようになります。

ペルソナの実際の採用での活用できるシーン

ペルソナは作成して終わりではなく、実際にペルソナを採用施策に落とし込むための具体的なパターンを紹介します。

パターン1:スカウトメッセージへの落とし込み

ペルソナの「転職理由」「懸念事項」をもとに、候補者の心に響くスカウト文を作成します。

例えば、前述のエンジニアペルソナであれば、以下のような訴求が有効です。

「大企業での開発経験を活かしつつ、もっとプロダクトの意思決定に関わりたい」とお考えではないでしょうか。

当社では、エンジニアが事業責任者と日常的に議論し、技術選定から機能の優先順位まで関与できる環境があります。安定性についても、シリーズBで〇〇億円の資金調達を完了しており、持続的な成長フェーズに入っています。

ペルソナが存在することで、「誰に」「何を」伝えるべきかが明確になります。

パターン2:面接質問設計への活用

ペルソナの「価値観」「重視する働き方」を見極めるための具体的な質問を設計します。

  • 「過去に、プロダクトの方向性に関わる意思決定をした経験はありますか? その際、技術面からどのように貢献しましたか?」

  • 「技術的負債に対して、どのようなスタンスで向き合ってきましたか? 具体的なエピソードを教えてください」

  • 「リモート中心の開発環境において、チームメンバーとのコミュニケーションで工夫していた点はありますか?」

ペルソナに記載された要素を行動ベースの質問に落とし込むことで、面接の精度が向上します。

パターン3:求人票の訴求ポイント設定

ペルソナが「何を求めているか」から逆算し、求人票の訴求ポイントを設計します。

例えば、ペルソナが「プロダクトの成長に技術で貢献したい」という価値観を持っているなら、求人票には以下の要素を盛り込みます。

  • エンジニアがプロダクトの意思決定に関わる文化があること

  • 技術選定の裁量が大きいこと

  • 事業責任者との距離が近いこと

  • プロダクトの成長フェーズと今後の展望

こうした訴求は、ペルソナなしでは一般的な「魅力」を羅列するだけになりがちです。ペルソナがあることで、候補者に刺さる要素を戦略的に求人に組み込むことができます。


実務で使える採用ペルソナ設計テンプレート

採用ペルソナのテンプレートと、その活用方法をご紹介します。

テンプレートの構成と記入のポイント

採用ペルソナには、以下の項目を含めることを推奨します。

  1. 基本情報

  • 年齢・経験年数:おおよその目安(幅を持たせる)

  • 現在の職種・役割:具体的な業務内容

  • 具体的な企業名

  • 価値観・働き方

  • 大切にしている価値観:仕事における優先順位

  • 理想の働き方:リモート/出社、裁量、チームの雰囲気など

  • キャリアで実現したいこと:3〜5年後の目標

  • 転職動機・懸念事項

  • 転職を考える理由:現職への不満や、新しい環境への期待

  • 転職先を選ぶ基準:企業選びの決定要因

  • 懸念していること:転職にあたっての不安要素

  • 採用後の期待役割

  • 入社後3ヶ月のミッション

  • 入社後半年〜1年の期待成果

  • 将来的なキャリアパス

これらの項目を検討することで、実際の採用活動に使えるペルソナの土台を作ることができます。

各項目の具体例(エンジニア採用のケース)

以下は、実際のエンジニア採用を想定した記入例です。

【基本情報】

  • 年齢・経験年数:28〜35歳、エンジニア経験5年以上

  • 現在の職種・役割:Webアプリケーションエンジニア、スクラムチームの中核メンバー

  • 具体的な会社名:〇〇社のXX部門で中堅エンジニアとして、技術選定や設計にも関わり始めている

【スキル・経験】

  • 必須スキル:Ruby on Rails または Node.jsでの開発経験、RESTful API設計の理解

  • 歓迎スキル:AWS/GCPなどのクラウド環境での運用経験、チームリード経験

  • 過去の経験領域:toB SaaS開発、アジャイル開発環境での経験

【価値観・働き方】

  • 大切にしている価値観:ユーザー価値へのコミットメント、技術的負債に向き合う文化

  • 理想の働き方:リモート中心だが、必要に応じて出社も可能。裁量を持って開発を進められる環境

  • キャリアで実現したいこと:プロダクトの成長を技術で支えるエンジニアリングマネージャー

【転職動機・懸念事項】

  • 転職を考える理由:大企業で安定しているが、プロダクトの方向性に関わる機会が少ない。より事業に近い場所で開発したい

  • 転職先を選ぶ基準:プロダクトの成長性、技術的な挑戦環境、経営層との距離の近さ

  • 懸念していること:スタートアップの安定性、開発体制の成熟度、キャリアパスの明確さ

【採用後の期待役割】

  • 入社後3ヶ月:既存プロダクトのコードベース理解、小〜中規模の機能開発を担当

  • 入社後半年〜1年:新機能開発のリード、技術選定への参画、若手エンジニアのメンタリング

  • 将来的に担ってほしい役割:開発チームのテックリードまたはエンジニアリングマネージャー

ペルソナにこのレベルの具体性があれば、スカウト文で「プロダクトの方向性に関わる機会」を訴求でき、面接では「過去に事業判断へ技術面から関与した経験」について具体的に質問することができるようになります。

ペルソナは「作って終わり」ではなく、更新し続けるもの

ペルソナは一度作成したら完成ではありません。採用活動を進める中で、継続的に検証・更新していくことが重要です。

採用活動の中で検証する仕組み

実際に選考が進んだ候補者と、ペルソナとのズレを定期的に確認します。

  • ペルソナに近い候補者は、選考でどこまで進んだか

  • 逆に、ペルソナと異なるタイプでも、高い評価を得た候補者はいなかったか

  • 入社後に活躍している人材は、当初のペルソナと一致していたか

これらの検証を通じて、ペルソナの精度を高めていきます。

現場と定期的にすり合わせる場の設計

四半期ごとに、人事と現場メンバーで「ペルソナレビュー会」を開催することも有効です。

  • 現在のペルソナで採用した人材の活躍度合い

  • 事業フェーズの変化に伴う、求める人材像の変化

  • 新たに見えてきた課題や、追加すべきスキル要件


まとめ

採用ペルソナは、作ること自体が目的ではなく、実際の採用活動に活用できることが重要です。

HERPが大切にする「成果に向かう」思想に基づき、面接官が質問でき、スカウト担当がメッセージを書くことができ、そして現場が納得できるペルソナ設計を目指すことで、採用活動全体の精度とスピードは確実に向上します。

テンプレートを活用しながら、まずは一つのポジションから実践してみてください。そして、採用活動の中で検証と更新を繰り返すことで、自社にとって真に「使えるペルソナ」を育てていただければと思います。

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