
投稿日:2025/12/2
更新日:2025/12/3
「スクラム採用を導入したものの、成果につながらない」
現場を巻き込み、全社で採用に取り組む重要性は理解していても、期待通りの結果に至らないケースは少なくありません。
その主な原因は、採用担当者自身の役割が変わっていない点にあります。
スクラム採用とは、単に「現場に面接を依頼する」ことではありません。採用担当者が「すべてをコントロールする立場」から「現場が動ける環境を作る立場」へと、根本的に役割を転換する必要があります。
本記事では、スクラム採用がもたらす利点を再確認した上で、その効果を最大化するために採用担当者が意識すべき3つの役割について解説します。
スクラム採用とは、「採用活動を経営陣と人事に閉じたものではなく、現場社員を巻き込んだ形で行うことで、最大の成果を創出していく採用手法」のことを指します。
採用担当の人事・経営者だけではなく、現場社員も主体者であることが「スクラム採用」の最大の特徴です。
参考:スクラム採用とは?
現場が候補者を直接見極められるようになると、意思決定は圧倒的に速くなります。採用担当者が間に入り「現場の意向を確認する」というプロセスが不要になるからです。また、候補者の実務適性を実際に一緒に働くメンバーが評価するため、ミスマッチの減少にもつながります。
候補者は、現場の社員から直接話を聞けることに価値を感じます。「人事が用意した綺麗な物語」ではなく、現場のリアリティが伝わることで信頼性が高まり、入社後のギャップも抑制されます。
採用が「人事の仕事」から「自分たちの仕事」へと変化すると、現場の当事者意識が変わります。「良い人を採りたい」という熱量が組織全体に波及し、結果として会社全体の採用力が底上げされます。
これだけの利点がありながら、なぜうまくいかないのでしょうか。それは、採用担当者が従来の「管理者マインド」を脱却できていないからです。
スクラム採用を機能させるには、採用担当者が以下の3つの新しい役割を担う必要があります。
設計者:現場が動きやすい仕組みを作る
信頼の醸成者:コントロールを手放す
品質管理者:候補者体験を守る
それぞれの役割について詳述します。
スクラム採用で最も重要なのは、現場が「自分たちで判断できる状態」を作ることです。そのために採用担当者が行うべきは、情報とプロセスの設計です。
「聞かれたら答える」というスタンスでは不十分と言えます。現場が知りたい情報に、いつでもアクセスできる状態を作る必要があります。
どんな候補者が、今どのステップにいるのか
過去の選考でどのような評価がなされたのか
採用の目標数や進捗状況
これらを常に可視化しておきます。「採用担当者に聞かないとわからない」状態は、現場の自走を妨げる要因となります。HERPが提供する「HERP Hire」のようなATS(採用管理システム)を活用すれば、情報の透明化は比較的容易です。重要なのはツール導入そのものではなく、「見ればわかる」状態を徹底する意識を持つことでしょう。
現場が迷わず判断できるよう、採用基準やプロセスを明文化しておく必要があります。
例えば、「次の面接に進めるかどうか」の判断基準が曖昧なままでは、現場は都度採用担当者に確認せざるを得ず、自走は困難になります。
どのようなスキルや経験があれば次に進めるのか
逆に見送るべきケースは何か
判断に迷った際の相談先は誰か
これらの基準を事前に現場とすり合わせ、「採用担当者への確認」が発生しない設計を目指すべきです。
スクラム採用は、現場への丸投げではありません。現場が「採用活動(候補者の見極めや惹きつけ)」に集中できるよう、周辺業務は採用担当者が巻き取る必要があります。
面接日程の調整
候補者への連絡や情報提供
選考結果の通知
事務作業の負荷が大きすぎれば、現場の協力は持続しません。ツールによる自動化や採用担当者による代行を組み合わせ、現場には「候補者と向き合うこと」だけに集中してもらう設計が重要です。
仕組みを作っても、採用担当者が「管理」のマインドを捨てられなければ、スクラム採用は機能しません。
採用担当者であれば、「現場に任せるより、自分でやった方が確実で速い」と感じる場面があるはずです。
確かに短期的にはその通りかもしれません。しかし、その状態を続けていては、組織の採用力は永続的には向上しません。
現場が採用に慣れるには時間を要します。当初は面接の質が安定せず、判断に迷い、選考が遅れる可能性もあるでしょう。ですが、その経験を経なければ現場は成長しません。
現場の面接官に完璧を求めるのは酷な話です。むしろ、失敗から学ぶプロセスこそが重要です。
仮に不適切な質問をしてしまったとしても、「だから現場には任せられない」と断じるのではなく、「なぜその質問が出たのか」を共に振り返り、次への改善策をフィードバックします。
このサイクルを回すことで、現場の面接スキルは確実に向上していきます。失敗を責めるのではなく、許容する余白を作ることこそが採用担当者の務めです。
過度な報告義務や承認フローは、現場の自走を阻害します。
「面接終了後は必ず報告すること」「通過承認を得ること」といった細かい管理は、現場にとってストレスになりかねません。
任せる範囲を明確にし、その領域には口を出さないようにする。採用担当者の役割は「監視」ではなく、現場が困ったときの「支援」です。この意識を持つだけで、現場との関係性は大きく変わるはずです。
現場に任せることと、候補者体験を守ること。この2つは時に相反する場合があります。だからこそ、採用担当者は「品質管理者」として機能しなければなりません。
現場が自走すればするほど、面接官ごとの対応にバラつきが生じるリスクがあります。これを防ぐため、最低限のガードレール(指針)が必要となります。
面接前の簡易トレーニング
聞いてはいけない質問のNG集
候補者に伝えるべき情報のチェックリスト
これらを事前に用意するだけで、候補者体験の質は担保されます。現場に「完璧な面接」を求めるのではなく、「最低限守るべきライン」を提示する設計が現実的です。
採用担当者が持つべき最も重要な視点は、「候補者がどう感じたか」です。
候補者アンケートや辞退理由のデータを収集し、現場へ共有します。「この対応が不快感を与えた」「プロセスが長く辞退につながった」といった事実を、感情論ではなくデータとして伝えます。
現場任せにしていると、候補者の声は届きません。採用担当者が、候補者と現場をつなぐ橋渡し役になる必要があります。
候補者が「どの面接官と話しても、同じ会社だと感じられる」体験を作ることも重要です。
選考フローごとのメッセージやトーン、提供情報に一貫性を持たせるため、採用担当者がテンプレートやガイドラインを用意しておきます。
現場の個性を活かしつつ、会社としてのメッセージを統一する。「自由」と「一貫性」のバランスを取ることが、採用担当者の腕の見せ所と言えます。
スクラム採用は、現場への丸投げでもなければ、採用担当者による完全管理でもありません。
設計者として、現場が動ける環境を作る。
信頼の醸成者として、コントロールを手放す。
品質管理者として、候補者体験を守る。
この3つの役割を採用担当者が同時に担うことで、スクラム採用は初めて機能します。
私たちHERPは、「すべての採用における意思決定を、その次の挑戦を生み出すものに」というミッションを掲げています。そのためには、採用が一部の人だけの仕事ではなく、組織全体の挑戦にならなければなりません。
採用担当者が変われば、組織の採用力は確実に向上するはずです。ぜひ実践してみてください。

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候補者との対話や意思決定により時間をかけられるようにします。