
投稿日:2021/7/5
更新日:2023/7/13
業界で注目を浴びるスタートアップの会社自体ではなく、今一番求めているポジション(急募求人)にフォーカスを当てて掘り下げていく本企画。
今回は番外編”デジタル庁の今”として4回に渡ってインタビューを実施。今注目を集めているデジタル庁準備室のお仕事について、実際にデジタル庁準備室で勤務しておられる皆様にお話を伺います。
4回目の今回は、デジタル庁準備室でIT戦略調整官を務める本丸さんに、仕事の詳細ややりがいをお聞きしました。
内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室 IT戦略調整官※ 本丸達也

内閣官房IT総合戦略室にて、デジタル基盤を設計するアーキテクチャチームのとりまとめを担当。1人で産官学を兼任しており、愛媛県のCDO(最高デジタル責任者)補佐官を務めながら、民間にてデジタルツイン志向で物理・仮想都市空間基盤を設計し、同時に大学院博士課程(都市工学)でグラフニューラルネットワークを用いたAIモデルによる都市シミュレーションを探求中。株式会社HERP 代表取締役CEO 庄田 一郎

京都大学法学部卒業後、リクルートに入社。SUUMOの営業を経て、リクルートホールディングスへ出向。エンジニア新卒採用に従事する。その後、エウレカに採用広報担当として入社し、同責任者に就任。2017年3月、HERPを創業。本記事ではインタビュアー、ちょこちょこ感想を挟む。デジタル庁は、デジタル社会形成の司令塔として、未来志向のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を大胆に推進し、デジタル時代の官民のインフラを今後5年で一気呵成に作り上げることを目指し設立準備中。
徹底的な国民目線でのサービス創出やデータ資源の利活用、社会全体のDXの推進を通じ、全ての国民にデジタル化の恩恵が行き渡る社会を実現すべく、取組を推進しています。
本記事で取り上げるデジタル庁準備室の求人
※デジタル庁(準備中)Webサイトに新規タブで遷移します
庄田:本日はよろしくお願いいたします!今日はシリーズ最終回。デジタル庁にてアーキテクチャチームのとりまとめを担当している本丸さんにお話を伺います。
早速ですが、本丸さんはどのような経歴で、なぜデジタル庁への参画を決められたのでしょうか?
本丸:よろしくお願いいたします! 外資ソフトウェア会社でキャリアをスタートし、企業の基幹系情報システムの開発をしていました。1990年代当時は外資企業とはいえマニュアルや設計書等も出来上がったものはなく、メーカーや製造業など大手企業のプレッシャーの中、手探りしながらソフトウェアを作っていました。
外資で海外のエンジニアと競いながらソフトウェアを作ることも刺激的ではありましたが、国内大手企業のコアの部分が外資のものでよいのかという違和感を覚え、同じような意識を持った仲間とソフトウェア開発の会社を立ち上げました。自ら、サーバーサイド、組み込み、フロントエンドの部分に至るまでをその時々の技術の趨勢に身を任せて設計・開発を行ってきました。
オンプレがメイン、ハードウェアが中心だったレガシーからクラウド化・仮想化したモダンアーキテクチャを経験しているので、その両者の架け橋になれればと思い参画しました。
庄田: デジタル庁には兼業でのジョインとのことですが、ご自身で立ち上げた会社では今でも働かれているのでしょうか?
本丸:はい、自社では、自律移動や自動搬送など自動化・省人化の分野のソフトウェア/ハードウェアの開発に取り組んでいます。並行して大学院の博士課程で都市AIシミュレーションの研究に取り組んでいます。
庄田:なるほど、ありがとうございます。愛媛県のCDO(最高デジタル責任者)補佐官も兼務しながらととてもお忙しい中だと思いますが、デジタル庁準備室の最初の募集でジョインされたと伺いました。トライしようと思った背景を教えてください。
本丸:次代の街や自治体、国の物理空間をデジタルで置換できるのか、とういうことを自身のテーゼとしておりました。現に、大学では開発経済学、大学院では都市工学を選択しております。
また、個人の体験として、20歳の時に阪神・淡路大震災を経験しています。建物や構造物といったハードが悉くフラット化するという衝撃を受け、志向性がソフトウェアにシフトしました。当時、神戸市に手を差し伸べてくれた小さなお返しとして、国難においては自分も何かしら貢献したいと長らく考えていました。
庄田:ありがとうございます。次に、デジタル庁での現状の仕事内容について教えてください。
本丸:トータルデザインと呼ばれる、全体アーキテクチャの策定をしています。とても広い範囲を担当していますね。様々な技術の交差点になるところ、扇のかなめに位置するのが我々の役割です。
現在は概要設計の段階です。一部重点計画にも公表されている、どのような方針でシステムを作るのか、どうやって現行の制度と折り合いをつけるか、新しい制度策定と足並みを揃えられるかといったことを、モダンアーキテクチャの技術コンポーネントと擦り合わせながら検討しています。
公表している内容はまだ抽象的なものですが、実際はどのようなソフトウェア・アーキテクチャで構成するか、仮想化技術を用いたネットワーク・クラウド環境とシームレスな連携、データフローの一元化等、かなり具体的に青写真を描いています。
様々な府省が関係しますので調整が落ち着きましたら、具体的な内容の公表ができると思います。
庄田:本企画のインタビュー第2弾ではPMのお2人にも話を伺ったのですが、役割分担はどのようになっているのでしょうか?
本丸:PMは各省庁の要件設計・導入をやっていくポジションを担ってもらっています。アーキテクトは横断的なシステム全体のアーキテクチャを考えていくポジションで、国のシステムであれば数百、自治体と連携する部分は自治体の数である1,700を越えるシステムの共通基盤の設計を担っています。
庄田:担当されているお仕事には技術的な難しさと官公庁としての難しさがあると思うのですが、いかがですか?
本丸:そうですね。官公庁としての難しさの1つは、法制度が絶対であるということです。 エンジニア目線だとこうしたらいいのにと思うものがたくさんあるが、それがすぐに実現できるわけではありません。技術的に論理的な部分と行政として論理的な部分がなかなかな交差せず、着任当時は悩んでいましたね。
庄田:具体的にはどんなすれ違いが起きていたのでしょうか?
本丸:例えば、行政の仕事は、膨大なステークホルダーがいます。アーキテクチャからしたら1つのモジュールにすぎないものも、色々な府省のサービスに影響を与えるので、全ての事象に確認・コンセンサスをとることにかなり時間が要しました。同じ目線でどんどんコトを前に進められる民間での働き方とは違う難しさがありましたね。
庄田:それは徐々に変わってきていますか?
本丸:はい。変わってきています。アーキテクチャとしてこういうものが望ましいのでは?というバージョン0.1のものを、キーパーソンの人たちに見せた時に扉が開いた感じがしました。
庄田:どういう反応だったんでしょうか?
本丸:まず反応してくれたのが、各技術チームにいる民間のプロフェッショナルでした。このアーキテクチャであれば実現性が高まるかもしれないという反応がありました。
それに呼応して行政官でも技術に詳しい人たちが評価をしてくれるようになりました。おそらく今までに内製でアーキテクチャを設計するという機会がなく、概念設計を自身の目で確認して初めて、自らの手で生み出すことに可能性を見出したのだと思います。
庄田:なるほど。1つの成功体験になったのではないでしょうか。
本丸:やっとスタートラインに立ったところなので、成功体験とはまだいえませんが、新しい光が見えた感じはしましたね。
どの組織でも起きる、お互いがお互いを信頼するためのセレモニーのようなものだったと捉えています。 また階段を登ってる最中ですが、アウトプットで対話するのが民間人材としてのルールで、官民混在の組織において一つのアウトプットを示せたのは大きな価値だったと感じています。
また、アウトプットも大事でしたが、理想に近づきたいという思いも同じく大切でした。アーキテクチャチームでは設計の際に「良心に基づいて」というフレーズを連呼しますが、行政官の方も想像以上にその想いを持っていて、それが前進のスピードを速くしていると感じています。
庄田:なるほど、ありがとうございます。今回の業務は、全くのゼロからの設計だったのですか?
本丸:昨年度、マイナンバーワーキンググループという組織で大きな方針を示していただきました。国・自治体のアーキテクチャの刷新して、国民の利便性やコスト削減、緊急時の即応性を高めるといった目的のために、大きなコンセプトが策定されています。
今回のアーキテクチャチームはそのコンセプトを具現化するためにリレーのバトンを受け取り、全速力で走っている状態です。
アーキテクチャチームは10人ほどで組成されていますが、チームメンバーそれぞれが高い設計力・実装力を持ち合わせています。難題でも果敢に向き合い、解を生み出す姿勢に心から感謝しています。
庄田:現在全速力で走られてるとのことですが、デジタル庁としての今後の成功のための鍵はなんだと思われますか?
本丸:技術的なプロトコルで対話できる人を尊重し、登用していくことだと思います。トップレイヤーも、必ずテクノロジーに明るい必要があります。デジタル庁は特にその部分が求められていると感じますね。
庄田:今後どんな人にデジタル庁に参画してほしいと思いますか?
本丸:まず、アーキテクチャとしては、多岐にわたる物事を抽象化してソフトウェアのモジュール、ライブラリに落とし込むことが好きな人に来て欲しいなと思います。汎用性の高いものを作った時に嬉しさを感じる人が特に合うと思っています。
次にタイプとしては、あらゆる技術チームと対話をしていくことになるので、相手の懐に飛び込める人が向いてると思いますね。摩擦もあるかもしれないし、すぐに仲間になれるかもわからないが、飛び込んで信頼関係を作っていける人が良いと思います。今チームもまさにそのプロセスにいます。
アーキテクチャチームは非常に仲がいいのですが、摩擦を恐れない人が多いんです。摩擦熱で一緒に温かくなればいいという考え方で来てもらえたらと思います。
庄田: 実際にどんな業務を担当するのでしょうか?
本丸:統一的な設計思想のもと、国・自治体のデータの流れ方と、システム群のアーキテクチャを作っていくことになります。
自治体は地方班が担当しますが、自治体と国の接点の部分は我々の業務範囲になります。
将来的には開発(DevOps)・セキュリティ・運用とも密に連携しながら業務をしていくことになると思います。
庄田:日常的に行政官の方とも関わるのでしょうか?
本丸:関わります。なぜかというと、制度とシステム両方を同時に変えようとしているからです。システム面からみて制度をどう変えたほうがいいのか、行政官にはかなりチャレンジングな内容も多いですが、数年後を見据えて提案しています。そしてアーキテクチャとしては、実際に制度が変わった場合の設計を進めており、同時に上に登っていく二重らせんのような成長をしています。
庄田:制度にまで染み出せるのはデジタル庁ならではの面白さですね。他にもそういった行政ならではの仕事はありますか?
本丸:行政ならではで言うと、どんな時も国民の生活・命を預かっているということは忘れてはいけないと思っています。
例えば一般論としてクラウドネイティブでやればよいという考え方もありますが、行政は何らかの緊急事態が発生する場合に備えて迂回路を必ず持つ必要があります。クラウドやネットワークを複線化するのか、他の手段を用いるのか、設計にあたり、コストと安全係数を常に意識しています。できるだけ未来を見据えて新しい世界に移しつつも、リスクヘッジをした形で多段的な移行設計とすることは難易度が高いですが、完遂できるように使命感を持って取り組んでいます。
庄田:なるほど。かなり緊張度の高いお仕事だと思いますが、本丸さんのモチベーションの源泉はなんですか?
本丸:まずは縁の下としてのアーキテクトがもっと評価されるようにしたいと思っています。複雑なものを安全につつがなく動かすということは、実は相当な技量と熱量を必要とします。エンジニア組織のマネジメントも必要ですし、実際に海外では価値のある仕事とされています。
我々もそう認識を改めないと、デジタルインフラをこの国では支えられなくなるのではと感じています。自身が声高に警鐘をならすというより、チームでアウトプットを残し、その残したもので対話したいと思っているので、それを残そうと今頑張っているところです。
庄田:なるほど、自分たちでデジタルインフラを支え続けられるように成果で警鐘を鳴らしていきたいとお考えなんですね。
本丸:そうですね。もう一つの大きなモチベーションは、最後の変化のチャンスだと思っていることですね。
今まで自動車会社等のクライアント向けも含め大規模なシステムやコアとなるソフトウェアモジュールを作ってきましたが、ずっと日本の産業が弱くなっていくことを実感し続けてきました。正直、回復は難しいと考えていた時期もありました。デジタル庁ができたというこのタイミングは、日本がデジタルで利便性が高まり、また経済成長していく最後のチャンスだと捉えています。
その機会に自分の今までの経験を生かしたいですし、20歳の頃に地震で数多のものを失った経験を経て、今は何かを返したいと思っているので、それがモチベーションですね。
庄田:お話お聞きして、とても刺激をいただきました。お忙しい中ありがとうございました!
今回のデジタル庁準備室の方々へのインタビューも今回で最終回となりました。4回のインタビューを通じて、集まっておられる方々の思いの強さがとても印象的でした。全文目を通すのが大変であれば挑戦しようと思った背景だけでも読んでみていただきたいです。
今回の内容は、デジタル庁の掲げている構想のの根幹ともいえる全体のアーキテクトを担当されている本丸さんのお話でした。自分もサービス開発を行っている身からして、本丸さんは物作り・サービス開発の大先輩であり、その思想の深さ、思いの強さがめちゃくちゃかっこいいなとシンプルに感じました。私がサービス開発を始めた時はすでにクラウドが当たり前の時代でしたし、サービス開発に携わってまだまだ数年というところですが、本丸さんはその何年も前からサービス開発に携わられ、歴史をご存じでおられる。そしてその経験が日本のサービスを強くしたい、デジタル化を通じて日本の経済成長のきっかけを作りたいという思いに昇華されていて、真摯に直向きにサービス開発に向き合ってこられたんだな心から尊敬の念が生まれました。そしてそんな方々が集まるデジタル庁は大きな変化を日本にもたらしてくれるだろうと強い期待を覚えました。
改めまして、全4回にわたりインタビューの機会をくださった皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。インタビュアーとしてもとっても貴重な経験をさせていただきました!
※所属部署・役職は2021年7月当時のものです
本記事で取り上げたデジタル庁準備室の求人
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