
投稿日:2020/11/29
更新日:2023/7/12
急成長を遂げるベンチャー企業には必ずCEOを支えるCxO陣がいる。しかし、彼らの活躍や魅力は外部からは十分にはわからない。特にCOOというポジションは範囲が広く、役割も曖昧に見えがち。
本連載ではCOOというポジションで最前線を走る方々へのインタビューを通じて、COOというポジションの意味合い・役割・必要な要素などを丸裸にしていきたい。
第1回のゲストは、ラクスルの福島 広造さん。キャリア観からラクスルでの今までを熱く語ってもらいました。
ゲスト:ラクスル株式会社 取締役COO 福島 広造

慶應義塾大学卒業後、ITコンサルを経て、BCGに入社。BCGでは東京・ドイツオフィスで勤務。企業変革/テクノロジー・アドバンテッジ領域を担当。2015年7月、ラクスル入社。経営企画部長、ラクスル事業部長を経て、現在は取締役COO。インタビュアー:株式会社HERP 取締役 徳永 遼

京都大学法学部卒業後、2012年に株式会社ビービットに入社。2017年3月よりHERPに参画。ビジネス、開発、コーポレートなんでもやる。本連載ではCOOの方々にひたすら質問して深掘りをしていく役回り。徳永:福島さんのこれまでを洗いざらい聞きたく、まずはCOOというキャリアを歩むようになったきっかけから教えてもらいたいです。
福島:私のキャリア観からお話しすると、変化点が好きというのが人生を通じて変わっていないことです。
徳永:変化ではなく「変化点」ですか?
福島:はい、非連続に変化が起きたタイミングのことです。
徳永:非連続に変化が起きたタイミング…、もう少し詳しく教えてください。
福島:中学時代、授業中に教室の後ろにある年表をみて、歴史は理不尽だなって思ったんですよね。年数は同じく過ぎるのに、変化がない平和な時代は省略され、変化が起きた時代は多くが語られる。
「点と線」が中学の卒業文集のテーマだったんですが、同じ点でも、連続の点は線に埋もれ、角度が変わると変化点として残る。自分は変化を起こして残る人でありたいというのがキャリアを考える原点です。
徳永:なるほど、後から振り返った時にあそこが変わり目だったなと思えるようなポイントをつくりにいくということですね。実際にその原点からラクスルで働き始めるまでどうつながるんでしょうか。
福島:高校で、どうしたら大きな変化を起こせるかを考えてた時に、ちょうどAppleのThink differentのCMが流れていて、すごく共感をしたんですよね。そこで、変化を起こすテーマをテクノロジーとビジネスに決めました。
徳永:高校で…!
その後ITコンサルを経てBCGに入社しました。BCGでの企業変革はインパクトも大きくやりがいがありましたが、大企業の危機感やスピード感の欠如も体感しました。
徳永:そこからスタートアップのキャリアにつながっていくんですね。
福島:35歳に次のキャリアを考えた時に、世の中を変えているのは、GAFAMを筆頭に、テクノロジーとビジネスが融合したプラットフォームカンパニーと考えるようになりました。シリコンバレーではGAFAMがスタートアップからメジャーに昇格して、大企業も危機感が醸成され、社会構造が大きく変わりました。 日本でも、スタートアップがスケールしてメジャーになり、大企業の健全な危機感を醸成することが日本社会の変化の原動力になると考えたのが、スタートアップに身を置くことにした決め手です。
スタートアップの中でも、産業自体の変革を仕組みを変えて目指すというビジョンに共感してラクスルにジョインしました。
徳永:大企業の危機感の醸成、日本社会の変化までを見据えてのキャリアの選択だったんですね。ラクスルでは最初から今のような役割でスタートしたんでしょうか?
福島:いえ、最初はCOOでも、COO含みでもありませんでした。経営企画部長というポジションから入り、2年半ほど経ってCOOというポジションにつきました。 COOを目指していた・そこのキャリアを歩んだというよりは、常に会社のグロースのためにやれることはなんでもやるという気概でやっていたら、COOという肩書がついたという感覚です。
徳永:実際にCOOになってからはどのような役割を持ちましたか。
福島:振り返ると、環境やフェーズに応じて、カメレオンのように役割が変化しました。成長企業は急激に守備範囲が広がるので、「役割の三遊間」が存在します。
徳永:役割の三遊間?
福島:誰も得意じゃないが、会社として必ずやらないといけない仕事です。COOは全員が強みを発揮した状態で、三遊間を埋める、Chief Other Officerという動きが求められると思います。
徳永:なるほど、すごく分かります。具体的にどのような役割の変化があったか教えてください。
福島:大きく分けると3つのフェーズがありました。
フェーズ1:単一事業を経営チーム一丸で伸ばす 1つ目は経営チーム全員が1つの事業に携わっている時です。 この時はCEOが事業全体、CMOがGrowth、技術はCTO、資金調達はCFOという責任分担で動いていました。私は上記以外に会社が伸びるために必要な全てを担当していました。
フェーズ2:事業の横展開に伴い、経営チームがそれぞれの事業責任者へ 印刷事業以外の事業の横展開が進み、各々の役員が事業責任を持つようになったのが2フェーズ目です。物流事業ハコベルの立ち上げは稀代の起業家であるCEOの松本がみて、広告は圧倒的な情熱を持つCMOの田部が担当する。ラストピースの印刷事業は、私が担当するようになりました。
フェーズ3:経営と執行の分離 事業が複数立ち上がってくる中で、経営と執行の分離を現状は進めています。CEOの松本とCFOの永見は経営に集中し、私は事業全体を見る執行責任者になります。本来の欧米型のCOOというポジションに、ようやく近づいてきた感じで、新たな挑戦を感じてます。
徳永:HERPと比べても役割がきっぱりと分かれているなという印象です。どのような考え方でお互いの役割を決めてきたんですか?
福島:経営チームの役割分担は大きく2つのパターンがあると考えていて、 1つ目は責任分担型。事業単位や領域ごとに各々が責任範囲を明確に分けるパターン。 2つ目は二人三脚型。1つのミッションをNo.1とNo.2が相互に補完しながらやるパターン。 ラクスル は完全に1。お互いの責任範囲を決めて、あとはよろしく!というスタイルです
徳永:なぜラクスルは1の責任分担型なのでしょう?逆に2が適している時も聞きたいです。
福島:複雑性の高いB2B事業を複数事業やると、二人三脚だとカバーしきれず、責任分担型にせざるを得なかった。今後も、より事業や組織の拡大で、権限委譲や分担が進むと思ってます。 一方で、会社が単一事業でハイパーグロースしていくためには、少ない経営チームで走り切れる二人三脚の方が良いケースが多いと思います。
徳永:今日の本題なのですが、福島さんにとっての理想のCOOを教えて欲しいです。
福島:この機会に改めて考えたんですが、私にとっての理想のCOOは未完の世界遺産をつくりあげられる人です。
徳永:未完の世界遺産…?
福島:数年後など時間軸を区切って、未完のままで価値を出せる事業体の姿を描き、お金を稼ぎながら、会社の夢の実現を目指せる人です。
徳永:なるほど?夢の実現に向けた途中過程の設計ということですか。もう少し詳しく聞きたいです。
福島:会社はファウンダーという絶対的な存在がいて、彼らは夢と理想を描く偉大な建築家。その時間軸は長く、最終的に世の中をこうしたいよね!という想いが存在しています。 一方で、事業は必ず時間軸を持っていて、1ヶ月・四半期・1年単位という足元の時間軸を持ち、残酷な現実の数字を突きつけられながら、あくせくと動いていきますよね。
徳永:はい、すごく分かります。
福島:こういう時間軸のギャップや理想と足元のギャップは、より高い理想や急成長を掲げる会社ほど構造的に広がり、ともすると、資金不足・事業の経済性悪化・組織崩壊を招きます。 話を戻すと、サグラダファミリアは終わりのみえない夢を掲げつつ、100年という時間軸のギャップやガウディが描く崇高な理想とのギャップを埋めながら、苦難を乗り越えて、未完のままで世界遺産になったのがすごさの一つだと思います。あちらこちらで工事中なのに、人々にとって魅力的な建築物になり、自ら工事費を稼ぎながら、ガウディが描く夢の実現を目指していることに驚愕します。
福島:COOはファウンダーよりも短く、事業よりも長い時間軸を持って、理想への道筋を描きながら、足元のやるべきことを示す。ひたすら構造的なギャップに向き合い、前に進める存在です。
徳永:なるほど…!!理想と足元のギャップを認識しながらその中で間の時間軸での理想形を描く、今自分自身も強く求められている役割だなと感じます。
徳永:実際に福島さん自身は理想のCOOにどうやって近づいているんでしょうか。
福島:COOとしてというよりはBizDevとしての挑戦の規模や範囲をどんどん広げているイメージです。
ラクスルにおけるBizDevの役割は、新卒BizDevも私も本質は変わりません。 ラクスルでのBizDevのミッションは、連続的な成長と非連続な成長があるうちの、非連続な成長の実現です。なので事業をうまくマネジメントして、線形の成長をしただけは0点、事業の成長角度を変えるような変化点を創れたことだけを評価します。
徳永:ここでも「非連続」がキーワードになるんですね、福島さん個人の変化点になったような経験があるんでしょうか。
福島:ラクスル入社6ヶ月目に事業責任者になったのですが、成果が出なくて3ヶ月で降ろされたんですよね。
徳永:なんと…!
福島:2つの失敗体験がいまの働き方のベースです。
1つは連続的な成長と非連続の成長を分けられていなかったこと。General ManagerとBizDevの違いを分かっておらず、事業責任者として毎日売上とKPIを管理して、それをどうチューニングするかだけ考えており、事業成長の角度を変えるという視点が抜けてましたね。
2つ目は入社して半年で、事業の1年先の未来を描けなかったこと 事業の未来への解像度が全くなかったですね。解像度を持てる未来の時間軸は、自分の在籍期間とだいたい同じぐらい。入社半年の自分は、事業責任者として1年後の未来を描く時間軸を持ってなかったですね。
徳永:うーん勉強になります…。特に前者は自分自身も認識しきれてなくて失敗してきたなと福島さんの話を今聞いて気づきました。
福島:持続的な成長を続けながら、同時に、非連続なイノベーションを起こすことが、両方求められるのがスタートアップの難しさですよね。常に足元の数字を伸ばすプレッシャーがある中で、線形な成長の延長線上にはゴールがないので変革が求められる。 この2つを両立させるための組織や事業のバランスを保つことが、スタートアップのリーダーにには求められると思います。
徳永:すごく心にしみました…。私含めて理想のCOOを目指す方向けに、理想のCOOに近づくためにできることを教えて欲しいです。
福島:答えはシンプルで、会社が進化し、事業が非連続に伸びる環境で、事業にフルコミットすることです。会社が進化しない、事業が線形成長しか目指さないなら、BizDevもCOOもいらないと思います。会社が歪むくらいにフェーズを変える、壊れるぐらい事業を伸ばすと言う意志があって、初めてCOOやBizDevの価値や成長機会が生まれてくるはずです。
徳永:ありがとうございます。最後に福島さんにとってのこれからのチャレンジを教えてください。
福島:ラクスルでは、1,000億のプラットフォームカンパニーになる未来を描いて実現したいです。領域では、Market PlaceだけではなくSaaS領域にもチャレンジしたいですね。
個人としてはBtoBの事業家マフィアをつくりたいです。BtoBプラットフォームでの事業経験を共有する仲間を集めて、シリアル事業家が増えることで、スケールしてメジャーなるスタートアップが増えて、最初に話した日本の大企業にも危機感が生まれ、競争のダイナミズムにより産業自体が進化していけるといいなと思ってます。

COO仕事の流儀第一弾。
非常に抽象度の高い問いに対して、福島さんなりの現時点での結論を堂々と語っていただき私自身すごく勉強になりました。
福島さんご自身が考え抜かれたオリジナリティ溢れる一言一言から、私自身実際に今HERPを経営する中での難しさやCOOというポジションの意味合い・持つべき役割などを少し俯瞰して見られるようになった気がします。
強い会社には強い経営陣がいるということを強く認識しました。 私と同じくCxOとして会社経営に携わる皆さん、そういったキャリアを目指される方々にぜひお読みいただきたいです!

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