
投稿日:2026/1/20
更新日:2026/2/3

採用管理システム(ATS)を導入する企業は増えてきていますが、まだ採用規模があまり大きくなくてコストをかけたくない企業ではエクセル(Excel)を使って採用管理をしているケースも多いと思います。
採用管理システムにはデータの可視化や分析の機能が標準で備わっていることも多いですが、エクセルの場合はご自身で関数を組んだりデータを加工して可視化させる必要があります。
「そもそも何を見える化すべきかわからない」
「可視化したデータはあるのに、次のアクションにつながらない」
そんな悩みを感じている方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、エクセルで採用管理を行っている方に向けて、採用データの基本的な活用方法を解説します。
また、本記事では具体的なシート設計や関数の解説までは踏み込みませんが、ITスタートアップを中心に3,000社以上の採用管理を支援してきたHERPの知見をもとに作成した、
すぐに使える採用管理エクセルテンプレートを無料で配布しています。
実践の第一歩として、ぜひあわせて活用してみてください。

採用データを活用する前と後では、採用活動の進め方や、判断の仕方に大きな違いが生まれます。まずは、採用データを「使っていない状態」と「使っている状態」で、何がどう変わるのかを整理してみます。
Before:採用データを使わない | After:採用データを使う | |
|---|---|---|
意思決定の軸 | K(経験)・K(勘)・D(度胸)に頼った意思決定 | 数字をもとに、採用のボトルネックを把握 |
施策の取捨選択 | 効果の高い施策を見極められず、稼働が逼迫 | 効果の低い施策をやめ、やるべきことに集中 |
成果の説明 | 進捗や成果を感覚的にしか説明できない | 数字というファクトを使って納得感のある説明ができる |
Beforeの状態に心当たりがある場合、気づかぬうちに非効率なやり方を続けてしまっている可能性があります。採用データを活用することはそうした状況を見直し、効率的に改善を進めていくうえで非常に有効です。
いざデータ活用を進めようとしても、難しいと感じる人が多いようです。それはなぜでしょうか。その主な理由として「扱いたくなる変数が非常に多く、変わりやすいこと」が挙げられます。
「扱いたくなる変数」の例
採用経路
媒体の種類
職種
選考ステップ
リードタイム... etc
採用データの領域には変数が数多く存在し、可視化するデータの切り口を無数に生み出すことができます。そして重視すべき変数が頻繁に変わってしまうことも、データ活用を複雑化している要因の1つです。
したがって、採用データ活用の成功のためには、目的を絞り込み、扱う変数もシンプルに限定することが重要です。
また、「データ活用」には、複雑な「データ分析」が必要なのではないか、と考える人もいるかもしれません。
しかし、高度なデータ分析をいきなり始める必要はありません。まずはシンプルに「見える化」するだけでも、多くの気づきが得られるはずです。
ここからは、わたしたちが様々な企業の採用を支援する中で見出した、採用データ活用を成功に導く3つのパターンをご紹介します。
あなたは、自社の採用活動において、応募から入社までにかかる平均の採用リードタイム(応募日〜入社日の日数)を正確に把握できていますか。
採用におけるリードタイムは、採用データ活用のなかでも最も基本となる指標(KPI)の1つであり、採用計画だけでなく、その上流にある事業計画を現実的に設計するための重要な判断材料になります。
リードタイムを把握・分析できていれば、必要な人材要件を踏まえたうえで、「この期間で採用が間に合うのか」「事業計画と採用計画に無理はないか」といった点を、採用データをもとに検討できるようになります。
以下は、社内に該当人材がおらず、外部から専門人材を採用することを前提に、4月のチーム立ち上げをゴールとしたケースです。

このように、採用リードタイムを前提に逆算すると、4月のチーム立ち上げに向けて、1月頃から採用活動を開始する必要があることがわかります。
重要なのは、一般的な目安と比較することではなく、自社の採用活動において実際にどのくらいの期間がかかっているのかを把握できていることです。
だからこそ、リードタイムを正確に計測するために、応募日・面談実施日・内定受諾日・入社日 などの、基準となる時期データを必ず取得・記録しておくことが重要です。

このような図に対応したエクセルのテンプレートをご利用いただけます。
ぜひご活用ください。

採用には関係者の巻き込みが非常に重要です。その際には現状や課題をリアルタイムに見える化し、ファクトに基づいたコミュニケーションが有効です。
ここで注意すべきは、巻き込みたい相手によって「関心事」と「必要なデータ」が異なる点です。以下の表では現場(事業部)と経営陣で異なる関心事と必要なデータをまとめています。
現場(事業部) | 経営陣 | |
|---|---|---|
関心事 | ・事業部ミッションの達成 | ・事業成長と支出 |
必要なデータ | ・週次スカウト数/応募数/面談数 | ・採用計画の予実 |
「応募数」「面談数」のデータに基づくKPIと採用に必要なリソースの可視化が有効です。

経営陣に対しては、「実績」「ヨミ」のデータをもとに、見通しと採用コストの共有を明確にすることが重要です。
下図のイメージで、各職種ごとの採用目標数・実績数・ヨミ数を可視化するとよいでしょう。

なお、こうした経営陣向けの進捗共有をすぐに始められるよう、採用計画KPIの管理や見通しの共有に使えるエクセルテンプレートを用意しています。
採用リードタイム・実績・ヨミなどをまとめて把握できますので、ぜひご活用ください。

採用データ活用の1番のメリットは、ボトルネックの特定が容易になることです。
下図は採用選考フローをフェーズごとに因数分解をした、ボトルネック可視化のための基本モデルです。

このモデルに基づき、エクセルでデータを可視化することで、全体感を見失わずにボトルネックの特定が容易になります。
以下に具体的な可視化の例を示します。
以下のように職種ごとの応募数・選考数・内定数・入社決定数・各通過率などを可視化してみましょう。
それぞれの職種に対して、さらに、応募数・選考数・内定数・各通過率などを可視化してみましょう。
採用データを可視化し、採用ファネルを分析することで、ボトルネックを特定できるエクセルテンプレートを用意しています。
ぜひご活用ください。

可視化ができたら、「量→質」の順番でボトルネックの特定を行います。ボトルネックの特定は以下の順番で進めましょう。
応募数が足りているか確認
・職種ごとに必要な応募数に対する過不足を確認
・経路ごとに集計し、どの経路に伸びしろがあるか特定
ファネルの中のどの歩留まりが悪いか確認
・応募通過率・選考通過率
・内定受託率の数字のうち、どこの歩留まりが悪いかを特定
効率の悪い無駄な経路がないか確認
・応募数・ファネルの歩留まりが著しく低い経路を特定
ボトルネックを特定することで、ほかの部分に余分なリソースを費やすこともなく効率よく改善のアクションを実行できます。
ボトルネックが特定できたら、その原因仮説を立て、改善アクションを決定していきます。下図のようにボトルネック・原因仮説・アクションを整理するとよいでしょう。
主な原因(例) | 打ち手(例) | |
|---|---|---|
応募数が少ない | アクション量の不足 | ・新規エージェント開拓 |
応募通過率が低い | ターゲットのずれ | ・求人票の改修 |
選考通過率が低い | アトラクト不足 | ・会社紹介資料の更新 |
すでに前段でも触れましたが、重要なポイントなのであえてもう一度書きます。
改善の優先順位付けは必ず量→質の順番におこないましょう。
どれだけ各フェーズでの歩留まりが高くても、数が少なければ成果は見込めません。まずは大元の数を増やす施策から実践しましょう。量に関する改善を優先して進めた後に、各フェーズでの歩留まり改善の施策に着手する順序がよいでしょう。
これら一連の改善のための行動は、モデルによる可視化がなければ、目的が曖昧な状態で闇雲に施策を実施することになってしまいます。
単純なモデルではありますが、ボトルネックの特定を容易にし、どこに注力すべきかをはっきりさせてくれるのがデータ活用の威力といえます。
ここまで3つの採用データ活用パターンを紹介してきましたが、いずれも実行するのはそれほど難しくない一方、効果は抜群です。着手しやすく失敗しない基本パターンといえます。
最初は億劫に感じるかもしれませんが、一度定着すれば、採用活動に問題が生じた際に立ち返る場所となり、より良い採用活動ができるようになるはずです。
ぜひ、明日からの採用活動にデータ活用を取り入れてみてください。
採用データ活用の有効性をわかっていても、実際にエクセルなどで可視化しようとすると、意外と難しいと感じる方も多いと思います。
そのような方のために、HERPでは無料で使えるエクセルの採用管理テンプレートを配布しております。
必要な候補者情報を入力するだけで、本記事で示したようなデータの可視化が簡単にできるようになっています。
ぜひご活用ください。


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