
投稿日:2022/5/13
更新日:2023/7/4
2021年2月にChatworkに入社した人事部マネージャーの吉成大祐さんは、過去ヤフーやPayPay、ファーストリテイリングという国内でも名だたる企業の採用をリードしてきました。
そのノウハウをもって、Chatworkではビジネス組織を短期間で倍増。約1年で100人規模の採用を実現させたそうです。
そこで今回は、FastGrowとの共催で、ウェビナー「Chatwork吉成氏と振り返る、事業と組織の急成長を支えた採用における3ステップ」を実施。
Chatworkの採用を成功に導いた具体的な戦略を、取り組み事例とともに吉成さんに解説してもらいました。
イベントレポートでは、明日からすぐに実践できるポイントも複数紹介しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
ゲスト
Chatwork株式会社
ピープル&ブランド本部 人事部マネージャー
吉成 大祐氏
早稲田大学卒業後、ヤフー株式会社入社。地域系サービスの新規事業、広告企画を経て人事へ異動。新卒採用、中途採用、両領域のマネージャーを経て、PayPay株式会社の立ち上げに参画。サービスリリース前のセールスの採用から同社の採用部門の立ち上げ、グローバルなプロダクトを含む採用責任者として携わる。その後株式会社ファーストリテイリングにてIT領域の採用を担当後、2021年2月よりChatwork株式会社にて人事責任者兼ビジネス本部HRBPとして従事。
モデレーター
スローガン株式会社 FastGrow事業部 CRD部門 部門長 渡辺 浩史(以下:渡辺)
株式会社HERP レベニューマネージャー 冨田 真吾(以下:冨田)
イベント開催日時:2022年3月3日(木) オンラインにて実施
冨田:本日のテーマ「事業と組織の急成長を支えた採用における3ステップ」について詳しくお話を伺っていきたいと思います。まずはChatworkの概要と、事業や組織がどのように成長してきたのか教えていただけますか?
吉成:われわれChatworkは、クラウド型のビジネスチャットツール『Chatwork』を提供している企業です。
組織としては、2019年4Qで従業員数107名だったところから、2020年4Qには162人、直近の2021年4Qで251人となっていて、この1年で100名くらい増やしてきた、という状況です。

ではなぜこの1~2年で採用を強化してきたかというと、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに働き方を見直す企業が増え、ビジネスチャットツールの導入がかなり進んできています。海外テックジャイアント企業も競合にいる中、しっかり戦える組織、体制をつくるのが急務ということで、この数年で組織強化を図っているというのが一つ。
もう一つとして、Chatworkは今後ビジネスチャットツールの提供にとどまらず、今後はそれをベースとしながらも、さまざまなサービスを作ることで、日本の中小企業全体のDXを推進することを目指しています。
ただ、Chatworkはもともと開発組織中心の会社だったこともあり、新しいビジネスを伸ばしていくためには、ビジネス組織の強化がマストで、プロダクト組織とビジネス組織の両輪がしっかり回るような状態にするというのが大きなテーマでした。
冨田:なるほど。Chatworkの採用では吉成さんがこれまでの経験で培ったノウハウを存分に活用されたそうですね。
吉成: そうですね。僕自身はもともとヤフーやPayPayで大規模な採用をリードしたことがあり、例えばPayPayでは立ち上げフェーズだったこともあって、約1年でグローバル採用を含む1,000人以上の採用を進めていました。
こうした経験を重ねたことで、採用を構造化して捉えることができるようになりました。Chatworkの採用でも、この学びが活かされています。
具体的には2つの観点で構造化をしています。
採用チャネルの最適化
歩留まりとオペレーションエクセレンス
吉成:まず一つ目の「採用チャネルの最適化」について。これは、「マーケットは有限である」という事実を理解することが大事という話です。
例えば「短期間で人を採用したい」となったときは、今まさに転職をしたいと考えているような転職顕在層に目が向きますよね。でも実際は、顕在層は潜在層に比べると圧倒的に少なく、欲しいペルソナの人がいるかどうかもわかりません。
さらに解像度を上げて見てみると、顕在層の中でも転職方法が分かれてきます。これを理解していないと、非効率な母集団形成をしてしまうことになりかねません。
つまりは下記の図のように、どの人がどこにどれぐらいの割合で存在しているのかについて、感覚をつかむことが第一歩ということですね。

もちろん顕在層の規模感もチャネルの割合も、セールスなのか、エンジニアなのか、職種によっても大きく変わってきます。こうした違いも見定めた上で、チャネル選定をしていくことが重要です。
ただ当然、立てた仮説がズレているケースもあるので、定量的な成果をもとに振り返ることも欠かせません。僕の場合は1カ月ごとに振り返りをしていて、3~4カ月経っても採用が進まない場合は、ペルソナやチャネルを見直すようにしています。
吉成:二つ目は、歩留まりを可視化することとオペレーションエクセレンスが大事という話です。
具体的には、書類選考の通過率や内定承諾率など重要なKPIをトラッキングすることと、候補者体験を落とさないようにオペレーションのミスが起こらない設計を行うという2点。
後者は当然の話として、前者に関しては現状の歩留まりを理解することで、それぞれの採用フェーズをどういった歩留まりで実施すれば目標が達成できるのかが見えるようになります。

吉成:ただ選考フェーズに関しては、通過率の目標を掲げてしまうと本来事業に必要な人材を採用するという目的がブレてしまうことになりかねず、アンコントローラブルな側面も大きいと思います。一方で有効応募数などはチャネルの出し分けなどで比較的コントロールしやすいので、僕の場合はそちらに注力していましたね。
冨田:吉成さんとしては、それぞれの歩留まりはどれぐらいが適正値だと考えていますか?
吉成:例えば10人採用するのに10人の応募でクローズするのが究極の理想ですが、現実的にはなかなか難しい面があります。あくまで経験上の肌感覚ですが、書類選考の通過率は3割、内定承諾率は5割を切ってくると低い印象があります。内定承諾率に関しては7割くらいを目指したいですよね。自分たちが採用したいという人に断られるのは、シンプルにもったいないので。
特にエンジニア採用の場合は、応募を獲得するのにも限界があるので、その後の歩留まりをいかに上げるか、内定承諾率をどれだけ上げられるかが重要になります。この点も、職種によってどこに注力すべきか変わってくるので、しっかり検討していくべきだと思います。
冨田:ここからは、「採用の構造化」の話を踏まえて、Chatworkでどのように採用を成功させてきたかを伺いたいです。
吉成:実際に行った「3つのステップ」について紹介できればと思うのですが、まずは前提となる「現状把握」の部分からお話しします。 はじめに、事業や組織をどうしていきたいのかや、ペルソナのイメージが見えてこないと、「何のための採用なのか」がブレてしまうので、各部門のさまざまな人に話を聞いて、状況をつかむところから始めていきました。
その結果が以下です。

吉成:この現状を踏まえて、「3つのステップ」についてお話しできればと思います。
【Step1】ターゲットを的確に捉えたチャネル拡張による応募数の増加
【Step2】大量の応募を効率的に捌くためのオペレーションエクセレンス
【Step3】拡大する組織の変化に合わせた人事制度の改革
吉成:ステップ1は、ペルソナを明確にして、採用チャネルを最適化し、応募数を増やすという話です。
現状把握の結果、「各部門の採用のペルソナ」は「▲」になっていますよね。これは、「ペルソナは一定描けてはいたものの、詳細までは言語化されていない」という状態でした。
詳細というのは、募集をするときのmust要件とnice to have要件の切り分けだとか、年齢や年収、これまでの経験のイメージだとか、そういうものを指します。
ジョブ・ディスクリプションを見るとどうしても全てがmust要件に見えてしまうのですが、実際は要件に濃淡があるので、そこの解像度を高くしていくことから始めました。
加えて採用チャネルの状況を確認すると、部門によるダイレクトソーシングが大半で、エージェントやその他のチャネルはあまり活用できていないことが分かりました。
一方で、今回採用を注力していたビジネス組織の場合は、エージェントを中心に転職活動を行う人も多いので、エージェントにフォーカスして取り組むことに。注力エージェントの皆さんと定例を実施し、言語化したペルソナやブラインドレジュメによるすり合わせを小まめに行いました。

吉成:次に、ステップ1の実施によって増えた応募数に対して、既存のオペレーションをどうチューニングしていくか、というところをステップ2で行いました。
そもそもこれまでは歩留まりなどのモニタリングができていなかったので、採用管理システムからデータを持ってきて、数字を可視化するところから着手。
これまでの傾向が見えたことで、応募数がどのぐらい増えると、どこがどう変わってくるのか、例えば面接の数がウィークリーでどのくらい増える見込みなのか、などを見えるようにしました。
すると、既存のオペレーションでは耐えられなさそうだ、というのが分かったので、先手を打つことに。
それまでは新卒採用、中途採用両方のオペレーションを同じ派遣さんが対応していたのですが、新卒採用向けに別の派遣さんを採用し、既存の派遣さんには中途に専念してもらうかたちで調整を図りました。
また、面接が増えるとどうしても面接官の工数が増えてくるので、先回りして臨時の選考フローを整備するなどして、応募から内定までの期間が延びないように心掛けていました。

吉成:こうしてステップ1と2を取り組んだ結果が、以下の通りです。
この1年で応募数や選考数がかなり増えたにも関わらず、オペレーションの事故や選考スピードの減速を防いで歩留まりを維持することができたため、入社決定数も増やせた、という内容になっています。

吉成:最後にステップの3つ目です。こうして採用が成功し、組織が拡大してくると、そこに合わせた社内の整備を行わなければなりません。
なので、一定採用の目途が立ったタイミングで人事制度や人事体制の強化なども並行して着手していました。

吉成:例えば僕が入社した時は人事の数が3.5人くらいだったのですが、1年で9人まで増やし、評価制度やオンボーディング施策を見直したり、HRBPを強化したり。
採用と並行してのことなので当然大変ではあるのですが、採用計画の時点で1年後に従業員数がどのくらい増えてくるかが一定見えているので、先を見越して動かないと手遅れになってしまいます。ここは時間を区切りながらアウトプットを出していきました。
冨田:まず現状把握をしっかりとした上で、応募数を増やすための取り組みと、その応募を効率的に捌くための取り組み、将来を見据えた組織の整備という3ステップを行ったわけですね。
吉成:はい。ただ、これらを行うために、最も大事なことがあります。それは、経営、事業部門ともに採用の重要度を理解してもらう、ということです。
やはり人事の力だけで改革を行うのは無理な話で、事業部門の人たちが当事者意識を持って協力をしてくれなければ、Chatworkの採用も成功しなかったと思います。
Chatworkでこうした成果を出すことができたのは、経営も事業部門も採用の優先度を高く考えていてくれたこと。加えて、全面的に協力しつつも信頼して任せてくれたことが大きかった。だからこそ、ここまでアクセルを踏み込めたのだと思いますね。
冨田:素晴らしいですね。今後はどんなふうに採用を進めていく予定なのでしょうか。
吉成:この1年は転職顕在層へのリーチに振り切っていたので、今後は潜在層に向けて中長期的なブランディングなどに取り組んでいく予定です。
また、これから新しいビジネスを生み出していくという中で、300人、500人という大きな組織にしていくとなると、人事戦略や会社の在り方も変わってきます。
そうした点をブラッシュアップして、Chatworkのコーポレートミッションである「働くをもっと楽しく、創造的に」を実現できるような組織をつくっていきたいと考えています。
いかがでしたでしょうか?FastGrowとHERPでは今後も採用の特徴的な成功事例をお伝えするイベントを随時開催していく予定ですので次回の開催をお楽しみにしていてください。

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